2024.02.21 update

【インタビュー】夢のコラボレーションふたたび—<N.HOOLYWOOD>と<New Manual>が、「NEW WEAVE」プロジェクトを“別世界線”へと導く!!(1/2)

02.28 Wed -03.05 Tue
伊勢丹新宿店 メンズ館6階 メンズコンテンポラリー


「BerBerJin/ベルベルジン」ディレクターであり、ヴィンテージデニム全般の世界的権威として知られる藤原 裕氏率いる<New Manual/ニューマニュアル>が、再び伊勢丹新宿店にやってくる。しかもイセタンメンズのためだけに、尾花大輔氏との協業で<N.HOOLYWOOD/N.ハリウッド>の「NEW WEAVE」スペシャルバージョンを限定製作したという。本企画の仕掛け人でもあるバイヤー・鳥山 脩を含めた鼎談から、このポップアップの見どころと舞台裏を探ってみたい。

*こちらの限定商品はご好評につき完売いたしました。恐れ入りますが、予めご了承くださいませ。【3月1日(金)更新】

イベント情報
「POP-UP STORE New Manual at ISETAN」

NEW WEAVE after 30years

New Manual × N.HOOLYWOOD × Champion

  • 開催期間:2月28日(水)〜3月5日(火)
  • 開催場所:伊勢丹新宿店 メンズ館6階 メンズコンテンポラリー 

  

 

  1. 「Mister hollywood」から始まった、<New Manual>の快進撃
  2. “キング・オブ・ヴィンテージ”とつくる、「NEW WEAVE」の“別世界線”
  3. ヴィンテージのミキシングで創り出す、新しい価値観
  4. やるべきことをやり、“ロマン”をカタチにする

 

Mister hollywood」から始まった、<New Manual>の快進撃

 この日、東京・原宿の「Mister hollywood」に集まったのは、<N.ハリウッド>の尾花大輔氏と<ニューマニュアル>の藤原 裕氏、そして伊勢丹バイヤーの鳥山 脩というメンバー。言わずもがな、2月28日(水)からメンズ館6階 メンズコンテンポラリーで開催されるポップアップショップにおいて、伊勢丹新宿店限定の「NEW WEAVE」プロダクトを発売するというスペシャル企画を仕掛けたキーパーソンたちだ。

「NEW WEAVE」とは、チャンピオン社の過去のプロダクトに尾花氏の解釈による実験的再構築とデザインを施したカプセルコレクション、N.HOOLYWOOD × Championから派生したプロジェクト。
着心地を損なうことなく動きやすさ獲得するというリバースウィーブ®の原理に則りながら、<N.ハリウッド>らしいモダンなアレンジが加味されているのが最大の特徴だ。2021年のローンチ以来、大人気のシリーズとして継続的に発表され、5シーズン目となる今季の新作もリリースされたばかり。

 
さまざまなメディアで語られているように、尾花氏と藤原氏の立場は違えど、ともにヴィンテージクローズの第一人者として、また原宿を拠点に世界のファッションシーンを牽引する重要人物。互いを認め合い、20年以上にわたって交流し続けてきた間柄だ。昨年には尾花氏愛用のヴィンテージデニムをベースとした「N.HOOLYWOOD × New Manual」というプロジェクトで、初のコラボレーションも果たしている。

 

メンズ館メンズコンテンポラリーバイヤーの鳥山は、昨年春のポップアップで<ニューマニュアル>の実店舗展開を初めて実現。さらに今回は、メンズ館で長く高い支持を集め続ける<N.ハリウッド>と<ニューマニュアル>によるイセタンメンズ限定「NEW WEAVE」コレクション発売へと漕ぎ着けた。 

話題沸騰間違いなしのポップアップ開催を前に、「NEW WEAVE」の“別世界線”ともいうべき渾身のプロダクト誕生のビハインド・ザ・シーン、それぞれの熱い想いを語ってもらった。

 

Profile
尾花 大輔
<N.HOOLYWOOD/N.ハリウッド>デザイナー
学生時代より古着屋からキャリアをスタートし、ショップマネジャーやバイヤーを務める。その後古着のセレクトショップ、“go-getter”の立上げに携わる2000年にショップ「Mister hollywood」をオープン。2001年にメンズブランド「N.HOOLYWOOD」を立ち上げて本格的にコレクションをスタート。10年からはニューヨークでコレクションを発表。
藤原 裕
<New Manual>ディレクター
/「ベルベルジン」ディレクター /ヴィンテージデニムアドバイザー
近年のヴィンテージブームの立役者。商品プロデュースやスタイリング、書籍の出版、YouTubeでの配信など幅広く活躍。デニムマニアやヴィンテージマニアからの信頼も厚い。2022年春、自身がディレクションを務めるブランド<New Manual>を立ち上げた。

  

“キング・オブ・ヴィンテージ”とつくる、「NEW WEAVE」の“別世界線”

 <New Manual>「NEW WEAVE」伊勢丹メンズ館限定モデル

 <New Manual>
(左)スウェット 49,500円*伊勢丹メンズ館限定モデル
(右)フーディ 51,700円*伊勢丹メンズ館限定モデル
□伊勢丹新宿店 メンズ館6階 メンズコンテンポラリー
*こちらの限定商品はご好評につき完売いたしました。


鳥山
ものすごいトリプルコラボが、実現してしまいました(笑)。尾花さん、藤原さん、本当にありがとうございます。

尾花 こちらこそ、ありがとうございます。今回は伊勢丹のためだけに(笑)、特別な思い入れで参加させていただきました。

 

藤原 僕もです(笑)。

 

鳥山 ありがとうございます(笑)! 藤原さんには昨年春、初めての実店舗イベントをイセタンメンズで開催していただきましたが、<ニューマニュアル>のこの1年を振り返ってみて、どのように感じていらっしゃいますか?

 

鳥山 脩
伊勢丹新宿店 メンズ館6階 メンズコンテンポラリー バイヤー

 

藤原 まずは2022年、「ゼロ展」をココ(「Mister hollywood」3階のギャラリースペース)で開催するところからスタートさせていただいたのが、僕らにとって本当にありがたかった。おかげさまで、すぐにいい軌道に乗ることができましたね。

 

鳥山 すごく理想的な広がり方をしていますよね。

 

藤原 ありがたいことに。自分たちのものづくりは、僕が所有している本物のヴィンテージを、「癒toRi18(ゆとり18)」の加工技術を通じて現代のリアルな“ファッション”へと変換し、世の中に発信していくというのがコンセプト。その根本を多くの方に知っていただけたという、確かな手応を感じることができる1年でもありました。

藤原 <ニューマニュアル>は普段から僕自身も着ていますし、「ベルベルジン」にお買い物に来るお客様に着用していただけていることも多いんです。昨年は本当に色々な出合いがあり、もちろん伊勢丹さんとの取り組みもそのひとつ。さらに尾花さんとの繋がりで、N.HOOLYWOOD × New Manualという取り組みにまで発展させることができました。

 

鳥山 おふたりは、<ニューマニュアル>がこの場所でローンチされてからN.HOOLYWOOD × New Manualというプロジェクトに至るまで、とても自然な流れを作り出しているように感じます。今回は「NEW WEAVE」という<N.ハリウッド>のプロジェクトに<ニューマニュアル>が参画し、イセタンメンズ限定のプロダクトを製作いただけることになったのですが……。おふたりがあえてデニムではなく、チャンピオン社のリバースウィーブ®、それも「NEW WEAVE」を選ばれた理由を教えていただけますか?

 

尾花 ちょっと長くなるんですけど……。<ニューマニュアル>は最初のコレクションを見る前から、(藤原)裕の信頼度からいっても、「癒toRi18」という会社の実績からいっても、間違いなく素晴らしいものができるということは分かってました。だから最初にウチで展示会をやりたいですって言ってくれた時は、本当にうれしかったんですよ。

それからもう1年半くらいですかね。彼のチームにも言うんだけど、これだけ数多くのブランドが世にあるなかで、ここまで支持されるブランドって本当にないことだから……。それを肝に銘じて、メチャクチャ大事にした方がいいよって。

尾花 彼らは何よりヴィンテージが好きで、それを誰よりも深く追及していくということにフォーカスしているから、そこにはまったく嘘がない。僕が関わらせていただくのであれば、自分が等身大でリアルに着ているモノを裕に見てもらい、そこからなにか一緒に生み出せたら面白いなって。それをカタチにしたのが、前回のN.HOOLYWOOD × New Manualだったわけです。で、今回は裕が「ほかでもない伊勢丹さんとの取り組みなので!」って言うし……(笑)

 

一同 (笑)

 

尾花 なにか特別なことができないかな、と考えました。彼は“キング・オブ・ヴィンテージ”であり“キング・オブ・スウェット”、そしていろんなチャンピオン社のトレンドを作ってきた、“キング・オブ・チャンピオン”でもある。そして僕らは10年以上前から、「新しいチャンピオンの価値観を作る」という思いで、チャンピオンさんとの取り組みを行ってきていて、2年前にリバースウィーブ®に特化した「NEW WEAVE」プロジェクトを立ち上げていた。コレしかないな、と。 

 

ヴィンテージのミキシングで創り出す、新しい価値観

 <New Manual>
スウェット 49,500円*伊勢丹メンズ館限定モデル
その他の画像はこちら
□伊勢丹新宿店 メンズ館6階 メンズコンテンポラリー


商品を見る 

 

<New Manual>
フーディ 51,700円*伊勢丹メンズ館限定モデル
その他の画像はこちら
□伊勢丹新宿店 メンズ館6階 メンズコンテンポラリー


商品を見る 


鳥山
「新しい価値観をつくる」というのは、<ニューマニュアル>のコンセプトとも共鳴する部分ですよね。

 

尾花 そうかもしれないですね。僕のもっているヴィンテージのリバースウィーブ®も、当然日焼けやウォッシュのダメージなど、デニムとは異なる朽ち方をしている。そういう経年変化、プロセスみたいなものこそが、“ファッション”なんじゃないかとも考えていて……。

 僕が「NEW WEAVE」でやっているのは、新しい価値観を作るために、そのタイミングに合った“新しい”商品をリリースすること。後付けパーカーの現代的なものだったり、1990年代にあったマルチカラーのリバースウィーブをパネル切り替えで作ってみたり……。そういう過去のプロダクトからさまざまな要素を抽出し、ミックスする。そこに身体にフィットする立体裁断という考え方を取り入れるのが「NEW WEAVE」であって、ヴィンテージの“復刻”ではないんですよ。



  

藤原 まさに、その部分は<ニューマニュアル>と共通していますね。

 

尾花 そう。じゃあ、それを何年か着込んだらどんな表情になるんだろう、といったアプローチも、<ニューマニュアル>の加工技術であれば可能になる。特にヴィンテージに対する意識を強くして、いろんな年代のディテールをコラージュしている今シーズンの「NEW WEAVE」に、<ニューマニュアル>の加工ってすごく親和性があると考えたんです。
   

鳥山 なるほど。そういう経緯で生まれたのが、<N.HOOLYWOOD × Champion>の「NEW WEAVE」伊勢丹限定モデルというわけですね……。今回はインラインで製作されているクルーネックとパーカーという2型をベースに、<ニューマニュアル>らしい加工を施したブラックカラーで製作いただきました。ちなみに本日ご用意いただいたレタードのスウェットシャツがソースになっているということですが、どういった素性のモノなんでしょうか?


 

尾花 これはチャンピオンさんからお借りした、現存する最古のリバースウィーブ®といわれているアイテムです。リバースウィーブ®という商標が登録される前の1931年製と推定されているので、まだ“ランナーズタグ”なんですよ(*リバースウィーブ®の誕生は1934年、特許取得は1938年)。

 

藤原 これは僕も本でしか見たことなかったくらいの、超絶レアものです。
 

尾花 僕は古着屋ビジネスに限界を感じて卒業し、いまに至っていて(笑)。所有していたヴィンテージもバンバン処分してきたんだけど……。リバースウィーブ®にはまだ思い入れがあるんです。収集癖というのもないつもりだけど、リバースウィーブ®だけはコツコツ買い集めてきました。昔はヴィンテージデニムと違って、高校生でも手に入れられるくらいの値段だったのも、大きいですけどね。でもこれはいわゆる“両V”で、実際に採用したのは今日裕が着てきてくれた“前V’の方です。 

  

藤原 本来のリバースウィーブ®でも、“両V”自体が存在しないと思います。
 

鳥山 ではこれがベースにはなってはいるものの、おふたりの解釈によるアレンジで、さまざまなディテールが取り入れられているというわけですね?

 

尾花 やっぱりいろんなソースをマッシュアップした方が、面白いんじゃないかと思うんです。そのまんまだと、“ファッション”ではなくてただの“復刻”になっちゃいますから。

 

鳥山 後付けパーカーの方も、フードをあえて“挟み込み”ではなく“タタキ”にして取り付けてますもんね。加工については、藤原さんの私物がリファレンスになるんでしょうか?

 

藤原 そうですね。ただ正直ヴィンテージの世界ではブラックという色自体がとても少ない。色味についてはいい感じのものがあったんですが、色落ち具合やダメージについてはどうしても見つかりませんでした。そこで、それぞれのいい部分が出ているネイビーを参考にすることにしたんです。つまりは色、色落ち、ダメージ感と、加工だけで3枚のスウェットのいいところを取り入れている。それでも理想の仕上がりになるまでに、「癒toRi18」さんには3回ほどチャレンジしてもらいましたね。

 

尾花 もうひとつ大きなポイントとして、「NEW WEAVE」のインラインにもブラックの展開はあるんですが、そっちはダメージ加工がないのはもちろん、黒の染料そのものが違うから色味もまったく異なります。1回白い糸で生地を織ってから、伝統的な染料を使って染めたうえで、さらに加工している。すごい手間暇と時間を費やしているんです。本当に限られた、伊勢丹さんだけのエクスクルーシブということですね。しつこいですけど(笑)。

 

鳥山 それはすごい……(笑)。

 

尾花 でもこういうものづくりをスムーズに行えるのは、やっぱりお互いへの信頼感なんじゃないかな。裕はヴィンテージの百科事典みたいな人だから、僕が悩んだらパッと提案をしてくれて、「じゃあ、それでいこう」とすぐ決められる。こんなにやりやすい関係はないですね。

 

藤原 尾花さんとは定期的にお会いしていない時期もあるし、すごくよくお会いする時期もありました。でも買い付けのときに「これ尾花さん好きそうだな」とか、店頭で「こんなの入荷してます」とか、逆に尾花さんから「裕、こういうのない?」って聞いていただいたりとか。20年以上、常にキャッチボールしていたという意識はありますね。

 

尾花 何事も、基礎練習だよね(笑)。

  

やるべきことをやり、“ロマン”をカタチにする

 

鳥山 最後になりますが、おふたりの今後の関係性、再コラボレーションの可能性などについての展望を伺ってもよろしいでしょうか?

 

藤原 僕自身はもちろん、<ニューマニュアル>も尾花さんとの関係性があったからこそ、いまがあります。これからもずっとお付き合いいただきたいと思っていますし、ものづくりもご一緒したい。いや、あると思います(笑)。

 

尾花 実は2月23日(金)に、<N.HOOLYWOOD × New Manual>の第2弾が発売になるんです。その先も裕とは、あえて不定期に、やるべきことが見つかったタイミングで協業したいですね。「楽しいからやる」という部分を、大事にしたいんです。<ニューマニュアル>もトレンドとか関係なしに、「やらなきゃいけないことをやってる」という感じだもんね。だからまったく同じものが、何回リリースされてもおかしくないと思ってます。

  

鳥山 確かに、そうですね。 

 

尾花 ファッションビジネスというくくりで言えば、毎シーズン何かを変えて、新しいものを提案しなければなりません。でも今日僕が着ている“Tバック”のように、ヴィンテージというものは一生変わらないじゃないですか。 

面白いのは、裕のチームと話すと僕の“Tバック”と他の“Tバック”を並べて、やれ「ここのステッチのカンの位置が違う」とか、すごいことを言い始める(笑)。そこはどうでもいいやって僕自身は思うんですが、実はどうでもよくないその“ロマン”の部分をカタチにしていくことが、すごく重要なんだろうなって思います。

 

一見するとまったく同じモデルなのに、並べてみると全然違う。ヴィンテージが十人十色であるように、新品なのに十人十色──それが<ニューマニアル>というブランドの本当の魅力なんじゃないですかね。

  

イベント情報
「POP-UP STORE New Manual at ISETAN」

NEW WEAVE after 30years

New Manual × N.HOOLYWOOD × Champion

  • 開催期間:2月28日(水)〜3月5日(火)
  • 開催場所:伊勢丹新宿店 メンズ館6階 メンズコンテンポラリー 

    

 

 Photograph:Yusuke Iida
Text:Junya Hasegawa(america)

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