今年9月、伊勢丹新宿店メンズ館は20周年を迎えた。これを記念したアニバーサリーイヤーイベント第一弾は「ALL MEN'S EXHIBITION」と題し、数々のイベントを開催。そして10月4日からは第二弾として「BONDS WITH FASHION」がスタートする。

「ファッションの絆」と銘打たれた第二弾は、これまでの伊勢丹メンズの足跡を振り返りながら、次の20年につながる名品を作ろうというプロジェクト。お客様から支持されてきたベストセラーアイテム、名品、定番をピックアップしながら、メンズ館のエッセンスを加えたアップデートを施すことで、特別な限定品や先行販売品を多数生み出すもの。そんなアニバーサリーコレクションを各バイヤーが物語る。

これまでシューズバイヤーとしてIMnに何度も登場しているバイヤー・宮下は、今年から新たに手掛ける1階メンズアクセサリーのコーナーから、自身のもつ革素材の知識を総動員して作り上げた渾身のレザーコレクションを紹介する。

【RE：MATERIAL＆COLOR】どこにもない、ここだけ、自分だけの革小物というステイタス

財布は近年のキャッシュレス化とともに形状を変化させてきた。「天赦日」「寅の日」など験を担いで買い替える文化も知られるようになった。名刺ケースはビジネスツールとしてはもちろん、持ち主のステイタスを表すギア。いつの時代も革小物を大切に扱うことは、男の格をさりげなく、しかし雄弁に物語る。 今春、革小物バイヤーに就任した宮下は、紳士靴バイヤーとしてメディアへの登場も多く、よく知られた人物。最初に手掛ける仕事として、長年培った革素材への深い見識を存分に奮い、20周年記念アイテムの企画に取り組んできた。

「入社以来、長く紳士靴のバイヤーを務めてきたので、伊勢丹新宿店では誰よりもレザーに詳しいという自信があります。昨年まで靴博には全力投球してきましたし、今年のレザー博もフルスイングで取り組んできました。マニアが納得するモノ作りが信条です。」

知識と見識に加え、目標に向け邁進する強い精神力で、地下1階紳士靴を「世界一」とも自負するフロアに成長させてきた宮下が、錚々たる国内外のブランドと折衝し、伊勢丹新宿店だけのエクスクルーシブアイテムをリリースする。

「1年以上期間を要する革靴と違い、半年で仕上がってくる革小物の世界に戸惑いはありつつも、全力で取り組みました。メンズ館で取り扱うレザーブランドは、どこも優れた技術と上質な革素材を使っていることは間違いないのですが、さらにここでしか買えない限定色＆素材を揃えました。本物の革好きのお客様に満足していただけるコレクションに仕上がっています。なかにはマニアック過ぎると言われるぐらい攻めたモノもあるかもしれません（笑）。」

＜ETTINGER/エッティンガー＞スターリングコレクションに伊勢丹限定色をリリース

「スナップボタン付き2つ折り財布は、最近人気のモデルです。スナップボタンはデザインとしてのアクセントでもあるのですが、2つ折り財布はカバンの中で開いてしまい、カード類がバラバラ出てしまうという声に応えて作られました。この2つ折り財布はコンパクト仕様になっており、スターリングコレクションと呼ばれる、表側は黒、内装色にポンド紙幣の透かしの色に合わせて、赤、青、黄、紫のバリエーションが用意されているのですが、今回は内装のカラーをメンズ館の革小物で人気の高い、ネイビーとグリーンの2色を用意しました。表側の素材として、ネイビーはスターリングコレクションと同じカーフ素材を使い、グリーンには英国を代表する素材であるブライドルレザーを使っています。」

＜THE WARMTHCRAFTS-MANUFACTURE/ジ・ウォームスクラフツ マニュファクチャー＞コンパクトかつ薄手のコードバン3つ折り財布

「今人気のコンパクト3つ折り財布は、日本が誇るコードバンブランド、ジ ウォームスクラフツ マニファクチャーから。日本では、まだまだ小銭を持ちたい人が少なくないので需要があります。他社の小銭入れ付き三つ折り財布は、どうしても厚みが出てコロンとしたフォルムになりがちなのですが、このブランドは薄作りの技術に長けているのでここまでボリュームを押さえることができています。滅多に他社コラボしないブランドですが、唯一伊勢丹限定色としてリリースしているダークダークネイビーの外装に、ボルドーのホースハイドを内装使いしたモデルが登場します。コードバン好きなら、絶対見逃せないモデルになります。」

＜GLENROYAL/グレンロイヤル＞屈強なブライドルレザーのバイカラーモデル

＜GLENROYAL/グレンロイヤル＞
左：ジップウォレット 42,900円
右：マネークリップ 36,300円

※10月4日（水）発売予定

□伊勢丹新宿店 メンズ館1階  レザーグッズ

「＜グレンロイヤル＞は通常、単色のコレクションですが、今回はブラウン×ライトブラウンとブラック×グリーンのカラー展開をリリースします。モデルは3種類。ひとつは外側にコインケース、フラップにカードケースを備え、開くと内装にマネークリップを備えている、一番人気のモデル。もうひとつは2つ折りのラウンドジップタイプ。さらに、ブランド人気のトートバックも登場します。革マニアの方なら2色使いで登場するのが、いかに珍しいことなのかわかっていただけると思います。」

＜GANZO/ガンゾ＞国内謹製のカードケースにイタリアンコードバンを採用

<GANZO/ガンゾ>
カードケース 各55,000円

※10月4日（水）発売予定

□伊勢丹新宿店 メンズ館1階  レザーグッズ

「ビジネスマンに圧倒的な支持をされているのが＜ガンゾ＞のカードケース。2つ折りで、背面にもカードスロットが付いていて、開かずともワンアクションで名刺が取り出せるところが魅力のようです。ここはとても技術力が高い日本の革小物メーカーで、コバぎりぎりの位置でステッチングしています。その結果、名刺ケースのコンパクト化に成功しているんですね。20周年モデルはコードバンを選びました。しかもこのコードバン、いま第三のコードバンメーカーとして話題のイタリア・ロカド社のもの。イタリア伝統のバケッタ製法でなめされたコードバンは、価格を抑えながら馬革の良さを存分に引き出しています。ブラック＆ネイビー、ブラウン＆グリーンというバイカラーで登場していますが、コバの塗りを同系色にしている点も、マニアックなポイント。インラインモデルはコバが赤いんです。気づいてくれる方がいたら、嬉しいです（笑）。」

＜CYPRIS/キプリス＞イタリアンシュリンクとシラサギレザーのコラボレーション

＜CYPRIS/キプリス＞
左：長財布 39,600円
中：二つ折り財布 22,000円
右：カードケース 20,900円

※10月4日（水）発売予定

□伊勢丹新宿店 メンズ館1階  レザーグッズ

「日本を代表する真面目な革小物ブランド。注目すべきは、イタリアと日本の革をコンビで使っている点。外装には手馴染みの良いイタリア・ボナウド社のシュリンクレザーを、内装には国内のタンナーが手掛けるシラサギレザーを使いました。このシラサギレザーはクロムとタンニンのコンビ鞣し革。繊維が詰まっていてシワが出にくく、アニリン仕上げの透明感と独特のむら色が高級感ある素材なんです。2つ折り、長財布、名刺入れとバリエーションを多彩に、カラーもブラック×ネイビー、ブラウン×ネイビーを用意しました。」

宮下創太

伊勢丹新宿店メンズ館1階 メンズアクセサリーバイヤー

今夏は見事母校が優勝を果たした、甲子園出場経験のあるメンズ館の名物バイヤーが、今春より1階メンズアクセサリーを担当。紳士靴バイヤーを長く務めた経験から、革素材に精通する。

 
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Text：Yasuyuki Ikeda
Photographer：Natsuko Okada (Studio Mug)