【インタビュー】アートへと昇華した<Raw Life Factory>の鉢植え最新作が、伊勢丹新宿店での「個展」に集結!!
コーデックス(塊根植物)などレアな観葉植物の人気が沸騰するのとシンクロするように、その愛好家たちから絶大な支持を集め、手にすることがどんどん困難になっている陶器鉢の作家ブランド、<Raw Life Factory/ローライフファクトリー>。彼らは昨年7月以来となる「個展」の開催地に、伊勢丹新宿店メンズ館を選んだ。
個展に来場する権利すら当選しなければ手に入らないだけに、新作数十点が一堂に介し、だれもが生で目にすることができるチャンスは極めてまれだ。この貴重なイベント開催を前に、<Raw Life Factory>の作り手である田島浩司氏にインタビュー。そのクリエーションの背景と制作にかける想い、イベントの見どころについて話を聞いた。
- 開催場所:伊勢丹新宿店 メンズ館1階 プロモーション
*誠に勝手ながら、2023年2月24日(金) 伊勢丹新宿店本館・メンズ館は全館イベント開催につき休業させていただきます。本館地下1階・地下2階は正午から午後8時まで営業いたします。
いま最も熱い注目を集める作家による、“ライフクリエイトブランド”
群馬県出身の陶芸家・田島浩司氏とその妻・友紀子氏が手がける<Raw Life Factory>は、コーデックス(塊根植物)に代表される珍妙な樹形の植物にベストマッチする、作家もの植木鉢の代表格。また単独でアートとして、オブジェとして機能するほどの高い芸術性と希少性によって、熱狂的なファンを獲得している“ライフクリエイトブランド”だ。陶器製の植木鉢にほぼ特化し、浩司氏の故郷に近い群馬県太田市にある工房で制作を行っている<Raw Life Factory>。ゆえに陶器あるいはポットブランドと呼んでも差し支えないはずなのだが、あえて“ライフクリエイトブランド”と呼ぶのには理由がある。それを彼らのクリエーションを、その言葉(インタビュー)を通して紐解いていこう。
神奈川の会社員が、群馬で陶芸家を目指した理由。
「神奈川に暮らし、やりたくない仕事をやらなければならない、すごく苦しい会社員時代を過ごすなかで、自分が本当にやりたいことをイチから探し出そうと決意しました。子どもの頃から手を動かすことが好きで、群馬で生まれ育ったから笠間や益子という焼き物の産地が身近にあったというのが、陶芸家を志した一番の理由ですね」20代も半ばを過ぎた、会社員でありながら一念発起。老人ばかりの陶芸教室では異質の覚悟と真剣さで、いざ陶芸家への道を進もうと歩み始めた田島氏。思い起こせば小学生時代、授業で作った素焼きの埴輪が、学校の代表として選ばれたという成功体験があった。その頃から、「土器っていいな」っていう思いを抱えていたのだと教えてくれた。
その後、陶芸家になるためのより高い技術と知識を得るために、益子焼の職業訓練校の入学試験を受験した田島氏は、まさかの不合格という大きな挫折を味わうことになる。
「自分は益子の方が実家からも近かったし、栃木の益子焼の方が、茨城の笠間焼よりもネームバリューがある。だから絶対益子に行きたかったんですけど……。でもそこに落ちて、笠間に拾われたおかげでいまがある。これはもうすごいご縁だったんだな、いい“遠回り”をさせてもらったな、と思いますね」
試行錯誤で進化し続けてきた、6年間の歩み
<Raw Life Factory>の作品はその大きさに関わらず、どれもが “唯一無二”の圧倒的存在感を放つ。緻密さと大胆さ、繊細さと力強さ、冷たさと温かさ、そして無機性と有機性などが奇跡的なバランスで同居し、陶器でありながら磁器や鉄器のような、独特の表情を見せてくれるのだ。「作りたいものを作るというのが、私たちのスタンス。周りからどう思われるかというよりも、自分がどんだけ楽しいと思えるか、自分が美しいと感じるものをとことん突き詰めて制作するというスタンスは、いまも昔もまったく変わらないですね」
そう語る田島氏は、日本を代表する陶芸家である寺本 守氏の下での修行を終え独立した当初は、「器としての作り方のセオリーを大事にしながら楽しく制作をしていたという。
「少しずつ器としての鉢ではなく、オブジェとしての鉢を作る感覚にシフトすることで、セオリー通りの常識に違和感を感じるようになり、そういったものを取っ払う自分独自の制作美学が生まれました。これがかなり大きかったと思いますね。自分のなかの美学として、焼き物の“尾ヒレ”としての陶器鉢は、これでいいんだ!という確信をもつことができたんです」
築窯しておよそ6年───<Raw Life Factory>のクリエーションは進化を続け、常に新鮮な驚きを与えてくれる。また市場での人気と評価の高まりもとどまることなく、いまではその作品を購入するどころか、実物を目にすることすらままならない状況だ。
理想の「黒」を追い求めて
そんな<Raw Life Factory>を象徴するのが、言葉で表現しようのない黒色。その色味、奥行き、質感は実にさまざまだが、「黒」という色の表現だけを見てみても、6年間の進化の過程を感じることができる。面白いのは、自身が最もこだわる黒色の追求でさえ、あえて焼成段階で白くなる磁器土を素材に用い、釉薬と加工で黒を目指すという、あえて“遠回り”するかのような工程を選んでいることだ。
田島氏は近道が嫌いなひねくれ者なのか? そんな質問を率直にぶつけてみた。
「そもそも焼き物というものは、窯ありきで逆算して制作するもの。作りたいものが思い描けたとき、まず考えるのは“窯でどう焼くか”。次に”窯にどう詰めるか”で、釉薬、轆轤(ろくろ)と、すべて逆算していくんです。あえて“遠回り”しないと、逆に思わぬトラブルがあったりするんですよ。
私たちは制作に手間と時間をかけることで、歪みを最小限にできるなどの恩恵を得ています。メリットが多々あるので、そういう考え方と作業が染み付いて、自分の生き方にも反映されているような気はしますね。近道が絶対的な近道というわけじゃないことを、分かっているんです」
ではクリエーションの進化の過程で、理想の「黒」に変化はあったのだろうか? いま考える理想の「黒」とは、果たしてどんな黒色なのだろうか?
「現代陶芸のトレンドとして、マットな釉薬というものがすごく流行ってるんですが、ひとくちにマットといっても結構いろいろあるんです。昔から少し光沢と硬さのある、ガラス質のマット感みたいなのが自分は好きで、そういう漆黒のような黒を理想としてきました。
でもそれがなかなか出なくて実験を繰り返しているうちに、ちょっとだけツヤが出てしまったり、一部分だけすごくガサガサなうぶ毛が生えたような表情が出たり、逆にキラッと金色に光ってしまったり……。そういう色んな黒を経験してるうちに、ただの漆黒では黒さが足りないということが分かったんです」
毎日のように、真剣に、魂を込めて「黒」と向き合ううち、だんだんと自分の黒が本当の「黒」じゃないと感じてきたという田島氏。
「やっぱり毎日研究していると、徐々に見えてくる。自分には、黒のなかに青み、紫、あと茶色が混在すると、コントラストと光の反射の効果で完璧な『黒』に見えるんです」
自分が求める要素が全部入りしている黒が、理想の「黒」だという、田島氏。薪窯で焼いたような荒々しい焦げ、自然のイタズラが奇跡的に顕れたツヤ、天目茶碗のような結晶然としたもの……。
「どんどん、欲張りになってきてしまってますね(笑)。でもその黒のなかに自分の6年間のすべてが入っている『黒』を見た時、涙が出るぐらい感動してしまうんです。
昨年の7月くらいに『玉連』というシリーズ作品が完成したときは、私が思い描いた完璧な『黒』だと、初めて思いました。むしろ、想像以上。“その先の『黒』”が出てきてくれました。こういう面白さがあるから、やっぱり焼き物はやめらんないですよね」
夫婦の二人三脚と、<Raw Life Factory>の未来像
理想の「黒」を共有し、同じ道のりとゴールを見据えるパートナーである友紀子氏の存在は、田島氏と<Raw Life Factory>にとって欠かすことのできない大切な存在だ。「まったく同じビジョンを見ているので、窯を開けた時の仕上がりの良し悪しっていうのも、一番分かっているのもカミさんです。
作品のネーミングに最適な美しい漢字を当ててくれるのもそうですし、あらゆるところに携わって、一緒にやってくれている。私にとっては一番大きな存在ですね」
朝から晩まで一緒に過ごし、仕事も、プライベートも、育児でもどんなことを考えているか全部を共有。向いてる方向性も一緒だという田島夫妻。
轆轤作業を中心に行い、ベースを形づくるのが浩司氏、そしてそれを削ったり、繊細な加工をしたり、仕上げたりする作業は、より手先が器用な友紀子氏が行うというのが、<Raw Life Factory>におけるスタンダードなのだとか。
「制作においても、普通は伝わらないであろう感覚や作業の内容だって、カミさんには伝わるんですよね。何も言わなくても自分の理想通りに手を動かしてくれて、それ以上のものをやってくれたりすることも。それはもう本当にありがたいなって、日々思っています。思わない日はないくらいですね」
今年で8歳になる娘も、焼き物への興味を示し始めているという田島家。浩司氏は、早くも未来を見据えた準備に着手しているようだ。
「最近は窯仕事や釉薬を塗るのも、カミさんにガッツリ手伝ってもらっているんです。子どもが少し手が離れたら、焼き物の知識をもっと二人でシェアして、最悪自分がいなくなってもカミさんひとりで回せるようにしたい。
娘は以前は『陶芸家になる』って言ってたんですけど……、この前訊いたら、『やっぱりYouTuberになるっ』て言ってました。すぐ変わっちゃうんで、困っちゃいますね(笑)」
伊勢丹新宿店で、「個展」を開催
昨年10月、東京・調布の建材メーカー<TIMBER CREW PRODUCTS>とのコラボレーションで、伊勢丹新宿店に初お目見えを果たした<Raw Life Factory >。2回めの登場となる今回は、晴れてブランド単独の「個展」としての開催となる。「伊勢丹さんで展示していただけること自体が、とても光栄なこと。2回目をご依頼いただいたこと、継続していただいたということが、とにかく大切で何よりうれしいことだと思いますね。
抽選に当たらなくても、足を運べば作品を見られるという環境、しかもそれが伊勢丹さんというこれ以上ない素晴らしい場所で……。そういうお声掛けをいただけたということが、大変ありがたかったです」
これまで、一歩一歩を踏みしめながら、着実に、ゆっくりと進化しててきた<Raw Life Factory>の最新形態を見ることができる。そしてもしかすると、手に入れることができるかもしれない───そんな二度とない機会となるかもしれない「個展」レベルのオープンイベントが、新宿で開催されるという幸運。ゆっくりと噛みしめてみては、どうだろうか?
どんな作品が一堂に介するのか、田島氏に訊いてみた。
「これまでのウチの作品をもっている方にも、さらに進化した姿を見せられるんじゃないかと思っています。工程自体増やしていますし、かなりエッジを効かせたいいものができているので、前回の制作とはまったく別物に仕上がっているという感覚が、私のなかにはありますね。そして、新しい形や釉薬を用いた鉢がたくさんあります。今までを知ってくださっている方はもちろん、はじめて見て頂く方にも今の<Raw Life Factory>を感じ取っていただける作品達になっています」
そう語る田島氏が願うのは、植木鉢というものをもっと、広く知ってもらうこと。そして一家にひとつは、陶器鉢を置いてもらえるような文化を醸成することだ。
「植木鉢なんて知らないし、興味もないという方に、特に見ていただきたいという思いはありますね。植える植物は、別にコーデックスとかおしゃれなものはなくてもいいと思うんです。パンジーだったり、野菜だったり、雑草でも木でも、何でもいい。やっぱり陶器鉢って温かみがあって、家にひとつあるだけで、すごく落ち着く気がするんです。
植木鉢って焼き物のなかでも、これまであまりフォーカスされて来なかったジャンル。だからこそ植木鉢は家に必ずあるもので、『お宅の植木鉢はどんなもの?』なんて会話が自然と生まれるような世の中になればいいなと思いますね」
やっぱり<Raw Life Factory>は、ただの陶器鉢ブランドではない。日本の文化と暮らしをデザインする、“ライフクリエイトブランド”なのだ。
<Raw Life Factory>販売方法に関して
<Raw Life Factory> 販売方法に関して全て抽選販売を行います。
<Raw Life Factory>の植木鉢と<TIMBER CREW PRODUCTS>のウッドボードまたはキューブとのセットとなります。
場所:伊勢丹新宿店メンズ館1階プロモーション
■抽選応募受付期間
2023年2月22日(水)午前10時~3月7日(火)午後8時まで
*2月24日(金)は全館イベントのため休業しております。
■抽選販売応募方法
応募対象作品の作品番号を店頭にてご確認の上、店頭端末にてフォームにご入力いただきます。フォームの送信をもって、応募完了となります。
*会期中にご来店いただいた方のみ抽選にご応募いただけます。
*エムアイカードをお持ちの方と、エムアイカード新規オンライン申し込みが完了している方を優先させていただきます。
*エムアイカードをオンラインで新規お申し込みご希望のお客さまは、応募フォーム掲載のURL、またはこちらのリンクよりお申し込みください。
指定されたURL以外からエムアイカードをお申し込みされた場合、対象外となりますのでご注意ください。
*応募方法と異なる方法でお申し込みをされたお客さまは、期間中の応募も無効とさせて頂く場合がございますので、何卒ご了承の程、よろしくお願いいたします。
■ご購入方法
当選された方のみ3月15日(水)から3月19日(日)までに、応募時に入力いただいた携帯電話番号へSMSにて決済カートのURLをお送りいたします。
*決済URLはご本人さま専用です。
*ご本人さま以外の決済が確認された場合キャンセルとさせていただきます。
*決済は、MIカード、MI友の会、他社クレジットカードのみになります。
*記載された期間内にご決済いただけない場合キャンセル扱いとなります。
*ご決済後のキャンセルは承れませんので、ご了承ください。
*ご購入には三越伊勢丹WEB会員のご登録が必要となります。
■発送について
すべて配送でのお渡しとなります。
*3月22日(水)以降、順次発送となります。
場合によっては、発送が早まることや遅くなることがございますのでご了承くださいませ。
*配送料は別途頂戴いたします。
*ご配送の日時指定は承る事ができかねますので、予めご了承くださいませ。
■注意事項
*すべて1点物となります。店頭にて作品およびボードのご確認をお願いいたします。
*お客さまのご都合による返品・交換は承ることができかねますので、予めご了承をお願いいたします。
*本抽選応募はお一人様1回のご応募とさせていただきます。複数回のご応募に関しましては、無効とさせていただきます。予めご了承ください。
- 開催場所:伊勢丹新宿店 メンズ館1階 プロモーション
*誠に勝手ながら、2023年2月24日(金) 伊勢丹新宿店本館・メンズ館は全館イベント開催につき休業させていただきます。本館地下1階・地下2階は正午から午後8時まで営業いたします。
Text:Junya Hasegawa(america)
Photograph:Tatsuya Ozawa
*価格はすべて、税込です。
*本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
お問い合わせ
伊勢丹新宿店 メンズ館1階 プロモーション
電話03-3352-1111 大代表