【パンツ徹底解説】サイズ選びのポイントを3大ブランドで試してみた!
自分の体型に合ったスラックスを見つけよう!――イタリアブランドを中心に、常に300種類以上のパンツを揃える伊勢丹新宿店メンズ館5階 メンズテーラードクロージングの「パンツ編集ゾーン」。ブランドごとに個性や美学があり、違いは微差でありながらも穿き心地や見た目は確実に違います。
メンズ館で支持されているスラックス3大ブランド<インコテックス>、<ピーティートリノ>、<ジーティーアー>から人気の代表モデルをピックアップし、それぞれの「ノープリーツ」と「ワンプリーツ」を徹底的に比較。標準体型のフィッティングの実例を参考に、ご自身の理想に合ったブランド×モデルを見つけてみよう!
気持ちよく穿けるパンツ選び。イタリアを代表する3大パンツブランドを押さえておけば間違いない!
1.INCOTEX / インコテックス
<インコテックス>は、1951年にイタリア・ヴェネツィアで創業したパンツ専業ブランド。「パンツをワードローブの主人公へと導く」と宣言する通り、伝統的なテーラードの技術に裏打ちされた穿き心地の良さが特徴です。豊富な素材選びに加えて、継続的に改良を重ねるウォッシュ加工や染色などの技術により、常に時代性を感じさせる生地を開発。快適な穿き心地と時代性の両立により、世界で高い評価を得ています。「35」(スリムフィット&ノープリーツ)
「31」(スリムフィット&1プリーツ)
2.PTTORINO / ピーティートリノ
<ピーティートリノ>は、2008年にイタリア・トリノで「メンズクロージングにおいて最も重要なアイテムはパンツ」というコンセプトのもと、パンツ専業メーカーとして誕生。それまでクラシック一辺倒だったドレスパンツの世界に、幅広いデザインリソースから取り入れた多彩なバリエーションを揃え、パンツの多様性を広げました。美しいシルエットを備えた<ピーティートリノ>のパンツは、究極のパンツを創るという矜持の現れです。「SUPERSLIM FIT」(スリムフィット&ノープリーツ)
「NEW GENTLEMAN FIT」(テーパード&1プリーツ)
3.GTA / ジーティーアー
<ジーティーアー>は、1955年にイタリア・セルバッツァーノで創業したパンツ専門ファクトリーのモーダ社のオリジナルブランド。厳選された上質な生地を使用し、サルトリアのドレスパンツに用いられる高度な技法を駆使するなど、徹底した作りへのこだわりと美しさを追求。抜群のシルエットと、極上の穿き心地に定評があります。「800」(スリムフィット&ノープリーツ)
「JACOPO」(テーパード&1プリーツ)
少しの差でシルエットに違いが出ます。「ノープリーツ」代表格モデルを徹底比較!
スラックス選びで大切なシルエット。寸法の違いが1cmだったとしても、シルエットに大きく影響がでます。それぞれのモデルの寸法や着用を比較し、そのポイントを徹底解説します。それぞれのブランドの代表的な「ノープリーツ」の人気定番モデルを穿き比べました。
*【撮影モデル】身長180cm体重62kgの普通体型 / 着用サイズは全て「46」/モデル寸法股下76cmで統一しています。
1.<インコテックス>モデル「35」
【採寸データ】
ウエスト80cm、ヒップ94cm、股上21cm、渡り30.5cm、膝幅20.5cm、裾幅17.5cm(股下76cmの場合)
<インコテックス>モデル「35」の特徴
<インコテックス>の大定番のベストセラーモデルが、スリムフィット&ノープリーツの「35」。日本人体型に合わせて平尻補正を加えたモデルで、多くの日本人体型にきれいにフィットしやすいのが特徴。コンパクトな腰回りで、股上が今回の比較モデルの中では最も浅く、センタークリースがまっすぐ下に落ちる優秀なパターンで、スリムストレートなシルエット。
2.<ピーティートリノ>モデル「SUPERSLIM FIT」
【採寸データ】
ウエスト80cm、ヒップ96cm、股上22cm、渡り30cm、膝幅21cm、裾幅17cm(股下76cmの場合)
<ピーティートリノ>モデル「SUPERSLIM FIT」の特徴
股上が浅く、渡りから裾口まで全体的に細身のシルエット。細身でありながら、ヒップ寸法にややゆとりがあるので、ヒップがキュッと上がって見えます。脚が細長く見えるシルエットで、リピートが絶えないベストセラーモデルです。
3.<ジーティーアー>モデル「800」
【採寸データ】ウエスト80cm、ヒップ95cm、股上23cm、渡り30cm、膝幅21cm、裾幅17.5cm(股下76cmの場合)
<ジーティーアー>モデル「800」の特徴
<ジーティーアー>を代表するモデルである「800」。均整の取れたスリムフィットモデルで、ノープリーツで腰周りがすっきり見えます。マーベルトの内側にプリーツを施すなど随所にサルトリアディテールが息づき、今回の比較モデルの中では股上が最も深く、上記2ブランドのモデルに比べ全体的に少しゆとりのある作りとなっています。
「ノープリーツ」選びの3つのポイントを押さえて自分に合ったモデルを見つけよう!
POINT1:ヒップ
パンツのシルエットの中でも重要な部分のうちの一つであるヒップ。ヒップの形によってフィットするモデルも違ってきます。<インコテックス>は他の2ブランドと比べ、日本人の体型に多い平尻向けに作られているため、コンパクトな見た目となります。それに対して他の2つのモデルはヒップ寸法にややゆとりがあるため、比較的ヒップに筋肉がついている方などにフィットしやすいです。ヒップと渡りの差のバランスをしっかり見比べてみるのも、好みのスラックスを見つけるコツです。
POINT2:股上
股上は、穿き心地にダイレクトに影響してくる部分で、同じウエストの大きさでも、股上が深くなるとややウエストにゆとりが生まれやすくなります。この3ブランドの中だと<ジーティーアー>の「800」が最も股上が深いモデルです。また、股上が深いほど視覚的な足長効果も期待できます。
POINT3:ヒップ〜渡り~膝~裾幅までのバランス
3ブランドのパンツを横から見ると、ひとくくりに「ノープリーツのスリムフィット」といっても、ヒップ~渡り~膝~裾幅までのバランスが三者三様であることがよく分かります。
例えば、<ピーティートリノ>の「SUPERSLIM FIT」は、ヒップと渡りの境目がはっきりしており、ヒップの丸みがわかりやすいシルエットで、裾まで細さがキープされています。また、<ジーティーアー>の「800」は、ヒップの終わりが食い込んでおらず、渡りまでの流れが自然です。
動画で解説!【パンツ選び】体型別で選ぶパンツの選び方(標準体型、細身体型、やや大きめ体型)
【前編動画はこちら】
▶【パンツ採寸】採寸のプロに訊く!一人でできるパンツの採寸方法とは?】
「ワンプリーツ」定番モデル比較。同じディテールのモデルでも個性が出る
<インコテックス>、<ピーティートリノ>、<ジーティーアー>を代表する「1プリーツ」の人気定番モデルを穿き比べました。同じディテールのモデルでもブランドによって全体のシルエットに差が出ます。
*着用サイズは全て「46」/モデル寸法股下76cmで統一
1.インコテックスモデル「31」
【採寸データ】
ウエスト80cm、ヒップ94cm、股上21cm、渡り30cm、膝幅21cm、裾幅17.5cm(股下76cmの場合)
<インコテックス>モデル「31」の特徴
2021年春夏より1プリーツの定番モデルが「31型」に統一。細身ではあるものの渡りには適度なゆとりがあり、裾口に向かってテーパードが効いているシルエットです。まっすぐ下に落ちるセンタークリースが、すっきりとしたレッグラインを演出します。
2.<ピーティートリノ>モデル「NEW GENTLEMAN FIT」
【採寸データ】
ウエスト80cm、ヒップ98cm、股上25cm、渡り30.5cm、膝幅21.5cm、裾幅18.5cm(股下76cmの場合)
<ピーティートリノ>モデル「NEW GENTLEMAN FIT」の特徴
ワンプリーツタイプで、股上はやや深く、渡りにややゆとりがあるものの、膝下を絞ることでモダンなテーパードシルエットに。フォグポケットなどのクラシカルなディテールがあるのもポイントです。三越伊勢丹限定の「NEW GENTLEMAN FIT」は、従来の細いシルエットから、少し緩めのテーパードに変更。股上が深いので脚長効果も期待できます。
3.<ジーティーアー>モデル「JACOPO」
【採寸データ】
ウエスト80cm、ヒップ95cm、股上23cm、渡り33cm、膝幅21.5cm、裾幅18cm(股下76cmの場合)
<ジーティーアー>モデル「JACOPO」の特徴
ベーシックなテーパードシルエットの「JACOPO」。ワンプリーツ仕様で、腰周りと渡りはゆとりがあり、極端な細身が苦手でも快適に穿くことができます。長めの持ち出しとまっすぐに落ちる美しいクリースラインも印象的。「JACOPO」は今回紹介したモデルの中で最も渡りが太いですが、膝幅・裾幅どちらも適度に細身に作られているので、太いからといって野暮ったさは感じられません。
「ワンプリーツ」シルエットの決め手はヒップ、プリーツ、渡りから裾幅までのバランス!
「ノープリーツ」モデルを比較したのと同様、ヒップはスラックス選びの中で重要なポイントなので、この3モデルもアップで比較してみました。わずかな差を参考にして自分に合ったモデルを見つけてみてください。POINT1:ヒップ
<インコテックス>の「31」は1プリーツでありながらも腰回りから渡りがコンパクトな仕上がりで、すっきりとした見た目。一方、<ピーティートリノ>の「NEW GENTLEMAN FIT」、<ジーティーアー>の「JACOPO」のように、ヒップと渡りのどちらもゆとりがあると、ヒップの最も高い部分だけがフィットするので、逆に身体のシルエットをうまく隠して、ヒップから膝まで生地が取られることなく美しいテーパードシルエットを作ることができます。
POINT2:プリーツ
プリーツのあるスラックスは正面に表情が出るため、普段ノープリーツ派の方にこそオススメしたい“プリーツありのスラックス”。この3モデルはテーパードがしっかり効いて、全体的にスリムなので、プリーツありでもモダンな印象をアピール。また、股上が深いモデルに関しては、腰の位置が高くなるので、その分脚長効果が期待できます。
POINT3:ヒップ~渡り~膝~裾幅までのバランス
<インコテックス>の「31」は全体的に細身なシルエット。<ピーティートリノ>の「NEW GENTLEMAN FIT」はヒップから渡りにかけてややゆとりはあるものの、渡りから下はすっきりとした印象。 <ジーティーアー>の「JACOPO」は渡りまでゆったりとしていて、膝から細くなっているため、テーパードシルエットがわかりやすいのが特徴です。
動画で解説!【パンツ採寸】採寸のプロに訊く!一人でできるパンツの採寸方法とは?
伊勢丹新宿店メンズ館スタッフが自分に合ったパンツの選び方を採寸方法、体型に合わせたおすすめのパンツの選び方を解説。パンツ選びの参考に!Text:Makoto Kajii
photograph:Tatsuya Ozawa
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