【インタビュー】『VCM LIFESTYLE COLLECTION』で出合う価値あるヴィンテージが、 日々の暮らしをさらに上質にする―「VCM」十倍 直昭氏
伊勢丹新宿店メンズ館 1階のリモデルで新設されるプロモーションスペースにおいて、記念すべき第1弾イベントとして2月16日(水)から行われる『VCM LIFESTYLE COLLECTION』。ここでは日本最大級のヴィンテージ総合ECモールである「Vintage Collection Mall(VCM)」による監修の下、時代を超えて愛される、“価値あるヴィンテージ”のライフスタイルアイテムが勢揃いする。オーガナイズを手掛ける「VCM」代表の十倍直昭氏に、イベントの見どころやヴィンテージの魅力と選び方のコツ、いまヴィンテージに“投資”する意義や歓びについて話を訊いた。
- 開催期間:2022年2月16日(水)~3月1日(火)
- 開催場所:伊勢丹新宿店 メンズ館1階 プロモーション
こだわりのヴィンテージショップばかりが集う、総合ECモール〈VCM〉とは?
2022年2月16日(水)、伊勢丹新宿店メンズ館は大胆なリモデルを実施する。メンズ館1階中央の広大なスペースは「つながり」というコンセプトを掲げ、 時代を象徴するヒト、モノ、コトにフォーカスした新しい発見との出合いをもたらす“場”として生まれ変わる──メンズ館1階 プロモーション。メンズ館1階 プロモーションの記念すべきローンチイベントは、日本最大級のヴィンテージ総合ECモールである「VCM」が監修するヴィンテージの祭典、『VCM LIFESTYLE COLLECTION』。「時代とつながる」をテーマに、さまざまな時代や文化の家具やアクセサリー、雑貨などを集積し、編集。時を超えて受け継がれるヴィンテージのライフスタイルアイテムだけが持つ、奥深い魅力や特別な価値との出合いを提供する。
このイベントをオーガナイズする十倍直昭氏は、ファッション・インテリア・ライフスタイルの3軸で構成され 、100店舗以上のヴィンテージショップが参加するオンラインモール「VCM」の代表であり、渋谷 神南に実店舗、オンラインショップを運営する「GRIMOIRE」の代表でもある。そんな十倍氏に、まずはなぜヴィンテージに興味をもち、それを生業にしようと考えたのかを尋ねてみた。
「僕が最初に古着に興味をもったのは、16才くらいの頃。映画や音楽が大好きだったんですがインターネットが盛んではない時代ですから、そういうカルチャーを掘り下げていくには、現地を旅するしか方法がなかったんです。バイト代を貯めて初めてニューヨークを旅しているなかで、あるフリーマーケットを訪れました。ファッションはもちろん、雑貨も家具も、とにかくさまざまな年代の魅力的なモノがびっくりするほどたくさんあったんです。これには衝撃を受けました。」
カルチャーを入り口に、“本場”で古着の魅力に取り憑かれた十倍さんは、晴れて筋金入りのヴィンテージマニアとなった。
「初めての海外旅行でヴィンテージの洗礼を受けると同時に、日本と海外とを行き来する仕事に就きたいと考えるようになりました。その後20代前半でバックパッカーしていろんな国を旅したときは、アメリカ以外の国々にも、それぞれに素晴らしいヴィンテージがあることを知りました。昔の製品は生産効率が悪かった代わりに、その分ちゃんと人の手が入っていた。人がやらざるをえなかったとも言えます。そういうモノは大量生産時代のモノとは違って数も少ないうえに、品質も優れていることがわかったんです。だから価値がある。洋服の生地も家具の素材も、新品よりもヴィンテージのほうが優れている──そういうことを伝える仕事がしたいとも思いました」
好きが高じてヴィンテージを扱う仕事を決意したものの、オリジナリティがなくては勝負できないと考えた十倍氏。出した結論は、まだ国内では珍しかった、ウィメンズ専門のヴィンテージショップを開くことだった。
ヴィンテージの新たな価値を提案する、十倍直昭の取り組み
「GRIMOIREをオープンした2008年頃から、原宿界隈では個性を強調したストリートファッションの人気が高まり、オーセンティックなアメカジ古着屋に加え、オーナーやバイヤーの趣向が色濃く現れる、セレクトショップのようなヴィンテージショップが増えていきました。その中でGRIMOIREは、ビルの7Fという隠れ家的な場所で、ショップをオープンさせました。さまざまな個性溢れるショップが続々とオープンしている環境だったからこそ、より強く、ヴィンテージの新たな価値を提案したいと考えるようになったのかもしれません。折しもブログなどのSNSの人気が高まってきて、情報は自分から発信して、自分からキャッチしにいく時代がやってきていた。これからは“立地”に左右される時代ではない。だから分かりづらくアクセスしにくい場所にあっても、わざわざ行くメリットを感じてもらえる古着屋であることを最優先に考えました。その答えが、当時は圧倒的に少数だった、ウィメンズ専門の古着屋にするというだったんです。」
戦略として「GRIMOIRE」ではウィメンズに特化したものの、ヴィンテージのメンズファッションや家具などへの情熱も捨てきれなかったという十倍氏。いつかはそれぞれの分野で個性を発揮するショップと組んで、一緒に仕事をしたいという構想を抱き続けていた。
「僕はホントにヴィンテージが大好き。だから自分が扱っているフィールドであるウィメンズを固めたうえで、昔から好きでこだわっていたインテリアにチャレンジすることにしました。「GRIMOIRE」の内装を見た知人からの依頼を皮切りに、バーやオフィスなどの内装をコーディネートする仕事も手掛けるようになったんです。
ウィメンズ、メンズ、インテリアなどヴィンテージに関わる幅広い仕事をしたいと考えていました。そんな中、パンデミックが起こった。あらゆるヴィンテージショップが、古着を販売することに注力するようになっていきました。」
これまでもヴィンテージイベント等を主催することで、ヴィンテージショップとの繋がりが多くあった十倍氏は、あっという間に90店舗以上(当時)のヴィンテージショップを集め、2021年6月、日本最大級のヴィンテージ総合ECモール「VCM(Vintage Collection Mall)」をローンチした。
「コロナ渦で厳しい状況だからこそ、みんなで協力ましょう、と。元々僕は個性豊かなショップが一箇所に集まることに、大きな可能性を感じていましたから。また、モールの立ち上げ当初から、ECでの販売だけでなく、海外のフリーマーケットのようなリアルイベントの実現も構想していました。フリーマーケットのような実店舗での実現も諦めてはいませんでした。この『VCM LIFESTYLE COLLECTION』もその思いのうちの一つというわけです。」
“価値あるヴィンテージ”と“ネクストラグジュアリー”
倉俣史朗、フィリップ・スタルクなど、偉大な建築家やデザイナーが手掛けた不朽の名作チェア、さりげないアクセントとして日々の暮らしを彩るオブジェや雑貨、歴史と文化を強く感じさせるラグやポスター、作り手の想いが込められたアクセサリーなど、この『VCM LIFESTYLE COLLECTION』では、人から人へ、時代も国境もを越えて受け継がれてきた良質なヴィンテージアイテムとの出合いが期待できそうだ。ヴィンテージを取り入れる暮らしの豊かさ、古さによって損なわれることのない本質的な価値、人類の遺産を後世へと伝えるという重要な役割を担う歓び──。あえて衣料品ではなく、ホームファニシングやライフスタイルアイテムに特化することで、「時代とのつながり」というテーマが誰にとっても色濃く感じられる内容となっている。
「VCMの理念は、価値あるヴィンテージを後世に遺すこと。世の中には本当にたくさんの価値あるヴィンテージが存在しているんですが、それをしっかり受け継いでいくためには、“理由”を伝えなければいけません。つまり、モノを売るだけでなく情報も届けなければいけないと僕は考えます。
もちろんSDGsやサステナビリティという価値観は、ヴィンテージ人気を支えている大きな要因のひとつです。でもVCMという取り組みで僕が願ってやまないのは、一人でも多くの方に“価値あるヴィンテージ”というものに気づいてほしいということなんです」
『VCM LIFESTYLE COLLECTION』というイベントを大々的に開催することによって、伊勢丹新宿店はこの’価値あるヴィンテージ”がイセタンメンズの顧客にとって有意義で、本当に価値があるものであることを認めたといえる。
「伊勢丹新宿店は、日本を代表する百貨店だと僕は思っています。そういう店が、自分が信頼するプロフェッショナルたちが本当に“価値あるヴィンテージ”だと考えているモノを、お客様に“つなげる”手助けをしてくださる。こんなにありがたいことはないですね。現在ヴィンテージは、その希少性から、年々と価値が高まっています。今やラグジュアリーブランドと引けを取らない値段がつくものも少なくありません。そんなヴィンテージの価値を日本一の百貨店が認めてくださったことで、世の中の認識も変わっていくかもしれません」
ラグジュアリーとはなにか? ただ最高級の素材を駆使した、高級ブランドが手掛けた製品というだけでは不十分だ。たとえ古くても、時を経ても、使用感があっても損なわれない価値を備えたモノ。そういった“価値あるヴィンテージ”を生活に取り入れ、大切に使いながら後世に伝えていく──これこそ現代における、真のラグジュアリーではなかろうか。
「僕がVCMを立ち上げるにあたって、企画書のなかで皆さんに一番にお伝えしたメッセージ。それは、みんなで“価値あるヴィンテージ”を遺し、”ネクストラグジュアリー”を提案していきましょう、ということでした。追加生産することができないヴィンテージアイテムは、減ることはあっても決して増えることはありません。そして状態も含めて考えれば、同じものは世界に2つと存在しない。つまり、“価値あるヴィンテージ”とは、アートのような特別感と希少性、そして資産的な価値を備えた”ネクストラグジュアリー”であると言えるのです。」
ヴィンテージとの出合いはまさに、“一期一会”
たしかに“価値あるヴィンテージ”は、これからの“ネクストラグジュアリー”と呼べる存在かもしれない。とはいえヴィンテージにあまり親しんでこなかったがために、「選び方も、取り入れ方も分からない!」という方もいるかもしれない。だが安心してほしい。いまの暮らしにヴィンテージアイテムを取り入れるのは、それほど難しいことではないのだと十倍氏は教えてくれた。「たしかに、いきなり大型家具からというのは、ちょっとハードルが高いかもしれません。ご自分のライフスタイルに初めてヴィンテージを取り入れるという方に僕がご提案しているのは、やっぱりフラワーベースなどの陶器系などの小物類から始めること。器って中身がなくても絵になりますし、どんな家にも馴染みやすいと思うんです。それからラグなどの敷物もオススメですね。」
家具で言えば、1950年代前後に制作されたミッドセンチュリー系の家具やプロダクトは、復刻モノやリプロダクト製品も数多く、新品とヴィンテージをミックスしてもデザインのテイストが合わせやすいという。
『VCM LIFESTYLE COLLECTION』は、2週間限定のポップアップイベントだ。小物から大物、ヴィンテージテイストのプロダクトからマニア垂涎の名品まで揃い、「どなたでもきっと、新しい”なにか”に出合えると思います」という十倍氏。本来であれば、日本全国に散らばっている、あるいは普段目にすることができないような本当に”価値あるヴィンテージ”が、一堂に会する夢のような空間であるとも言える。そこでの出合いは、まさに一期一会。リアルな場でそれが実現し、触れ合うことができるこの機会を、むざむざ逃す手はないだろう。
手織りトライバルラグを中心に展示· 販売を行い、現地のライフスタイルや価値観を紹介するプロジェクトです。
トライバルラグは、風土や歴史に育まれた豊かな文化が色濃く図案に表れる。手織りに拘り、機械織りでは表現出来ない織り手の癖、想いが表れたユニークな作品を、熟練のピッカーが一枚一枚厳選してお届けする。
「圧巻のストックを誇る、ラグの専門店。実はここのオーナーは、ポスター専門店のWALLも手掛けています。中東、ヨーロッパ、メキシコのもの、100年前から現代のものまで、大小さまざまなサイズのラグを常時数千枚の在庫をもっているそうです。」
WALL
各国の1940 年代から2000 年代前後までの音楽、映画、アート、広告などのヴィンテージポスターをメインに取り扱う” vintage poster curating team” 。紙媒体が衰退していく中、紙を飾る、見るという文化的行為を届けつつ、各時代背景が伝わるデザインをヴィンテージポスターを介して伝えていくことを使命としている。
「ポスターの専門店。オーナーは海外経験が豊富で、とにかくカルチャーに精通しています。他では出会うことのできないコレクターズピースや、当時販売されていなかった非売品のレアポスターなども数多く保有しています。」
RUMHOLE beruf
代官山に店を構える、セレクト・ヴィンテージショップ。ヴィンテージアイテムはアメリカ各地より買い付け、 その服の年代や素材にあったシルエット直し・リフォームを施し丁寧にお届けしている。ウエアはもちろん、小物や雑貨に至るまで幅広く展開し、おもに'50 ~ '70 年代のものがメイン。今回は、カレッジリングなどのメンズジュエリーを中心に、ヴィンテージらしいこだわりが詰まったファッション雑貨を展開する。
「ファッションだけにとどまらず、ジュエリーやファッション小物にも力を入れているヴィンテージショップ。シルバーはもちろんですが、ゴールド系のカレッジリングやミリタリーリングも魅力。幅広い年代のアイテムが厳選してセレクトされています。」
SPEAKEASY
SPEAKEASY とは1920 年代、アメリカ禁酒法時代のもぐり酒場の総称。2008 年に「M VINTAGE SUNGLASSES COLLECTION」としてオンラインのみでデッドストックヴィンテージメガネ/ サングラスを展開し、SPEAKEASY と名を変え実店舗として生まれ変わった。2012年、神戸を基点にし、ヴィンテージメガネ/ サングラスをニューヨークでバイヤーの経験を積んだオーナーが、枠に囚われない独自の目線で商品を展開しておいる。今回の出店では、希少価値の高い本甲のメガネを中心に、40-50 年代のフレンチフレームを展開する。
「神戸に本店を構えるヴィンテージアイウエアの名店です。今回はフレンチフレームの黄金期である1940〜50年代のものメインに展開します。今回メンズ館でも、ヴィンテージフレームに精通したプロのスタッフさんがぴったりの1点を提案してくれます。」
Dowel
多様な事象のあいだの関係をつくるブランド。それは、家具と家具をジョイントする際に内部に差し込まれる小片/Dowel から着想し、ー黒と日常ーという予定調和から外れた新たな風景を模索する。希少性の高いデザイナーズ家具を中心とした、新宿伊勢丹メンズ館のためだけのとっておきのラインナップをご用意。
「普段は建築家としても活躍するオーナーさんによるショップです。倉俣史朗さんやオランダのマリオ・ボッタらによる、普段お目にかかることのできないデザイナーズチェアをご用意いただいています。」
JOGLAR
海と山に囲まれた藤沢市に佇む、JOGLAR。その扉を開けると美しいフランスアンティークの世界がそこに広がっています。重厚感がありながらも、どこか温かみも感じさせるアイテム達。フランスで1 点1 点買い付けてきたアイテムを中心に、希少価値の高いアイテムを出品する。
「鎌倉にお店を構える、フランスアンティークの専門店です。雑貨を中心に、日常に取り入れやすいアイテムから店舗什器など、本物のフレンチアンティークが幅広く揃います。」
sir
海外で集めたスターリングシルバー925 ジュエリー。1950 年代~80 年代のオールドメキシカンシルバーを中心に、アートやプリミティブな雰囲気を醸し出すユニセックスでエレガントな洗練されたデザインをセレクト。
「アメリカを中心に買い付けた、モダンなデザインのヴィンテージシルバージュエリーを取り扱っています。ジェンダーにとらわれず使用できる、モード感のあるヴィンテージをご紹介します。」
YŌKI
エジプトのガラス工房で作られたアートガラス。1点1点手作業でのハンドワークから生まれるエジプシャンアートはエキゾチックなフォルムやカラーが特徴。
「セレクトショップのポップアップ等でも人気急上昇中。色とりどりでカラフルなカラーや、さまざまなフォルムなど、どれにしようかと選ぶ楽しみもあり、これを置くだけで華やかな雰囲気が出せる銘品だと思います。」
VELVET CLUB
海外アーティストのアート作品やヴィンテージオブジェ、地球のアートピースと捉えた鉱物のコレクションをセレクト。
「前述のsirとYOKIを手掛けているオーナー夫妻による、オブジェコレクション。ユニークなデザインのアート系オブジェが強く、視点がとにかく面白い。インテリアのスパイス的に使えるアイテムが豊富です。」
- 開催期間:2022年2月16日(水)~3月1日(火)
- 開催場所:伊勢丹新宿店 メンズ館1階 プロモーション
Text:Junya Hasegawa(america)
Photograph:Yusuke Iida
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