【特集】「ウルトラギアマーケット」のキーパーソンと、高尾山に集合して「トレイルランはじめまして」
来たる3月に伊勢丹新宿店にて開催される、第6回「ウルトラギアマーケット」。主にトレイルランを通じてつながった、外遊びの達人たちによる文化祭的なイベントだ。伊勢丹新宿店では通常取り扱いのないアウトドアアクティビティ周りのアイテムが大集結すると、はや一部で熱い注目を集めている。
-
- 開催期間:3月2日(水)~3月8日(火)
- 開催場所:伊勢丹新宿店 メンズ館1階 プロモーション
- *諸般の事情によりメンズ館8階 イセタンメンズ レジデンスでのイベントは中止となりました。
そう、トレイルランニングの界隈には何だかお洒落で楽しそうなコミュニティがあるようなのだ。その中心地のひとつ高尾からは、この地を拠点としながら「トレルランのあるライフスタイル」を送る大人たちの盛り上がりがチラホラ聞こえてくる。
今回は三越伊勢丹の社員3名が、ウルトラギアマーケットの主催者・出展者であり、コミュニティのど真ん中にいる3人と高尾で合流。トレイルランに連れていってもらえる機会をいただいた。桑原さん、小林さん、ケンタロウさん。トレイルランにはどんな“面白”が待っているんですか?
【目次】「ウルトラギアマーケット」のキーパーソンと、高尾山に集合して「トレイルランはじめまして」
- トレイルラン編|僕たちがトレイルランをする理由
- 「Living Dead Aid」編|気がつけば仲間がいる
【トレイルラン編】|僕たちがトレイルランをする理由
三越伊勢丹 井土 友里(以下、井土):正直に言うと、今日は私、美味しいビールが飲めるという誘い文句に釣られてきました。
小林 大允(以下、小林):それは間違いない(笑)。トレイルランとビールは完全にセットです。
ケンタロウ:そうですね、走った後のビールはもう当たり前。汗を流した後に飲むと、普段と違うレベルの美味しさがありますね!
三越伊勢丹 杉田 修平(以下、杉田):でも、トレイルランにはハードなイメージがあって戦々恐々としていたんですよね。だからさっき、桑原さんが「登りは走らなくていいんですよ」と言って下さったのが印象的で。
三越伊勢丹 小野 拓馬(以下、小野):ホッとしました。
桑原 慶(以下、桑原):そこがマラソンとは一味違うところですよね。トレイルで体を動かすこと自体が目的で、それだけでスキーやサーフィンのようにシンプルに楽しいから、気持ちよく走るのが一番。もちろん追い込んで走る爽快感もあるんですけど。
杉田:僕はロードも走っているのですが、いざ走ってみるとトレイルの方が何倍も楽しいですね! ロードだと、どうしても走るペースが気になってしまいます。例えば1kmを5分で走ろうと決めたら、それが達成できないと面白くないし、敗北感が出てしまうので。
小林:トレイルは歩くのが当然だから、途中で歩いても敗北感はゼロなんです。
小野:思い思いのペースで進んでいても、眺めのいいポイントにたどり着いたら皆と同じ爽快感を味わえるのがいいですね。
井土:事前の勝手な思い込みと違って、普段あまり運動する習慣が無い人でもトライしやすいと言うか、むしろ全然OKな気がします。
桑原:そう、一言で言うと自由。着用するウェアやギアも、汗冷えさせないなど機能的である必要はありますが、皆思い思いのスタイルでトレイルに集っていますし。
小林:今日は偶然にも全員“黒かぶり”してしまいましたね(笑)
桑原:山と言うと道迷いなどの心配をするかもしれませんが、ここ数年は、GPSを利用した地図アプリ、ナビゲーションアプリが充実してきています。だいぶ手軽になってきています。
杉田:本当だ、山の中でも今いる場所がかなり正確に分かるんですね。他の人が走った道のりなどもわかり安心して走ることができそうです。
小野:ペースの速い・遅いが気にならない点も含めて、マラソン以上にカジュアルに楽しめますね。
小林:気に留めていただきたいのが、トレイル上にゴミを落とさないとか、他の人とすれ違うときは歩いたり立ち止まったりして挨拶を交わすなど、山のマナーを守ること。
桑原:山のマナーと言っても、日常生活全般にも共通する最低限のことなんですよ。小林さんと僕、それからフリー編集者の内坂庸夫さんとで「高尾マナーズ」という活動を立ち上げ、WEBサイトにまとめているので、もしよかったら覗いてみて下さい。
杉田:下りは下りで、スピードが出てエキサイティング!
井上:フラットなトレイルでも木の根や障害物を避ける必要があるから、集中しなきゃいけないんですけど、それがむしろ心地よくって。自分に向き合うと言うか、自然の中に身を任せていく感じが。
小林:自分が高尾に拠点を移したのも、高尾山は東京で暮らしながら自然を身近に感じられるからなんです。
小野:新宿から電車1本、乗り換えなしの数十分でした。
小林:仕事をして、その合間に今日のような感じで気分転換に1~2時間走って、帰ってきたらまた仕事して。トレイルヘッドがすぐそこにある生活を満喫しています。
ケンタロウ:一方で、トレイルランには旅のような感覚もあります。ルート上のお茶屋さんで休憩して名物を食べたり、下山後にローカルのブルワリーで飲んだりといった経験が、色鮮やかに、クロスオーバーで楽しめます。それぞれのローカルを自分の足で繋ぐというのが、また面白くて。
桑原:自分の周りでも、最初のころはよく「鎌倉のトレイルを走って、その後のあのカフェでコーヒーブレイクしよう」という“ご褒美”に惹かれて集まってくる仲間が多かったことを思い出しました。
ケンタロウ:走りながらや走った後のほうが、不思議とコミュニケーションが円滑で密なものになるんです。同じトレイルや時間をフィジカルに共有することで、確実に距離感が近くなる。
小野:そのコミュニケーションによって生まれる「大人になってからの友達」が醍醐味ですよね。
小林:30代40代になって、こんなに友達が出来ることってそうそうないと思います。仕事を通じた繋がりではないから、その人の職業やバックボーンは問わないですし。
ケンタロウ:走るという行為がツールになって、いろんな人と繋がりができ、共通項で話が盛り上がる。その先にまた思わぬ出会いや広がりが待っているんです。そういう機会を与えてくれるのがトレイルランだったり、クラフトビールだったりで、外せない楽しさの軸になっています。
桑原:実際にトレイルランをして、その最中だけでなく、トレイルランのある生活全般が色鮮やかになる体感していただけそうで、何よりです。
ケンタロウ:あとは小林さんが手掛ける<ANSWER4/アンサーフォー>のショップ「Living Dead Aid/リビングデッドエイド」まで走って、乾杯するだけですね。
杉田、井土、小野:大賛成です!
「Living Dead Aid」編|“気がつけば仲間がいる”
小野:このお店「Living Dead Aid」はいつオープンしたのですか?
小林:2018年だったでしょうか。トレイルランの後に、みんなで集まれる場所が欲しくって。
井土:片側の壁一面がフリーザーで、見たこともないクラフトビールやクラフトジンが宝石のようにキラキラと並んでいて、テンション上がりました。<ANSWER4>はトレイルランギアのブランドなのに(笑)
桑原:高尾はトレイルと街、それから都心との距離感がちょうどいいですよね。僕自身は山手線圏内の在住だけど、トレイルに行くとなると高尾がすぐ思い浮かびます。
杉田:そもそも桑原さんが<Run boys! Run girls!/ランボーイズランガールズ>を始めたのはいつ頃になるのでしょうか。
桑原:もうすぐ10年になります。世間で最初のトレイルランブームが起こっていて、NHKのドキュメンタリー『激走モンブラン』の放映や、ベストセラー『Born to RUN/ボーン トゥ ラン』といったコンテンツが盛り上がりのキーになっていました。
小林:『激走モンブラン』は、仲間うちでDVDが擦り切れるんじゃないかってくらい何度も観返しました。
桑原:同時期に、ウルトラライトハイキングやMYOG(Make Your Own Gear。山道具を自作すること)の流れがあって、その界隈の人たちも親和性の高いトレイルランをやり始めたんです。
小林:「100マイルのトレイルレースで使いたいバックパック」が世の中に無かったから、自作して、結果的に<ANSWER4>を立ち上げることになったのも、その影響があるかもしれません。
桑原:トレイルランを自分なりに、カジュアルに楽しもうという人も増えて。<Run boys! Run girls!>もそうなんですけど、その辺りからトレイルランがライフスタイル的な側面を見せてきた気がします。
小林:仕事を変えたり、住む場所を変えたり。生活が楽しくなる方へ行ってしまうんですよね。
桑原:多様性に富む方向に生活が変わる、優先順位が変わっていく面白さがあります。
小野:そうしていろいろなバックボーンの、こだわり派の人たちが惹きつけられて、「ウルトラギアマーケット(2016年に初開催)」に繋がるんですね。
桑原:はい。最初はちょっと規模が大きいくらいの、単なるフリーマーケットだったんです。ただ、出展者の多くが小さいながら自分でモノ作りをしたり、イベントを企画していたりする人で。そこから発展して、各自が自分のブランドのギアを販売するようになりました。
ケンタロウ:自分が「ポッドキャスト番組のサポーターズグッズ」で初参加させていただいたのが前回2020年なのですが、ガレージ感と言いますか、インディペンデントな雰囲気を強く感じました。
桑原:ランニングに対するトレイルラン、登山に対するウルトラライトハイキングと、それぞれサブカテゴリー的な立ち位置なので、こだわったモノを求める人が沢山いらっしゃるんです。だから大手ブランドでは見逃されてしまいがちな、カユいところに手が届くモノを作るケースが多い。
小林:桑原さんが以前コートの運営に関わっていたフットサル業界も、純粋なサッカーにはない小規模で個性的なブランドが沢山ありますよね。
桑原:そう、まさにそんな感じです。ここ数年はケンタロウさんの<Replicant.fm>のように、最初のムーブメントとはまた違う文脈で、いろんな人、コミュニティが走り始めて、トレイルに行き始めました。
井土:今日体験させていただいたように、山に行くことは難しいことじゃないですもんね。
桑原:楽しみ方がまた一段階広がっているなと感じます。
小野:まさに自分自身が、トレイルカルチャーの楽しみに魅せられています。2年程前からいろいろ見聞きしているうちに「ウルトラギアマーケットに行きたい」と勝手に盛り上がっていたところ、今まで開催していたスペースが使えなくなってしまったとお聞きして。伊勢丹メンズ館にできる「つながり」をテーマにした新しいプロモーションスペースで開催していただくのはどうだろう?と、お声掛けさせていただきました。
桑原:そうだったんですね(笑)
小林:「ウルトラギアマーケット」って、いい意味で好き勝手にやれるんです。レース会場でのエキスポではないから、シリアスさがなく、ラフで、気軽に。
桑原:物品購入が目的の人、トークショーなどの目新しい何かに触れたい人、ただイベントの空間に滞在して過ごしたい人。さまざまな楽しみ方があります。ここでしか買えない限定品やコラボアイテムも満載ですし、リアルな店舗を構えていないインディペンデントの出展も珍しくありません。
ケンタロウ:ポッドキャスト番組が出展するくらいですからね。大きなカテゴリとして「ラン」や「ハイク」があるけど、それぞれ表現・出展するものが全く違います。<Replicant.fm>の場合は、例えばキャップを作っているのですが…
桑原:「走る練習」っていうタイポグラフィが目を惹く(笑)
ケンタロウ:他のブランドさんのキャップを見て、そういう切り口もあるのかと、出す側同士もいい刺激があります。来場者の期待感や熱量もすごいし、それにクリエイターが応えている。ポジティブなカオスが巻き起こっているな、というのが率直な感想です。それが伊勢丹で開催されるという違和感が新鮮で。
桑原:僕自身、ウルトラギアマーケットを運営する上で「分かりやすさ」はとても大事にしています。ただ、どんなシーンにも共通すると思うのですが、皆が目を向けているメインストリーム以外にも面白い芽がゴロゴロ転がっているので、可能な限りバラエティに富んだ選択肢を提供したいんです。
小林:マーケットなので、実際にその場では一切走らないですけどね (笑)
桑原:それも含めて、トレイルラン周辺のカルチャーならではの多様性、「こんな面白いモノあるんだぜ」というのを、伊勢丹新宿店という新たな場を通じて届けられたら嬉しいです。
@runboysrungirls
@answer_4
@kntr
ここ数年自転車が趣味で、山にはトレイルランではなくグラベルと呼ばれる未舗装路向けのロードバイクから入ったクチ。ウルトラギアマーケットの伊勢丹側の担当者。
気が向いたときに走るというアクティブ派。走った後のビールもお約束。山は初心者レベルで、トレイルランの魅力にぐいぐい惹きこまれている。
職場のメンバーで駅伝大会に出場したことをきっかけに、社会人になってから運動をスタート。山登りの経験もあり、今回メンバーに選ばれた。
イベントの商品ラインナップは2月22日(火)にイセタンメンズネットにて大公開予定!お楽しみに。
- 開催期間:3月2日(水)~3月8日(火)
- 開催場所:伊勢丹新宿店 メンズ館1階 プロモーション
Text:Shinsuke Isomura
Photograph:Tatsuya Ozawa
*撮影時のみマスクを外して、撮影を実施しています。1/10(月・祝)撮影
*価格はすべて、税込です。
*本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
お問い合わせ
伊勢丹新宿店 メンズ館メンズ館1階 プロモーション
電話03-3352-1111 大代表
メールでのお問い合わせはこちら