2022.01.21 update

【インタビュー】インハウステーラーが常駐する特別な店舗。芸術とも称される＜ブリオーニ＞ビスポークの真髄｜日本橋三越本店

イタリアのメンズウェアクチュールメゾン＜Brioni/ブリオーニ＞のインハウステーラーが常駐する日本橋三越本店では、常時“ビスポーク”サービスを受けられることをご存知だろうか。

ブランドのアイデンティティや、75年以上に渡って受け継がれてきた卓越したテーラリング技術についてなど、＜ブリオーニ＞日本橋三越本店の中川さんと、インハウステーラーを務める若井さんにお話を伺った。

本国イタリアで仕立てる仮縫いを、約3週間で仕上げるスピーディーなビスポークサービス

日本橋三越本店本館2階＜ブリオーニ＞

＜ブリオーニ＞は、1945年にイタリア・ローマに第一号店をオープンして以来、その高い技術力で世界中の紳士を虜にしてきた。

国境を越えてテーラリングという芸術に携わる熟練した＜ブリオーニ＞のテーラーたちは、裁断から仕上げのアイロンがけの段階まで工程のすべてを知り尽くす。＜ブリオーニ＞の男らしいシルエットと軽い着心地の両立は、そんな彼らの手により叶えられてきた。

お客さまお一人お一人に合わせて服をパーソナライズする“ビスポーク”サービスは、ブリオーニが誇るテーラリングの頂点であり、＜ブリオーニ＞のマスター・テーラーたちがその知識と経験のすべてを傾注し、スーツを構築してゆくプロセスそのもの。

「スマートビスポーク」は専任のテーラーがフィッティングし、本国イタリアで仕立てる仮縫いを約3週間で仕上げるスピーディーなビスポークサービス。全世界の直営店で展開しているサービスだが、インハウステーラーが常駐する日本橋三越本店では常時受けることができる。＜ブリオーニ＞日本橋三越本店の中川さんと、インハウステーラーを務める若井さんにお話を伺った。

プロフィール

中川大亮

＜ブリオーニ＞日本橋三越本店ストアマネージャー

会員制リゾートホテル、ラグジュアリーブランドを経験し、Brioniへ入社。
入社後、ビスポークアンバサダーを経験後、現職に。

若井雅明

＜ブリオーニ＞日本橋三越本店インハウステーラー

大手アパレルブランドにてパーソナルオーダー部門に勤務後、イタリアミラノサルトリアにて、イタリアの仕立てを学び、現職に。

岩元智之

日本橋三越本店紳士クロージングスーパーバイザー

入社以来、メンズクロージングやラグジュアリーブランドのバイヤーを担当し、現在は日本橋三越本店紳士クロージングのフロアマネージャーを務める。

【インタビュー】アートのように美しい＜ブリオーニ＞の "ビスポーク" そのテーラリングの魅力とは

岩元：＜ブリオーニ＞が大切にするアイデンティティを教えてください。

中川：＜ブリオーニ＞が一番大切にしていることは、テーラリングの技術と継承です。＜ブリオーニ＞のウェアを比類ないものにしているのは、世界最高峰のサルトリア・エクセレンスの技を持つテーラーたちによるものです。

裁断から仕上げのアイロンがけまで、＜ブリオーニ＞のスーツに命を吹き込むすべての工程を知り尽くしたテーラーたちが仕立てる1着のスーツには、220の工程、22時間を超える作業が必要となります。さらにその中で、70％が手縫いによるフィニッシュで6000ものハンドステッチが施されています。＜ブリオーニ＞のテーラーたちはそうした高度な手作業と、まるで彫刻を作るかのような仕立ての工程において顧客一人ひとりの身体、パーソナリティ、ご要望と向き合いながら、世界でただ一つの傑作を完成させているのです。

岩元：熟練のテーラーの高度な手作業によって、あの軽い着心地と美しい風格漂うスーツが仕立てられているのですね。そうした高度な技術の研鑽と伝承はどのようにおこなっているのでしょうか。

中川：＜ブリオーニ＞の創始者は、貴重な知識の宝庫であるテーラリングの技術を文化的な遺産と捉え、熟練の職人から才能ある若者へ受け継げるよう、1985年ペンネの町にイタリアで唯一のテーラリングを学べる高等学校「スクォーラ・デイ・アルタ・サルトリア（Scuola di Alta Sartoria）」を創設しました。新世代の教育に投資するという大きな決断です。学校は瞬く間にアブルッツォ州の教育機関となりイタリアの重要な財産になりました。

自社の専門学校で学んだ専属のテーラーを抱える＜ブリオーニ＞は、一流のメンズのテーラリングの世界でもかけ離れた存在といえます。選抜は4年ごとに行われ、厳しい試験に合格したわずか16名の若者のみが入学を許可されます。倫理と職人技を教える「スクォーラ・デイ・アルタ・サルトリア（Scuola di Alta Sartoria）」の存在こそが、＜ブリオーニ＞が大切にしている技術の継承の象徴と言えるでしょう。

岩元：ブランドの為だけではなく、イタリアの文化ともいえるテーラリングの技術そのものを守り続けているのですね。それでは、受け継がれる最高の技術を集約した、芸術とも称される＜ブリオーニ＞のビスポークの魅力について教えてください。

中川：お客さまお一人お一人の理想を具現化することにより、ご自身で着心地・デザインを確認・更にリクエストができ、理想の一着をお仕立てすることが出来る最高のサービスです。

また、日本橋三越本店＜ブリオーニ＞ではミラノのサルトリアで修業を積んだ専属テーラー若井氏が常時在中しておりますので、いつでもテーラーによるビスポークサービスが受けられます。

若井氏による細やかな採寸は、驚くほどに正確なシルエットを形成し、お客さまの個性、スタイルを引き立たせ、快適な着心地へつながります。また、ご存じでないお客さまも多いのですが、スーツはもちろん、コート・ジャケット・ベスト・トラウザーズ・シャツもオーダー可能で、すべてイタリアにてハンドメイドでお仕立てします。

岩元：専任テーラーが常時在中しているので、気軽にアドバイスを受けられるのは魅力の一つですね。世界中のエグゼクティブに愛されている＜ブリオーニ＞のビスポークですが、日本橋三越本店ではどのようなお客さまがオーダーされるのですか。

若井：デザインに拘りをお持ちの方、既製品と体型が合わない方、新しいシルエットでのオーダーの際、ご利用される方もいらっしゃいます。また、＜ブリオーニ＞では数百種類のエクスクルーシブな生地を保有しておりますので、世界で1着のご自身だけの特別なスーツを求めてご相談されるお客さまもいらっしゃいます。テーラーの私含め、スタッフとのコンサルテーションと共にお選びいただきお仕立ていたします。

岩元：お客さまご自身の拘りのデザインで仕立てれば、まさに世界で1着の特別なオーダーとなりますね。例えばどのようなリクエストがありましたか。

若井：ユニークなリクエストでは、既製品にはないゴルフウェアのニッカポッカをオーダーされた方もいらっしゃいました。特別な仕様は、実際の仕上がりとお客さまとのイメージとの差ができやすいところですので、サンプル生地で事前に確認し調整が出来るスマートビスポークをおすすめいたします。

岩元：特別な仕様にこそ、スマートビスポークの魅力が発揮されますね。スーツをオーダーする際のポイントは何でしょうか。

若井：お客さまの理想のイメージ（シルエット・着心地・デザインなど）をお持ちいただくことが大事だと思います。また、着用いただくシチュエーション（普段に着用、旅行、商談、特別なオケージョンなど）に合わせて、適応した生地、その中の芯地も組み合わせておりますので、事前にお伝えいただけるとより的確にご要望に沿った一着をお仕立ていただけます。

岩元：シルエットや色味だけでなく、着用するシーンに沿って芯地を選べば気候や着心地もカバーできますね。初めての方で、生地の色味だけが決まっている状態では、オーダーは難しいですか。

若井：そのようなことはございません。生地に対してどのようなものがおすすめか、また、お客さまのライフスタイルに沿ったご提案をさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。

岩元：ブランドが一番大切にされていることはなんですか。

中川：お客さまの理想に沿うものを、一緒に創造することです。＜ブリオーニ＞の卓越したテーラリング技術は、最高級の素材と共にビスポークサービスに注ぎ込まれており、それはお客さま一人ひとりのどのようなご要望にもお応えするために、75年以上に渡って受け継がれてきた独自の伝統の賜物です。

岩元：芸術とも称される＜ブリオーニ＞のビスポークは75年以上に渡ってお客さまのご要望に応え続けてきた伝統と技術に裏打ちされているのですね。そのサービスを専任のテーラーが在中している日本橋三越本店＜ブリオーニ＞では気軽に受けられるのが最大の魅力ですね。