30代&50代必見!バイヤーが解説する最旬レザージャケットの着回し術
人気のドレスアップレザーは年齢を問わない薄手&ナチュラルカラー
「オフィスカジュアルとリモートワークが推奨され、スーツに食指が動かない時代に、レザージャケットの人気が集まっています。昔のように重たいレザーではなく、薄手で気軽に羽織れるタイプですね。シングルライダーズなど着丈の短いブルゾン型で、<EMMETI/エンメティ>や<Cinquanta/チンクワンタ>などのイタリアブランドが人気です」。
バイヤー山浦が挙げた<エンメティ>、<チンクワンタ>は、ともに良質なレザーの産地であるイタリア・トスカーナ州のブランドだ。ラグジュアリーメゾンのファクトリーとして技術を研鑽してきたレザー専門工場が自社ブランドとして手掛けているため、ハイブランドに比肩する高いクオリティのレザーを、安価な適値で提供できるファクトリーブランドである。
「昔のライダーズのように重たく分厚いカーフではありません。ラム(羊)やゴート(山羊)などのソフトレザーが中心です。羽織ってみるととても軽くて。何年も着込んで体に馴染ませるのではなく、最初から体にフィットしますし、もちろん着るほどに馴染んで長く愛用したくなるはずです」。(山浦)
一見ライダーズ風でも、コーディネートは昔のイメージとは一新されているのが昨今のレザー事情。Tシャツ&ジーンズにサングラスで、「ちょいワル」に見せるより、上質なニットにスラックスをあわせた大人のカジュアルが似合う。まるでテーラードジャケットの感覚で自由に着るスタイルが主流になっていると山浦は分析する。そのため、従来のレザーと大きく違うのは、同じレザーが幅広い年齢層に浸透している点だ。
「以前は若い人向けのレザーと、ミドル以上の方向けのレザーは異なるテイストが望まれました。しかしレザーの捉え方が変わったからか、同じレザーを若い30代のビジネスマンから、50代の経営者までが購入されていきます。もちろん、コーディネートには多少違いがあるようですが、こういった傾向は新しいレザーの価値観からくるものだと思います」。(山浦)
A-2やB-3といったフライトジャケットや、ジップ&スタッズをあしらったライダーズジャケットなど、かつては男らしさの象徴だった憧れアイテムが、誰もが着られるスマートなトップスとなっている。新しい時代のレザージャケットは、「男のギア」から「ファッションアイテム」へと大きく変貌を遂げているところが新傾向らしい。それでは引き続き、人気のレザーアイテムの紹介とともに、一着のレザージャケットを年代別に着分けるコーディネートのポイントについて、山浦バイヤーに解説してもらおう。
バイヤー山浦が解説!この春取り入れたい新作レザー&世代別おすすめコーディネート
レザーコーデ1.
イタリアンレザー人気の火付け役は<エンメティ>の「JURI」
<エンメティ>は、いまのレザーブームの火付け役ともいえるブランドです。なかでもこのモデル「JURI」はその筆頭株。シングルライダーズの立ち襟デザインですが、袖口はジップではなくスナップボタンにしてブルゾン風の軽快なデザインなので着やすいと思います。ゴートレザーは、軽さがありながら毛羽の立ち加減が上品なポイント。スエードの明るいベージュカラーは今季のトレンドカラーで、これに合わせてメタルパーツをゴールドにしているので、プレミアム感も漂います。
【ヤングコーディネート】
すっきりとシンプルなレザーは、オフィスカジュアルにも着ていけるのではないでしょうか。そこでリモートワークで人気のニットアンサンブルに重ねてみました。テーラードジャケットよりこのスエードブルゾンのほうが、上品なまま気軽さもあって、オフィスでもこのままでいけると思います。
ボトムズはシアサッカーのパンツを合わせてみました。レザーとシアサッカーの組み合わせというのは意外な組み合わせかもしれませんが、このぐらい軽いパンツが似合うぐらい、レザーが軽いということがよくわかっていだけると思います。
余談ですが、ニットのアンサンブルは伊勢丹メンズの別注モデルです。ニットとカーディガンのカラーバリエーションがベーシックカラーで揃うようにしています。ちょっとレトロなスキッパーポロとカーディガンの組み合わせが同色で揃うラインナップなのです。
【アダルトコーディネート】
同じレザーでも、ミドル以上の方の場合は休日着として着用されることが多いようです。ポイントとなるのはカラーリング。ベージュ×ホワイトの組み合わせは、上品なイメージで大人の方に似合います。シャツはコットンブロード、リネンも似合うのが今どきのレザージャケットです。
ワイドパンツは今シーズンのおすすめアイテム。イギリス軍のグルカパンツをベースにしたトラウザーズは、クラシックな仕立てがされていて、この太さでもクリースが入って上品な印象です。ウェストはベルトレスで穿くのがクラシックなイメージもあるのでおすすめですが、足元はスニーカーより上品なレザーシューズをおすすめしたいですね。
襟元に結んだのはシャルピーナと呼ばれる帯状のネッカチーフです。スカーフだとちょっとボリュームが出過ぎるなと思われるときなど、軽くひと巻きするだけで洒落た雰囲気になります。
レザーコーデ2.
<チンクワンタ>の襟付きレザーは男っぽさを上手に活かして
<チンクワンタ>は高級メゾンのレザー製品を手掛けていたこともあるファクトリーのブランド。高品質なレザーが供給できるルートを持っているので、素材のクオリティは間違いありません。こちらはゴートスエードのブルゾンですが、ポケットや袖口にジップをあしらったり、ウェストにサイドベルトを取り入れたりと、男クサいライダーズディテールを取り入れてアクセントにしています。全体的に細身でコンパクトに仕上げているので、モダンなシルエットで着こなせます。
【ヤングコーディネート】
スエードの質感もベージュの色目もややラギッドな雰囲気なので、インには赤色のスキッパーニットを合わせて、ボトムズもカーキのミリタリーパンツを合わせてみました。少し強さを感じさせるコーディネートにすることで、スエードレザーの男っぽさを引き立てることができると思います。
ブラウンベージュに赤やカーキは相性の良い色。ワーク&ミリタリーのもつ男っぽさを表現するのに覚えておくと便利な配色です。トーンというか色の濃さを揃えてミックスすることで、違和感のない組み合わせ方ができると思います。
若い世代でレザーにミリタリーパンツというと、ストリートスタイルのイメージかもしれませんが、今季の伊勢丹メンズでは上品さと遊び心をテーマにしているので、男っぽいアイテムも品格ある着方を提案しています。インナーに襟付きのニットを着ると、上品さを演出するのに好適だと思われます。
【アダルトコーディネート】
ブラウンやベージュの着方の基本配色はグラデーションカラーです。そこでブルゾンと同系色のリネンシャツを合わせて、ミドルエイジに着こなしやすい配色を提案してみました。茶色のもつカジュアルさと素材がもつ上品さが、うまくマッチングしているのではないでしょうか。
パンツは誰もがお持ちのグレースラックスですが、シルエットはクラシックなゆとりあるフィットでテーパードさせたものです。モヘヤを混紡しているのでやや光沢があって、大人の品格が備わっています。
足元にはトップスとバランスをとるためのスエードスリッポンを。イタリア人っぽく素足履きするのは、春になったらぜひ取り入れてみてください。こちらでも先程と同じように内側にシャルピーナを結んでいます。スカーフより軽さもあって春には丁度いいアクセントではないでしょうか。
レザーコーデ3.
シンプルモダンに着こなす<チンクワンタ>の表革ライダーズ
ミニマルに仕上げているので、バイカーっぽく見えずモダンな街着らしいルックスです。薄手で軽いラムナッパを使用しているので、軽く羽織るように着ることができますし、グレーとベージュの中間のニュアンスカラーはグレージュとも呼ばれる上品な色合いになっています。ライダースらしく男っぽく着ることもできますし、ジャケット代わりに羽織ることもできるオールオケージョンに着回せるレザーといえます。
【ヤングコーディネート】
若い方ならシンプルにデニムと合わせる着方もできると思います。この場合のデニムは濃いインディゴブルーが望ましいですし、インナーはTシャツやカットソーよりファインゲージのクルーネックニットを。足元も上品なタッセルローファーなどがいいですね。
シンプルなスタイリングだからこそ革質が重要です。ラムナッパのスムースレザーは、やわらかく体を包み込むようにフィットしますので、着込んで馴染ませる必要がなく、初日から快適に着られるのも魅力です。
ここで合わせた<トラマロッサ>のデニムは、イタリアのファッションスナップで有名なファッションディレクター、アレッサンドロ・スクアルツィ氏とのコラボモデルで、日本製のデニムを使ったもの。リーバイスの501を意識したストレートシルエットで、伊勢丹メンズのエクスクルーシヴとなっています。
【アダルトコーディネート】
例えばスーツの上着をレザーに替えてみるだけでも、上品で遊び心ある新しいオフィスカジュアルといえるのではいでしょうか。いまどきのライダースは、ミドルの方が若い頃着ていたようなカーフの重たいものとは違い、さらりと羽織る着方ができます。たとえばこんな風にシャツ&タイのビズスタイルにテーラードジャケット代わりに羽織ってもサマになります。
ストライプ柄のシャツはレギュラーカラー、タイにも同じ水色を配色しながら、もうひとつのカラーにグレーを入れることでレザーとドレスシャツを繋ぐもの。グレーのスラックスはボックスプリーツになっていて、ヒップ周りに余裕があるのでテーパードの効いた美しいシルエットを描いてくれます。
ドレスアップレザーのカテゴリーのなかでもオフィスレザーともいえそうなこんなスタイリングが、これからの新しいビジネススタイルとしても認知されていくと、メンズスタイルはまだまだ可能性がありますし、もっと面白くなっていくと思います。
Photo:SUZUKI SHIMPEI
Text:Yasuyuki Ikeda
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