【特集】〈LEVI'S®〉〈A.P.C.〉ほか、定番デニム5ブランドの今季注目の1本!
ジーンズの魅力は無限大です。もともとは19世紀アメリカ西海岸の、鉱山労働者のための作業着だったジーンズは、20世紀に入り若者のシンボル・反抗の証として支持されるようになり、ファッションアイテムとして定番化されました。元来、デニムは生地そのものを指しており、ジーンズはデニム生地を使用したパンツを表していました。そしていまやジーンズはデニムと呼ばれ、流行が変わっても廃れることのない、ジェンダーレスで年齢も国籍も問わないアイテムとなっています。ストリートカジュアルもデザイナーズモードもデニムを取り入れていますし、スーツやウェディングドレスに使われることもあるほどです。
スタイルによって様々に着分けることができて、しかも昔ながらのブランドも時代によってしっかりとアップデートがされています。むしろ古いデニムですらヴィンテージとして人気が高いのもデニムならでは。そこで数多くあるデニムのなかから、伊勢丹新宿店 メンズ館6階 メンズコンテンポラリーのアシスタントマーチャンダイザーの浅野太祐が、いま穿くべきデニムを5本ピックアップしました。実際に自身で穿いたうえでのセレクトだけに、デニム選びの指針となるはずです。
Ⅰ.〈DENHAM/デンハム〉加工もシルエットも秀逸な人気ナンバー1デニム
デニム職人のジェイソン・デンハムが、2008年オランダ・アムステルダムに設立した〈デンハム〉は、リアリティを追求した経年変化の加工技術に定評があります。
「ブランドの歴史は浅いながらも、いまもっとも勢いあるデニムを作りだすブランドです。なかでもMADE IN JAPAN DENIMはブランドの最高峰に位置するコレクション。日本でも支持率が非常に高いです。濃色のものからウォッシュの効いたモデルまでバリエーションが広く、ダメージ加工は職人が一点ずつ手作業で行っているので、同じものが2点存在しません。すべてが一期一会なんです。デニムに愛情深いデンハムと、もの作りにこだわる日本人の感性とが響き合う傑作が揃っています」(浅野)。
〈デンハム〉のアイコンはハサミのマーク。
「テーラーに欠かせない仕事道具を象徴として掲げるのには、創業者ジェイソン・デンハムのキャリアスタートが、サヴィル・ロウで学んだデザイナー、ジョー ケイスリー ヘイフォードのワークショップに始まるから。シルエットや履き心地には、テーラー由来のフィッティング技術が表れていると感じます」(浅野)。
このブランドの定番モデル「RAZOR」はヒップから徐々にテーパードしていく程よいスリムフィット。
「いまのデニム界でナンバー1人気の理由は、履いてみてわかりました。ダメージ加工の印象が強いですが、じつはシルエットがとてもきれいですね。デニムらしさをしっかり感じさせて、履き心地もいいですし、デザイン性だけでない、しっかりとデニムに向き合ってきたという精神性が感じられます」(浅野)。
Ⅱ.〈REPLAY/リプレイ〉アクティブに動けるパリ・サンジェルマンモデル
80年代からデニムに強いイタリアン・カジュアルブランドとして世界中にファンをもち、いまもイタリアンプレミアムデニムの最前線にある〈リプレイ〉。昨年パリ・サンジェルマンとオフィシャルデニムパートナー契約を結んだことでも話題となりました。
「それまでネイマール選手をアンバサダーとして起用していた〈リプレイ〉が、本格的にチームとコラボしたニュースには世界中が沸きましたが、メンズ館でもポップアップを開催させていただきました。ものすごく伸縮するハイパーフレックス・ストレッチデニムが同ブランドのアイコンですが、近年はよりサステナブルなハイパーフレックス・ビオや、より伸縮性の高いハイパーフレックス・プラスなど、さらに進化を遂げています」(浅野)。
この伸縮性こそ〈リプレイ〉が誇るハイパーフレックス・ストレッチデニムならでは。
「いまや定番のストレッチデニムも、同ブランドは創業当初から手掛けてきたパイオニアです。最新の伸縮デニム開発にも積極的ですが、ポケット縁の三角ロゴは80年代から変わらないデザインなので、ご年配の方もご存じという方は多いのではないでしょうか」(浅野)。
ウォッシュの効いた薄青デニムは、ピタピタで履いても軽くて動きやすいのが特徴。
「伸縮性抜群のハイパーフレックス・ストレッチ素材は、吸い付くような感触でとっても穿きやすいし、動きやすいです。このウォレットコードはパリ・サンジェルマンの証。私もフットサルをやっていたのですが、このまま余裕でサッカーができそうです」(浅野)。
Ⅲ.〈DIESEL/ディーゼル〉リピーターに支持される美脚・脚長デニム
1978年、レンツォ・ロッソとアドリアーノ・ゴールドシュミットが創業したファッションブランドは、1985年からデニムに注力するようになると、確固たる地位を確立します。90年代には、その地位を舞台にコレクションブランドとしても飛躍を遂げました。
「イタリアンデニムとしての地位は揺るぎないものがありますが、ディーゼルブラックゴールドをローンチするなど、もはやデニムブランドというよりラグジュアリーメゾンとしても有名ですね。伸縮デニム素材を使ったアクティブに動けるデニムをジョグジーンズと銘打って、新たなスポーティでモダンなスタイルを提案したことは、このブランド最大の功績ではないでしょうか。クラッシュやアタリの入り方が強めで男っぽいところや、ハードに色落ちさせた加工技術にもオリジナリティを感じさせます」(浅野)。
伸縮性あるデニムとハードなクラッシュ&ダメージ加工の両立こそ、〈ディーゼル〉の持ち味。
「デニムは〈ディーゼル〉しか穿かないというリピーターが非常に多いブランドでもあります。イタリアンデニム=ストレッチという図式は、〈ディーゼル〉が確立したといっていいでしょう。インディゴブルーのダークな色味も、ほかにはない男っぽい印象です。」(浅野)。
イタリアンデニムらしいシルエットとハードなダメージは、男の色気を感じさせるものがあります。
「素材の織りが特殊なので、肌当たりがやわらかいですね。視覚的に美脚・脚長効果があると言われるように、穿いた時のシルエットも抜群にきれい。裾幅15cmぐらいなのでかなりスキニーな印象に穿けますが、ジョグというだけあってこのまま走りにいけるぐらい快適で、リピーターが多いのも頷けます」(浅野)。
Ⅳ.〈A.P.C./アー・ペー・セー 〉「育てる」を楽しめるフレンチデニム
フレンチカジュアルブランドとしての〈アー・ペー・セー〉は、シンプル&コンフォートなコレクションで男女を問わず人気のブランド。そのデニムは同ブランドファンの間だけでなく、コアなデニムファンからも一目置かれる存在です。
「代官山と原宿にもショップを構えていて、その瀟洒な佇まいはトータルでもお洒落なブランド。でも、このデニムは見かけより遥かに実力が凄いんです。リジッドのモデルは、履き込むほどに色落ちして、自分だけの味が出てきます。加工デニム全盛の現代に、忘れられがちなデニムを“育てる"という楽しさが味わえるんです。シルエットはストレートを基にひざ下からテーパードをかけているので誰にでも履きやすく、フレンチカジュアルがトレンドの今、再び人気が高まってきています」(浅野)。
一般的なデニムに必ずあるブランドタグやレザーパッチを廃したミニマルなデニム。
「デザインポイントが何も無いのですが、洗い方の説明書が付いてくるのが〈アー・ペー・セー〉のデニムの唯一にして最大のオリジナリティ。4種類の洗い方のなかで、もっとも上級なのは海水に漬かってから砂浜でこすってを繰り返すという方法。4ヶ国語で書いてあるんです」(浅野)。
クセのないスリムストレートは、年代、性別問わず穿けるタイプ。リジッドデニムの深い色は、はじめのうちはシックに穿いて、やがて色落ちしてきたらラフなストリートスタイルが似合いそう。
「このモデルはプチニュースタンダードといって、ニュースタンダードよりやや細身でハイウェスト。ジャケットとボタンダウンシャツに合わせたり、白いTシャツやニット1枚で、ノームコア的にコーディネートするのがおすすめです」(浅野)。
Ⅴ.〈LEVI'S®/リーバイス〉ジーンズのオリジンであり王道を穿く
王道にしてオリジン。デニムの歴史を作ってきたリーバイスの代表モデル501®は、1890年のロットナンバー制定により誕生しました。写真(上)の1947モデルは初めて2本針でジーンズが製作された「アーキュエットステッチ」が採用されたモデルです。
「この501®XXは1947年の製品をベースにした通称47モデル。シルエットはアメリカンデニムらしいオーセンティックなデニムですが、現代的にやや細身に仕上がっています。ワンウォッシュの明るいインディゴブルーですが、表面の毛羽を抑える加工が施されていて、リジッドデニムの面影を残しつつも、柔らかな肌触りとなっています。いま注目されているアメリカントラッドでは、紺ブレに合わせるデニムとして501®以外考えられないのではないでしょうか」(浅野)。
一般的なデニムのバックポケットにステッチ模様が入っているのは、〈リーバイス〉の「アーキュエットステッチ」がお手本とされているからです。ウェスト後部のツーホースパッチは紙製が有名ですが、50年代まではちゃんとレザーが使われていました。
「これは当時の復刻モデルなので、レザーパッチが取り付けられています。赤タブには"LEVIS"と"E"の字が大文字になっているあたりも、デニムファンにはお馴染みですよね」(浅野)。
スリム&テーパードがボトムズシルエットの主流となっている現代では、むしろ新鮮なストレートシルエット。膝下にしっかり太さがある、これぞデニムの王道です。
「ストレッチデニムじゃなくても、この太さならノンストレスで穿けます。どんな服にも似合うデニムシルエットですが、とくに紺ブレとの相性は抜群。紺ブレ、白T、〈リーバイス〉って、むしろ今っぽいというか、フレンチっぽくてお洒落だと思うんです」(浅野)。
Photograph:Yuichi Tajima
Text:Yasuyuki Ikeda
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