ベーシックなアイテムを、肩肘張らずに。今年の冬は、とことん快適に、リラックスしたスタイルに徹したい。今回はそんなエフォートレスな時代のムードとマッチする、ナチュラルカラーのウールアウターにフォーカス。柔和なベージュやカーキの色合いは、優しげなムードを生み出し、ふんわりとしたウールの質感は、今時なリラックス感につながる。メンズ館スタッフたちの着用スナップで、選びのポイントと着こなし方をレコメンドします。
旬なブランドでつくる、エフォートレスな冬スタイル
男らしさを包み込むような、優しい色と素材に注目
この冬は、定番的なアイテムを、よりリラックスしたモダンなフィッティングで愉しみたい。伝統に裏打ちされた普遍性と、今っぽさ。その両方をバランスよく兼ね備えた一着があれば、この先アウター選びに悩まされることはなさそうだ。今回は、そんなベーシックで、ずっと着つづけたいと思える一着を厳選した。
いずれのアイテムも重厚に見えるが、着るとそう感じさせない心地良さは、改良されたウールの素材と、絶妙なパターンメイキングによって生み出されている。クラシックで、普遍的、でもシルエットは今っぽい。だから、ドレッシーにもカジュアルにも着こなせる。汎用性の高い1着は、秋冬のワードローブの心強い味方となってくれるだろう。
ラギッドなディテールと柔らかい色合いの妙
ドレスクロージングの原点はミリタリーに有り──。今季のリングヂャケットは、“ミリタリー&ワーク”がテーマ。40年代のイギリス軍モーターサイクルコートをモディファイしたコートは、今シーズンを象徴するアイコン的なアイテムだ。
顔まわりを引き立てる大ぶりなラペルや、マップポケットを思わせる胸ポケットなど、ラギッドなディテールが、柔和なグレージュの色みによって、頼りがいのある男らしさへと昇華する。ちなみに、素材は老舗中の老舗、イギリスの「ムーン」社「ブリティッシュ ウォーム」を使用。上質な手触りのウールは、袖を通すたびに特別な気分にさせてくれるはずだ。
着こなしとしては、ジャケットのインナーにタートルネックセーターを着込んだようなブリティッシュな合わせが一番ハマる。ざっくりとしたローゲージーセーターとコットンギャバジンパンツのカジュアルスタイルにばさっと羽織る、そんなラフな装いもおすすめだ。
男らしくも、こなれて見える。異素材MIXジャケット
マロリージャケットと並び、〈ナイジェル・ケーボン〉の象徴的モデルであるテンジンジャケット。登山家ジョージ・マロリーとともにエベレスト登頂を目指したテンジン・ノルゲイが着用していたジャケットからインスピレーションを得た同モデルは、新たに開発したオリジナルのウォッシャブルウールで仕上げている。しなやかかつなめらかな肌触り、そして適度な光沢感を持つフランネル素材は合わせるアイテムによってカジュアルとドレス、その両面の要素を備えている。
ここでは、同素材のパンツを合わせて、セットアップで着こなし。インナーはカジュアルになりすぎないよう、シャツで引き締めるのがポイントだが、シャンブレー素材など風合いのあるものを選ぶと、素材感もまとまって見える。
着回し力の高いクラシカルなゆったりコート
人気ブランド〈オーラリー〉からは、ダブルブレスト風のロングコートをチョイス。上質なウール素材をたっぷりと使用したコートは、大きめのラペルをボタンで留めて、変化を付けた着こなしも可能だ。共布のベルト付きで、シルエットにメリハリを利かせることもできる。肌滑りの良い総裏仕立てで、着心地の良さも抜群だ。
このくらいクラシックな雰囲気のあるコートを、パーカー合わせでラフに着こなすのが今の気分。チェック柄のパンツで引き締めると、くだけて見えすぎることもない。もちろんタイドアップしたビジネススタイルの上から羽織っても決まって見える。
無染色のアルパカウールの、迫力ある生地を堪能
言葉だけじゃない、本気のサステナブルな取り組みによって時代をリードする〈テクスト〉。この千鳥格子のブルゾンには、ベージュとブラックのアルパカの毛が使われているが、なんとどちらも無染色(!)。貴重な有色アルパカの毛を用いて、低速で丁寧に織り上げた生地は滑らかな肌触りと、豊かな風合いが味わえる。
ここでは、無染色アルパカの柔らかい色味を活かして、グレイッシュネイビーとペールピンクのソフトなカラートーンで合わせた。ロングベストで裾をレイヤードさせることで、千鳥格子、コーデュロイ、サージとブルゾンからボトムスまで素材をミックスすることでさりげない表情の変化を愉しめる。またブルゾンの存在感を活かすべく、あくまでシンプルなアイテム合わせに徹すると吉と出る。
ハリのあるウールで、独特のラグジュアリーさを醸し出す
イタリアの人気ブランド〈メゾンフラネール〉でクリエイティブディレクターを務めていた瀬川誠人氏。同氏が持つクリエイティビティがより強く発揮されたブランドが、昨年立ち上がった〈シーオール〉だ。見慣れたチェスターコートも、上質な素材感によって、ひと味違うラグジュアリーなムードを湛えている。高密度のウールサージにウレタン樹脂加工を施し、ハリ感を強調させたウール素材を使用。それをコンパクトに織り込むことでモダンな表情に仕上げている。
ウールの柔らかさを引き出すべく、ざっくり編みのニットを合わせて、柔和なワントーンにまとめるのがおすすめ。もちろんデニムやチノパン合わせも決まるが、同系色のクリース入りのトラウザーズなどで、とことんドレッシーに着こなしたい。
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Styling:Akihiko Sekigawa(Instagram:@akihikosekigawa)
Photograph:Natsuko Okada
Text:Ryuta Morishita
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