CADANと伊勢丹メンズ館のコラボプロジェクト「Takeover」の秋に注目
日本を代表するコンテンポラリーアートギャラリーが組織するCADAN(一般社団法人日本現代美術商協会)とイセタンメンズによる1年間にわたるコラボレーションプロジェクト「Takeover」シリーズの第3弾、“Autumn Takeover”が9月23日(水)よりスタート。伊勢丹新宿店メンズ館の4フロアに設置された立方体の展示空間SI(ストアアイデンティティ)に、フロアテーマに合わせたスペシャルインスタレーションが出現する。
プロモーション用語「Takeover」が意味するものとは
一般社団法人 日本現代美術商協会(Contemporary Art Dealers Association Nippon、以下CADAN)は、日本の現代美術の振興と普及、現代美術市場の確立と発展、現代美術作家の国際的な認知度の向上、若手作家への支援と人材の育成を目指す非営利の業界団体。日本の現代美術の発展に寄与することを目的として2015年に設立され、現在は47のギャラリーが加盟する。
このコラボレーションプロジェクト「Takeover(テイクオーバー)」の語源は、インスタグラムをはじめとしたSNSのプロモーション用語に由来。互いにテイクオーバーすることで伊勢丹メンズ館という場を用いて、CADANを構成するギャラリーで取り扱う現代美術をお客さまに新しい価値として提供する。
本シリーズでは、今の時代を反映する現代美術をフィーチャーし、スプリング、サマー、オータム、ウィンターの 4シーズンにわたり同館のフロアに様々な現代美術が出現。4フロアに設置された立方体の展示空間SI(ストアアイデンティティ)*にて、CADANメンバーギャラリーがリプレゼントするアーティスト4組が作品を発表する。
フロアテーマに合わせた4組のインスタレーションが登場
髙山陽介(所属ギャラリー:ANOMALY)
現代における「彫刻」の概念に真摯に迫る作品『無題(Venus)』
髙山氏の作品は、伝統的な木造彫刻をベースに、平面に近い木版やレリーフ作品の制作、台座の在り方を熟考した提示方法など、現代における「彫刻」の概念そのものを真摯に追求している。その作品の多くは、日常の描写や人物を題材とし、特に頭部を模した首像のシリーズは60点にも及ぶ。荒々しいチェーンソーの痕跡や木肌を流れる塗料の滴りからは、素材と対峙する髙山氏の精神性、さまざまな記憶や積層する時間が現れている。
柴田祐輔(所属ギャラリー:WAITINGROOM)
現実世界の曖昧さや不確かさに着目した『公共と自由』最新作
日野田 崇(所属ギャラリー:imura art gallery)
セラミックアーティストが再生細胞に触発された『万能細胞』とは
作品『万能細胞』はもともと、医療用途などに開発が進んでいる再生細胞のトピックに触発されてできたもので、初期化した細胞が特定の形や質のまとまりや機能に特化していく過程と、自身が土をかたちづくっていくプロセスとが共鳴しているように感じられた。そこには、善悪の問題を超えて、外へと拡張していく生命の盲目的な力強さがイメージとして根底にあるように思う。(日野田 崇)
池崎拓也(所属ギャラリー:Satoko Oe Contemporary)
娘が妻の携帯で送ってきたメッセージを扱った作品『パパ好きだよ♡』
娘が妻の携帯で送ってきたメッセージは、ぐちゃぐちゃの文字が並んで、意味不明で、まるで暗号のようなものだった。娘に「なんてメール送ったの?」と聞くと、「パパ好きだよ」と返答が来た。この暗号からは想像できない答えだった。
まだ文字が読めない書けない子供が携帯やパソコンをタップしながらつくるその「暗号」は、よく子供がやる、とりとめもなく、ただの文字や記号の羅列でしかないと忘れ去られてしまうかもしれない。しかし、同じように扱われるその「暗号」を敢えて自分の経験で作品化しようと考えた。
その「暗号」は、よく読むと、いろんな発見があって、文字のつながりからいろいろ想像する面白さもある。それらは、まるで記号やアルファベットが羅列された抽象絵画を紐解いていくような面白さもあるような気がしている。(池崎拓也)
- 展示期間:2020年9月23日(水)~12月22日 (火)
- 展示場所:伊勢丹新宿店メンズ館1階・2階・4階・6階
主催:伊勢丹新宿店メンズ館
協力:一般社団法人日本現代美術商協会
Text:ISETAN MEN‘S net
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