〈サファリ〉×〈ソーマ〉に訊く、ビンテージ・フットウェアの楽しみとは?|ISETAN靴博2020
近年、ビンテージ・フットウェアの魅力にハマる人が増えてきている。ビンテージ・スニーカーの世界的な権威であるソーマの徳永勝文氏、革靴のスペシャリストのサファリの田島佑介氏に、その魅力を語り合ってもらった。
一番人気は、やはり「エアジョーダン1」。
田島:〈ソーマ〉さんには初めて伺いましたが、ここはレア物スニーカーのユートピアですね(笑)。正直、圧倒されています。世界的に見ても、ビンテージのスニーカーの専門店ってかなり希少なのではないでしょうか?
徳永:そうですね。世界中のマニアとは繋がっていますが、70〜80年代のスニーカーを中心に扱う専門店は数少ないと思います。私にとってサファリさんは、古着屋として圧倒的に規模が大きいイメージがあります『ISETAN靴博』には昨年、出展されたんですよね?
田島:ええ。店舗の在庫では少し足りなくて、コレクターさんにお声がけしてスペシャルを集めました。伊勢丹のお客さまはビンテージに抵抗がある方が多いのかと思っていたのですが、想像以上に受け入れられた印象です。きっとビンテージのスニーカーも、興味のある方が多いと思います。
徳永:ちょっとプレッシャーがありますが、楽しみです。田島さんはどういうきっかけで古着業界に入ったのですか?
田島:最初はアメカジが好きで、ビンテージの世界を追求したいと思って入社しました。そこで〈オールデン〉の革靴に出合って、高級靴の世界にのめり込んだ感じです。どちらかと言うとスニーカーの方が好きで、3桁の足数を所有していました。
徳永:元は同類だったんですね(笑)。田島さんの3号店はドレス衣料を多く扱っていらっしゃいますが、その中で革靴の占める割合はどれくらいなのですか?
田島:革靴でお客さんを呼んでいると言っても過言ではないほど、重要なアイテムです。ここ数年はビジネススタイルのカジュアル化が進んだので、スリップオンやパラブーツが売れ筋になっています。徳永さんはどういう経緯でこの業界に入られたのですか?
徳永:もともとはカナダで庭師をしていたんです。
田島:えっ?(笑)
徳永:2003年に日本に帰国した時に、古着が好きだったので古着屋を巡ったら、大好きだったビンテージのスニーカーを扱っている店がほとんどなくて……。全くの素人だったのですが、それなら自分でやろうと思ったんです。
田島:その頃はどういうスニーカーを買っていたんですか?
徳永:70〜80年代の物が中心で、今の品揃えと同じです。90年代は復刻物の販売も多かったので、新品もかなり買っていました。
田島:買い付けのルートはどうやって開拓されたんですか?
徳永:長く海外に住んでいたので、スニーカーオタクの輪というか伝手はあったんです。こういうのを探しているというリストを英語とフランス語とドイツ語で作って、素人が素人に頼むみたいな。
田島:斬新な買い付けですね!
徳永:今ではそんなネットワークが400人ほどいて、毎日なにかしら買っています。サファリさんも日本の個人のお客様から買い付けていらっしゃるんですよね?
田島:ディーラーは通さずお客様から買取しているので、原理的には同じですね。今、人気がある商品を教えてください!
徳永:やはり「エアジョーダン1」が一番人気ですね。一時は4万円ほどで買えましたが、今は13万円くらいからですね。
田島:値上がりしているんですね。
徳永:うちは定番が強くて、〈アディダス〉なら「スーパースター」、〈コンバース〉なら70年代の「チャックテイラー」の人気も安定しています。程度の良いものを仕入れることを重視していますが、最近は修理屋さんが増えているので、直しながら履くのも愛着が湧いて面白いと思います。サファリさんの売れ筋もお聞きしたいです。
田島:〈ジェイエムウエストン〉、〈オールデン〉、〈パラブーツ〉が圧倒的に強くて、次点は〈クロケット&ジョーンズ〉、〈チャーチ〉、〈エドワードグリーン〉、でしょうか……。最近はローファーの人気が高まってきています。
徳永:お客さまの層はいかがですか?
田島:意外と幅が広くて、20〜50代が中心です。
徳永:なるほど。うちは若い世代は少ないです。ビンテージが初めてのお客さまにはどういうモデルをお勧めしていますか?
田島:やはり前述の3銘柄がいいと思います。必ず良さを体感していただけると思いますし、長く愛用できます。スニーカーだと、やはり〈コンバース〉「オールスター」が鉄板でしょうか?
徳永:そうですね。とくに70年代のチャックテイラーは現行品とは違う魅力があるので、ぜひ靴博で手に取って違いを体感していただきたいです。あと、個人的に好きなのが〈ポニー〉。チープなつくりなんですが、壊れないし面白いデザインが多い。田島さんが個人的に狙っているモデルは?
田島:〈フローシャイム〉のコードヴァンのコブラヴァンプはずっと探しています。ただ、マイサイズの良いものが出てこない……。
徳永:〈オールデン〉のウイスキーはやっぱりお高いんですか?
田島:前の靴博でタンカーブーツを出したときは30万円でしたが、すぐに売れちゃいましたね。今回も数足用意しているので、ぜひお楽しみにしてください。
徳永:すごい!同じコードヴァンの〈フローシャイム〉は?
田島:デッドストックで10万円くらいです。本当にいい靴なので、〈オールデン〉と比較するとお得感があってオススメです。良いモノを長く使う行為は今という時代に合っていると思うので、ぜひ『ISETAN靴博』で末長く楽しめる1足を見つけてほしいです。
徳永:革靴ほどではありませんが、70〜80年代のスニーカーは長く愛用できるものが多いので、ぜひ試してみてほしいです。靴博で靴好きの方たちとお会いできるのを楽しみにしています!
Photograph:Satoko Imazu
Text:Kaijiro Masuda