【特集】ショートパンツの選び方と着こなし方。大人の男性におすすめするコーディネート術とは?
いま選ぶ大人のショートパンツはオーセンティック系orテック系
暖冬とはいえ冬が終わればショートパンツの季節の到来。しかしショートパンツを使ったコーディネートは、クラシックゴルファーのニッカボッカースタイルや陸上競技のアスリートスタイルのようにならないようにするのはもちろん、今どきのトレンドを理解したうえで履かないと、どこか子供っぽく見えてしまうので注意が必要だ。そこで今選ぶべきハーフパンツを、ラグジュアリーな大人カジュアルを得意とするイメージコンサルタント、関川晃彦にセレクトしてもらった。
チェックしたいショートパンツは2タイプ。そのひとつが、オーセンティック系だ。
「いわゆるバミューダ型のストレートシルエットです。クラシックなハーフパンツとは異なる、今風のシルエットとデザインがポイントです。昔ほどタイトフィットでも股上浅めでもないので、少し余裕のあるボトムズシルエットが特徴ですね。トップスはブルゾンもジャケットも合わせられますが、着丈は少し長めのほうがバランスよく、足元もボリューム感あるシューズが似合います」。
もうひとつはテック系。最近隆興しているユーティリティデザイン系と従来のスポーツアウトドア系との2つのカテゴリーがあるが、今回はユーティリティデザイン系の新進ブランドからチョイスしてみた。
「最新の機能性素材と余裕のあるシルエットが特徴のショートパンツですが、あまりにスポーツ感が出すぎると、アスリートっぽくなってしまうので注意が必要です。アイテム選びだけでなくコーディネートにも気をつけたいですね。トップスがアウトドア系のウェアだったりスポーツウエアだったりすると、そのままジム帰りに見えてしまうので、デザイナーズなどドレス感あるアイテムと組み合わせることで、大人っぽく着ることができるはずです」。
最新のシルエットにモダナイズされたオーセンティック系ショーツ
オーセンティックなショートパンツは腰回りがフィットするストレートシルエット。膝が覗く丈感は、短すぎるとスポーツユニフォームっぽく見えてしまうが、長すぎてもニッカボッカー風になってしまう。絶妙な丈感のセレクトは、購入時の試着がマスト。大人っぽく着ることを意識するなら、パンツのシルエットはストレートなものを選ぼう。昔のバミューダ型のように見えても最近のショートパンツは、シルエットがテーパードしていたり、プリーツ入りのウエストのフィッティングになっているなど、現代的なシルエットにアレンジされているのだ。コーディネートで新しさを出すには色や柄で今年のトレンドを取り入れるのが良いだろう。
1. Engineered Garments/エンジニアド ガーメンツ
ワーク&ミリタリーの土クサい気分を都市のスタイルに変換
ファティーグショーツは、このブランドの定番アイテム。リップストップコットンを使い、ワーク&ミリタリーな印象あるストレートレッグタイプだ。ウエストにはベルトループも配置。男クサさをショーツにすることで押さえ気味にしながらも、ジャケットやブルゾンなどトップスを選ばないオーセンティックなタイプといえる。
「トップスは<バラクータ>のG4。旬のサファリ&ナチュラルカラーを取り入れました。裾のカットが絞られていないぶん、リブ仕様のG9よりもジャケットの裾とパンツ側面がフラットになるので上下のまとまり感も出せると思います。ここでのシャツはオックスフォードのボタンダウンを合わせたくなるところですが、あえてイエローストライプのクレリックシャツにしています。一見シンプルなコーディネートに見えますが、ジャケットのチェックの裏地がアクセントとして効いていますし、チェックの中のグリーンとイエローで他のアイテムの色を拾っているのもポイントです。さりげないポイントですが、今シーズンの気分なフレンチっぽさとトレンドのパステルカラーを取り入れることで春らしく着こなせるのではないでしょうか。雨風を防ぐ<バラクータ>に加え、ゴアテックスを搭載したシューズはビブラムソール仕様で天気が崩れやすい春や梅雨でも気兼ねなくお召しいただけるおまけ付きのコーディネートです」。(関川)
2. AURALEE/オーラリー
美しいグラデーションが描くアーティスティックな世界観
今シーズンのコレクションでは、色褪せていくような淡いグラデーションカラーのアイテムを数多く展開している<オーラリー>。このショーツは、ブルーのグラデーション生地から型紙の切り出し位置にまでこだわり、フロント&バックの左右など、パーツごとにグラデーションが美しい配置になるようにデザインされている。
3.ami alexandre mattiussi/アミ アレクサンドル マテュッシ
ワイドテーパードにエスプリを効かせたニュアンスシルエット
いわゆるバミューダショーツも、パリのデザイナーアレキサンドル・マテュッシによる<アミ>の手にかかると、エレガントに洗練されたものに仕上がる。コットンツイルのショーツはウエストにワンプリーツを入れたワイドテーパードシルエット。フロントはクラシックなボタンフライだ。ゆったりとルーズにフィットするニットを一枚組み合わせるだけで、優雅な大人のショーツスタイルが仕上がるはずだ。
テック系ショーツは本気のアスリートにならないスタイリングがマスト
ユーティリティな素材と機能を備えるテック系ショートパンツは、トレンドのラグジュアリースポーツからの流れを受けて人気の高いアイテムだ。タイトフィット過ぎたり、サイズが大きすぎると、ジム帰りかトラック競技選手のように見えてしまうので、適度なフィッティングを心がけたい。
選ぶべきブランドはモダンなセンスあふれるファッションブランドが間違いない。トップスはモダンなデザインウェアが似合うが、素材選びも重要。ナイロン素材のアウターを着てしまうと、そのままアウトドアスタイルとなってしまうので、上品な布帛のシャツやニットと組み合わせて、ミックス感を加えるのが街着で着るためのポイントになる。今風のテック系ショーツは、腰回りからワタリに余裕があって裾は細めのシルエットのものが多い。そのためトップスのシルエットもゆったりめのほうが良いだろう。
1. TEATRA/テアトラ
必要なデバイスをすべて持ち歩くノマドワーカーのためのショーツ
多彩な機能を搭載するコレクションが人気の<テアトラ>のショーツは「デバイスクルーザー」と名付けられているように、“鞄”のように様々なアイテムを持ち歩けるポケットが特徴。サイドにはタブレットも収納できる大型のトートポケット。内部には充電器など細々した小物類や手回り品も整理収納できる、デバイスパーテーションを備えている。ウエストの内側のパッカブルポーチは、通常時セキュリティポーチとしても機能する。
「<テアトラ>のテックショーツは、製品染めによるステッチ部のパッカリングや、布帛のシャツにもニットにも合うマットな素材感が使いやすさのポイントです。軽量、速乾、ストレッチ性のある素材はリゾートアクティビティでも威力を発揮します。同素材のトップスもあるのですが、あえてユーティリティなパーカと、ボリューム感のあるスニーカーで、トータル感あるコーディネートにしてみました。上掲のオーセンティック系ショーツでは色と柄で表現したのとは対照的に、こちらはモノトーンでコーディネートしましたが、製品染めのナイロンショーツに和紙×ポリエステルのパーカ、エコレザー×リフレクターのスニーカーと素材感で微妙な変化を表現しています」。(関川)
2. Theory/セオリー
裾口にアクセントを持たせたシンプル&スリムシルエット
コットンジャージーショーツの裾から、鹿の子ニットが覗くフェイクレイヤー。同じデザインの半袖トップスが用意されており、セットアップして着用することもできる。シルエットはやや余裕がありウエストはエラスティック&ドローコードでスポーツウェア風ながら、街着として洗練されたデザインに仕上がっている。
3. BYBORRE/バイボレ
ビットデザインが織り成す未来感あるニットショーツ
オランダ人のテキスタイルデザイナーが立ち上げた<バイボレ>のショーツは、実験的なデザインプロジェクトを志向するTDK(Textile Development Kit)Editionのコレクション。コンピュータを駆使したビットデザインのニットは、素材もパターンも先進的でフューチャリスティック。サルエルパンツ風のシルエットから、都会的なショーツスタイルがメイクできる。