「着られる服がない」をバイヤーが解決!Vo.9──ジム&トレーニング好きな元体育会系のビジネスマン
その7階が今年2月、リフレッシュオープン。さらにパワーアップしたブランド構成とともに、これまで他フロアで展開してきたセレクトショップ、<TOMORROWLAND/トゥモローランド>が移設オープン。これに伴い、同ブランドではスーツやジャケットを中心にスーパーメンズサイズの取り扱いをスタートする。そこで、実際のサイズサンプルを採るために、都内で働く会社員の方にフィッティングモデルとしてご協力いただいた。学生時代はアメリカンフットボール(以下アメフト)の選手としてならし、社会人でもプレーしていた彼は、現役を引退したいまもジムに通い体型維持に励んでいることもあり「着られる服がない」と悩んでいたのだ。
ジム通いが趣味なビジネスマンは、服を自由に買うことを諦めている
門脇僚平さんは学生時代、そして社会人チームとアメフト選手としてプレーしてきた。身長183cm、体重は現在約90kgだが、現役時代はオフェンスラインで体重は最高時109kgあったという。現在。体重は約20kg近く落としたものの、引き締まった身体は維持。聞けば、日々のトレーニングを欠かさないという。胸板が厚く、お腹も引き締まっており、スーツが似合う逆三角形体型の彼の勤務先はドレスコードが厳しく、カジュアルビズが浸透しているいまも週の半分をスーツで出勤するという。
「基本的にスーツとワイシャツはオーダーです。オーダーって、買い物に行くのにも気合を入れていくというか、事前にあれこれ考えてから行かないといけないじゃないですか。だから服を買うのが面倒だなって思うこともしばしばです。フラッと店に行って買い物を楽しむなんてことはほとんどしたことがありません。最近では休日用のシャツもオーダーしているので、百貨店やセレクトショップからは足が遠のいています」。
高校生ぐらいまでは好きな服を買いに、渋谷や原宿を楽しんでいた門脇さんも、大学生でアメフトを始めてからは、自由に服を買いにいくことを憚るようになったという。試着したくても「サイズがありません」と断られることが多いため、雑誌などで気に入った服を見つけても「どうせサイズないだろう…」諦めているのだという。
門脇さんのように身体を鍛えているビジネスマンは少なくない。そして皆、一様に服選びに苦労している。これまでアスリートの「着られる服がない!」を応援してきたスーパーメンズは、そういった方のために大きいサイズの服を各ブランドと共同で展開してきたのだが、続く門脇さんの言葉には少なからず衝撃を受けた。
「よくある大きいサイズの服って、サイズスペックがふくよかな方向けのものが多いように思います。たとえばスーツやジャケットは肩や胸周りのサイズで合わせることが多いのですがウェストがシェイプされていないので、着てみるとかなりお腹が余ります。お直しで詰めてもらうとシルエットが崩れてしまったり、なかなかぴったりにはならないです。パンツもウェストにあわせると太腿が入らない。逆に太腿が入るとウェストがユルユルです。それなら結局オーダーしたほうが手っ取り早くて確実。大きいサイズを置いているショップには、足を運ばなくなってしまうんです。でもオーダーはオーダーで、面倒なことも少なくないのですが…」。
この言葉を真摯に捉え、スーパーメンズバイヤーの植松は、トゥモローランドに通常の型紙をベースにしながら、門脇さんサイズを含むサイズ58までのスーツを取り揃えてもらうことにしたのである。
スーツもお腹周りが余らないからもうオーダーに頼らなくてOK!
オリジナルブランドの<TOMORROWLAND Pilgrim/トゥモローランド ピルグリム>のスーツはクラシックをベースに、しっかりとウェストをシェイプさせ着丈もほどよくスタイリッシュ。生地もウール×シルクの混紡とあって、ビジネスはもちろんフォーマルにも着こなせる上品な質感が見て取れる。
「実物を着るのは今日が初めてなので楽しみだったんです。実際に着てみると肩の収まり具合がいいですね。前ボタンを留めてもぴたっとハマって、まるでオーダーしたみたい。私の身体をベースにしているので当たり前ですよね(笑)。これならジム仲間も着られるのではないでしょうか。いつも、みんなどこで服を買ってるのか不思議だったんです」。
スーツは2XLサイズにあたる52を着用。シャツは既製品では最大の首周りサイズ43だ。もともとお腹周りが絞られている門脇さんのウェストサイズに合わせても太腿はタイト過ぎず、ボトムズには美しいシルエットが保てている。門脇さんから「他の色柄も自由に試着してみたい」と笑みがこぼれた。
「オーダーすると1ヶ月以上待たされるけど、これならパンツの裾上げだけで済みます。ほかの色柄を選んだら、コーディネートするワイシャツもこの場でいろいろ組み合わせられるのは楽しいですね。着たい気持ちが冷めないうちに、スーツが手元にくるのも本当にありがたい。仕上がりのスーツを受け取りにいくとき、こんな色柄選んだっけ? と思ったことが何度もあるので(笑)」。
旬のカジュアルセットアップも大きいサイズをラインナップ
もう一着、用意したのはいま人気のカジュアルセットアップ。テーラード型のジャケットとテーパードの効いたパンツの組み合わせは、カジュアルビズが浸透している今の時代、このままオフィスへも着ていけるとあって人気が高い。
「伸縮性のある素材は私のような体型にはありがたいです。しかも、こんなにスマートなセットアップスーツが着られるなんて。インポートブランドなら着られるサイズがあることは知っていましたが、そこそこ値も張りますので、気軽には手を出せませんでした。それに国内だと大きいサイズを入れてないこともあります。海外で買うことはできても、しょっちゅう行けるわけでもありません。ずっと、ファッション誌に出ているような服は諦めていたんです」。
これまで休日服として憧れながらも「サイズがないと断られるのが辛くて」諦めていたカジュアルセットアップだ。<トゥモローランド>では素材に伸縮性のあるミラノリブを使うことでモダンなスタイリングが可能だ。インのカットソーはフロントがカットソー、バックがシャツ生地に切り替えられている<トゥモローランド>の人気アイテム。ジャケットの後ろ裾から覗くのもポイントだ。今どきのルーズシルエットな型紙だが体の大きな門脇さんには、あえてジャストサイズで着てもらった。
かなりお気に召してもらえたのだが「会社にも着ていけますよ」と水を向けると、門脇さんの職場ではドレスコードにそぐわないらしい。カジュアルセットアップにカットソーの組み合わせは、オフィスで浮いてしまうのだそう。
「エネルギーインフラを取り扱う私の業種は昔からお堅いことで有名です。内勤でも無難な紺のジャケットにグレーのスラックスが限界。上司は皆ノータイスーツまで、営業はスーツにネクタイは外せません。そのため会社ではスーツでビシッとキメていても、休日はゆる〜い服しか着られなくて落差が激しいのが難点でした。でも、これは、かなりイケてるので絶対購入したいと思います!」。
ジム通い&筋トレ好きな人たちが、自由に服を選べる場所を提供したい
今回、<トゥモローランド>がスーパーメンズサイズをリリースするにあたり、サイズモデルとして協力いただいた門脇さん。じつは7階担当バイヤー植松とは学生時代、同じアメフト部でプレーした友人。互いに気心が知れていることもあり、スーパーメンズの新たな一歩に快く協力してくれたのだ。2月のリニューアル時に新設された、7階のパーソナルフィッティングルームでお話しを伺った。
植松 お正月、プロレスを観に行って以来だね。
門脇 1・5東京ドームね。獣神サンダー・ライガーの引退試合ね。
植松 やっぱ体鍛えてる人って、プロレス好きなの? 会場にもマッチョな人が多かったような?
門脇 そういうわけじゃないと思うけど、引き締まった身体を見ていると、影響されるというか、自分も筋トレ頑張ろうって思うんじゃないかな。
植松 たしか○○ジム芸人とか、マッチョが集まるので有名なジムに通ってたよね。
門脇 最近は自宅で自重トレーニングのほうが多くなってきた。ランニング5kmとダンベル20kgは欠かさないよ。身体鍛えるのは昔から好きだから。
植松 たしか高校時代はキックボクシングやってたよね?
門脇 そうだね。あの頃は細マッチョだった。
植松 大学の頃は、いまよりふたまわりぐらいデカかったよね。
門脇 最高で109kgまでいったんだけど、就職活動のときに一度、80kg台に落としたんだけどね。
植松 就職して、またアメフト始めたら大きくなった?
門脇 ホントは社会人やるつもり無かったんだけど、入社したら当然、経験者ってことでチームから誘われるじゃない。
植松 先輩もいるし、一部リーグだしね。
門脇 逃げられなかったかな。実際、選手時代は楽しかったけどね。
植松 現役はいつまで?
門脇 28か9。5年ぐらい前までやってた。いまも事務局でマネジャーみたいなことさせてもらってる。
植松 引退しても体型を維持しているのは立派だよね。
門脇 これから太りやすい年齢なので、そこは自制してるつもり。
植松 マッチョ体型だと、服って難しいでしょ。
門脇 正直、学生時代から困ってた。私服の記憶、あまりないでしょ。
植松 通学は、学ランだったからね。でも仲間内で遊びに行くときなんかは白シャツにデニムで来たこともあったじゃない(笑)。シンプルで女子ウケする服だなーって思ったことは覚えてる。
門脇 それぐらいしか大きいサイズの服がなかったんだよ。難しいんだよ、大きいサイズは、お腹周りばかり大きいものが多くて。そういう体型の人にはいいのかもしれないけど。
植松 胸板厚くてウェストが締まってる逆三角形マッスル体型の人は、確かにお腹が余るよね。サイズスペックが外国人モデルみたいな身体を想定してないから。だからこそ今回、ジムで鍛えてる人たちが着られる服を自由に選べる場を提供したいと思って、サイズモデルをお願いしたんだ。
門脇 じつは伊勢丹メンズ館には何度か来たことあったし、大きいサイズがあるって知ってたけど、どれが大きいサイズなのかわからなくて…。
植松 各フロアで大きいサイズの用意がある服には、ハンガーフックのところにマークを付けて、わかりやすくしているんだよ。それを目印に買い物してもらえれば、簡単に大きいサイズが試着できるよ。
門脇 海外に行くと、自分の身体にあう服がいっぱいあるのに、日本のインポートブランドの店では大きいサイズが売り切れてたり、置いてないって言われることがある。たまたま置いてあっても、いい値段するでしょ。もうちょっと気軽に変える値段だといいのにって、いつも思ってたんだ。
植松 そういう意見は、すごく参考になる。今シーズンはスーツやジャケットを中心に大きいサイズを揃えたけど、秋冬からはニットやカットソーなんかも、大きいサイズを揃えようと思ってるんだ。
門脇 それは期待大だね。だいたいどこの店に行っても「お客さまのサイズは…」って言われて諦めることが多いよ。それが積もり積もって服を買いに行くこと自体に、臆病になってるところがあるから。休日に散歩がてらショップを覗くとかもしなくなったし、家にこもって筋トレしてるほうがいいやって思っちゃう。
植松 いや、そこは出歩こうよ。 彼女の服を買うついでに、自分の服を買うとか。
門脇 デートでお互いの服を見に行ったりするとか、サイズないしなーってなるから絶対無理だったよ。
植松 伊勢丹なら大丈夫でしょ。本館で彼女の服を見てから、ここに来れば?
門脇 自分が着られるサイズが揃ってることがわかったので、これからは楽しいデートができそうだね。
植松 門脇がお洒落に目覚めたら、さらにモテるんじゃない!?って余計なお世話か!(笑)
Text:Yausyuki Ikeda
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