【特集】三越伊勢丹女性社員が本音で語る、好印象なビズスタイル×革靴とは?
集まったのは、店頭、内勤と職種は様々だが、公私にわたってメンズファッションと触れる機会はある女子社員4名。対談に先立って、雑談程度に聞いてみたところ、みなさん常日頃から男性の靴はチェックしているのだそうで、そんなに足元ばかりじろじろ見ているの? と尋ねると、駅の階段やエスカレーターなどで、ついチェックしてしまうのだそう。
気になるチェックポイントは、「コーディネートとのバランスや色あわせ」「きちんと手入れをしているかどうか」「ヒールが斜めに削れていないか」「コバに砂や泥汚れがこびりついていないか」など、じつに細かい。女性の靴とは履き方も汚れ方も異なるので、どうしても気になるらしい。「靴をきちんと手入れしている人は、細やかな気遣いが出来そう」という意見も。なるほど、男性諸氏には参考になるコメントだ。そんな彼女たちに、今回5つのコーディネートについて屈託のない意見を述べていただいた。
1. クラシックなスーツをタッセルスリッポンで新鮮に
チョークストライプのネイビースーツに、シャツはロンドンストライプ。ネクタイはソリッドにすることで、あえてストライプ×ストライプのVゾーンをブルー系の濃淡でコーディネート。フランネルのスーツには、ネクタイもウール地にすることで、素材感でも温かみあふれる印象を醸している。
ここでの靴は、<ジャランスリウァヤ>のタッセルスリッポン。本来ならレースアップのドレスシューズを合わせるところだが、今風の足元ナンバーワン人気の靴を合わせることで、新鮮味あるスーツスタイルとなっている。
黒靴なら、飾りやデザインが入っていても着こなしやすい
戸栗 スーツのストライプが太めだとお洒落っぽいと思います。
宮﨑 わかる。ストライプが細いと几帳面なイメージかな。
本田 私は几帳面な感じは好きです。真面目そうだし。
小倉 細いストライプは、かっちり目が好きなビジネスマンが着るスーツっていう感じ。チョークストライプは、お洒落を意識してるんだと思います。
戸栗 もっと太いストライプを着ている人は、スーツの着こなしにこだわりを感じます。
本田 スーツの色柄は、そのひとの立場や個性に合ったものを着てほしいですね。
戸栗 スーツもシャツのストライプなんだけど、靴下までストライプってどうなんですか?
宮﨑 同じような柄合わせは、バランスが難しそう。
本田 スーツとシャツが、ネイビーと水色だからかな。グレーだったらどうなんでしょう?
宮﨑 グレーも人によって印象が変わる気がする。
本田 落ち着いた印象を演出できますよね。
本田 黒の靴だと無難って思うのかも。むしろ好感度が上がると思うけど。
宮﨑 ここで紐靴じゃなくて、ローファーなんですね。
戸栗 この靴、かわいいと思います。会社に着ていくスーツに、タッセルローファーって、正統派じゃないかもしれないけど、このぐらいがちょっとだけお洒落感あるようにも思います。
宮﨑 タッセルスリッポンなら、スーツをお洒落に着ていますね、ってなる。
戸栗 そうなんですよね。紐靴だとより大人な印象が強くなる気がする。
宮﨑 最初の一足として選ぶなら黒靴が使いやすそう。
小倉 靴が黒だと、多少デザインが入っていてもいいような気がします。茶色の靴で、デザイン入ってると、スーツと合わせるのが難しいような。
戸栗 あぁ、わかる。あのグラデーションとかムラ染めの靴って、履く人の個性も強く出ますよね。
小倉 黒だからこそ、タッセルスリッポンでいいのかも。靴だけじゃなく、飾りはバランスが大事じゃないかな。アクセサリーとかもそうじゃないですか?
宮﨑 アクセサリーでも、ポケットチーフは可愛いと思う。この方の場合、色もシンプルで良いですね。さりげないアクセントになっている気がする。
本田 私はポケットチーフで、上手に差し色使いしている人は好感持てます。ちょっとだけ柄モノとか、あってもいいと思うので。
2. 旬なモノトーンスタイルに定番ローファーを
チェック柄のダブルジャケットに合わせたインナーは黒のタートルネックニット。パンツはストレッチを混紡したスポーツ素材だが、ウェストにプリーツを入れたキャロット型のシルエットだ。ここでストレートの黒いスラックスでは、なんの変哲もないスタイリングだが、余裕ある太めのシルエットが今風のコーディネートを描いている。足元はスタンダードなコインローファー。あえて奇を衒わず、黒の定番シューズを合わせることでモノトーンのストイックなイメージを強調している。
ローファーってTPOを問わない万能靴かも
本田 大人のモノトーンって、上手に柄モノを使うのが素敵だと思うんです。
宮﨑 柄物を1点に押さえているから、上手にまとまってる感じがする。ジャケットに絞ったのは正解かも。
戸栗 確かに。このチェックのジャケット、可愛いですよね。
宮﨑 スポーツ素材のパンツは、最近の流行りですね。履きやすいし、わりとどんな素材とも合わせやすいと思うな。
戸栗 ジャージーパンツですよね。あれ、快適そう。
宮﨑 冬素材と組み合わせても違和感ないし、シルエットもドレープがきれいで、モードっぽかったりしますよね。そうすると、足元は…?
小倉 ここではローファーですね。
宮﨑 ジャケット着たら、基本的にローファーでいいような。ローファーって、年代を問わず履きますよね。
戸栗 ローファーが似合わない服って無いような。万能な靴じゃないですか。
小倉 男性には学生っぽいイメージが有るのかも。大人が履いても素敵ですよね。
宮﨑 石田純一さんが裸足にローファー履くじゃないですか。ああいうこなれたイメージは、お洒落の上級者っぽいと思う。
戸栗 ローファーって、あらゆる世代に履ける、いろんな意味で、ちょうどいい靴なんだと思います。
小倉 それに、こういう太いシルエットのパンツと合わせれば、十分トレンドのお洒落としても通用しますよね。
本田 シンプルだけど硬すぎないし、ちゃんとした知的な男性というイメージですよね。適度に上品で適度にカジュアルっていうイメージは、無理がなくって好感度高いです。
戸栗 無理しないで肩の力が抜けているのがいいと思います。ローファーって、気負った感じがしないので、いろんなTPOで通用する靴なのではないでしょうか。
3. ツイードの量感とバランスを取るラバーソール靴
トレンドのセットアップスーツもホームスパンツイードなら、ぐっとビジネス感が薄まって気軽な装い。シングルピークのジャケットはクラシックな形だが、パンツはウェストにシャーリングが使われていて、シルエットも余裕あるテーパードラインだ。英国調の素材を使いながら、仕立てはイタリアンなモダンスタイル。そこでインナーはクルーネックのニット合わせて、アクセントにスカーフを差してみた。足元はボリューム感あるものを合わせて、ツイードの重厚感とのバランスも良好だ。
足元をバランスよくコーディネートできる男性は好印象
宮﨑 ツイードのスーツ?
戸栗 セットアップっていうんですよね。これで仕事に行くのかな?
本田 ジャケットの中にニット1枚って、シンプルで今っぽい気がする。
戸栗 私は男性がネクタイしてる姿が好きなので、クルーネックで合わせるのは新鮮。個人的にはタートルネックが好きかも。
宮﨑 私は襟元がすっきり見えるし、清潔感があっていいと思います。
本田 ツイード素材っていうところがお洒落だなって。
宮﨑 季節感ある素材は、大事だよね。
本田 季節ごとにスーツの素材を変えて着こなしている人ってお洒落ですよね。
戸栗 季節に合わせた服はもっていてほしいし、着分けてほしいと思います。それって、大人の男性の服装術の基本だと思うので。
小倉 足元は、街でよく見る靴ですね。ぽってりしていて可愛いし、ゴム底がボリューミーで足元に目がいく靴ですね。
戸栗 あまりボリューミーな靴はパンツの裾丈とのバランスが難しそうじゃないですか?
小倉 きっと、ちょっと短めの丈で合わせるんですよね。足首がちらっと覗くぐらいの。きれいめのコーディネートでも調和できそう。
本田 そのへんのバランスを上手に取れてる人がお洒落さんなんでしょうね。
宮﨑 靴下を差し色にするのもいいんじゃない?
戸栗 ちらっと差し色使いがされていたら、ちょっとお洒落で可愛いかも。
本田 インナーがシャツじゃないときは、スカーフがアクセントになるんですね。
小倉 ロサンジュですね。襟の内側に垂らしたり、襟元に結んだりしますよね。
戸栗 まだネクタイなしでスーツを着ることに抵抗がある方にはおすすめですかね?
本田 セットアップで差をつけるアイテムとして取り入れやすい気がします。
小倉 大人の男性がしていたら、お洒落に見えるのかもしれませんね。
宮﨑 男性の巻きモノ使いは、こなれた感じになるので全然いいと思う。この方も、あえて色を使わないで、添えていますね。セットアップスーツに合わせた色やデザインだとコーディネートにまとまりが出そう。
4. アメトラに、あえてパンチドキャップのドレス靴を
ネイビーブレザーにシャンブレーのボタンダウンシャツをタイドアップ。ネクタイの柄を右下がりのストライプにすることで、アメリカントラッドな雰囲気を醸している。と、なれば足元はコインローファーが鉄板なのだが、あえてドレッシーなレースアップシューズを選んでみた。細かいところを気遣うことで、アメトラスタイルは決して懐古的なスタイリングには見えないものだ。シャツ襟のボタンを外している点にも、気づいてもらえるだろうか。
定番アイテムを使いこなしている人は好印象
小倉 私、個人的にアメトラ好きなので、こういうスタイルは好印象です。
戸栗 とっても上手ですよね。いろんな色のアイテムを使っているのに、ちゃんとまとまってる。
本田 でもブレザーって学生服のイメージが強いからなのか、着こなすのが難しそう。
小倉 スラックスにスニーカーだと高校生の制服っぽいかも。革靴で、しっかり合わせれば上品に大人っぽくまとまるように思います。
戸栗 確かに高校生は、ブレザーにスニーカーが多かった気がします(笑)
宮﨑 だからここでは、紐靴なのか。ローファーよりもグッと落ち着いた印象になるかも。
戸栗 こういうドレス靴を、履くべきときに、きちんと履いている人って、ちゃんとしてるなって思います。
本田 親に会わせても安心(笑)。
小倉 ちゃんとした靴を持ってるっていうのは社会人というか大人としての自覚があるように思えます。
戸栗 スニーカーしか持ってないって人はいないと思うけど、冠婚葬祭に履く靴が困るっていう人はよく聞きます。
宮﨑 先程、男性が革靴を履く機会が減っているって聞いたんですが、普段はラフなスタイルにスニーカーでも、きちんとすべきときに、確かな一足を持っているっていうことが大事なんだと思う。
小倉 先を読んで用意してあるか、どうかってことですよね。そういうの大事。
本田 こういう真面目そうな一足は、絶対に持っていてほしいと思います。
宮﨑 今はつま先の切り替え部分に穴が開いている「パンチドキャップトゥ」も「ストレートチップ」と同じように男性にとっては定番なのでしょうか。
戸栗 基本的なドレスコードはあると思うけど、それをわかった上で、すこしだけお洒落してみるのはいいと思います。今って、そんなにドレスコードにうるさい時代じゃないし。
本田 この靴で結婚式でも、お葬式でも、会社にも履いていけるのでは。もちろんお手入れはちゃんとしてほしいけど。
宮﨑 それほどデザイン過多でもないし、合わせやすそう。これも定番なのかな。
小倉 アメトラって、定番アイテムばかりでコーディネートするので、意外とコーディネート難しいんですよね。
戸栗 ベーシックな定番服を、カッコよく着こなしてる人って、すごくお洒落な人だと思います。
宮﨑 定番服を上手に着こなせる人って、好印象かな。
小倉 定番って、どう着ても悪いイメージにはならないですよね。
本田 服装が安心感につながるってとっても大事。女性が男性に求める要素の一つになると思います。
小倉 先を読める先見性と安心感って大事ですよね。
5. ニットジャケットのリラックス感は革靴で引き締めて
リラックスしたニットジャケットに、グレーのドローコード付きイージーパンツというモノトーンのカジュアルな組み合わせ。インナーは遠目に無地のシャツだが、じつはマイクロ千鳥格子のワンピースカラー。襟元がほどよく開くワンピースカラーは、タイドアップもできるので、カジュアルOKの職場ならこのまま出社もできるだろう。その際、履き心地も軽やかなスニーカータイプのプレーントゥならオフィスエレガンスも保つことができるうえ、ラフになり過ぎないようスタイリングを引き締めてくれる。
ジャケット&革靴なら休日感が抑えられる
宮﨑 ニットジャケットって、トレンドのアイテムだと思うんだけど、着方がラフ過ぎると休日感が強い気が。
戸栗 Tシャツとかで、リラックスし過ぎる着方は職場によっては注意したほうがいいですね。インナーがシャツなのは正解かも。
小倉 多分、このスタイルにスニーカーを合わせちゃうとユルく見えちゃうから、革靴で引き締めてるのでは?
本田 そう、足元ひとつで印象って変わりますよね。
小倉 内勤なら、これぐらいでもOKな会社、いまはあるんじゃないでしょうか。
宮﨑 職種にもよると思うけど、カジュアルデーならニットジャケットでも、ちょっときれいめなスタイルなら新鮮かもね。
本田 コバが茶色なんですね。
宮﨑 これぐらいのデザインなら、可愛いんじゃないかな?
戸栗 さりげないデザインは好感が持てます。あ、でもこの靴、すっごい軽いんだけど!
小倉 靴底がスポンジみたいな素材だから軽いんですね。しかも中敷きが取り外せる。これってスニーカーとかによく使われている素材かな?
宮﨑 カップインソールだね。これ歩きやすいので、私も展示会まわりする日は、こういうスニーカー履いてます。
戸栗 中が分厚いですね。履くと背が5cm高くなるんですか。
本田 男性の5cmって、結構印象も変わりますよね。
宮﨑 やっぱり男性でも、気合い入った日に履くのかな? 私も、今日は大事な商談だっていう日はヒール履くもん(笑)。
本田 自分のなかで「がんばるぞ!」っていう日は、気合いがはいりますよね。
小倉 そういうときは服もいつもと変わってきますね。今日はいつもとは、違うぞってなる。男性も、気合いの入った仕事やデートのときにこういう靴を履くのかな。
宮﨑 休日にニットジャケット着てたら、ちゃんとしているなぁと思う。最近は、アウトドアとかスポーツ、ストリート系の服も多いでしょ。
戸栗 お店にもよると思うけどレストランを予約しているときは、TPOに合わせてジャケットぐらい着てきてくれると嬉しいですよね。
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Text:Yasuyuki Ikeda
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