日々、興味がある年代のファッションと今の気持ちが同居・混在している
柴田 山下さんを遠くから見ていると、今の時代にすごくクラシックを大事にされていて、常に1ヵ所「えっ?」と思うハズしがスタイルの中にあるなと…。
前に驚いたのは、カゴバッグ(*過去のAmvai記事『山の〝ボッテガ〟~ 実に〝モテる〟かごバッグ』を参照)を持っているのを拝見したときでしたが、ああいう発想や着想の元は?
山下 こういう仕事をしていると、着ているファッションや自分が持っているモノから話が広がったり、仕事に繋がったりすることがあります。
なので、「自分が今どういう気持ちでいるのかを、自分の見た目で表現する」ようにはしています。装いから話が弾んだりすることを常に意識しているので、海外の街を歩いていて、「おまえちょっとこっちへ来い!」と、大物ファッション関係者に道端でナンパされることもあります。ファッションはある種の共通言語でもあるので、意識的にやっていることではありますね。
柴田 そういう事だったんですね!つまり、山下さんの着こなしは今の気持ちが表れている。それに引っ掛かって、ちょっと声を掛けてみたくなる世界の大物達!!
山下 もちろん雑誌でも表現できるんですが、雑誌だけでは表現できない部分があって、自分の見た目でも表現したい。インスタ(@eisuke_yamashita)もそうですね。なにかしら「これが今面白い」を伝えていたい。
柴田 今の気持ち=装いは毎日変わっているんですか?
山下 そうですね、最近は日々すごく変わっています。今自分の中で気になっている時代感は、80年代後半のアルマーニとか、70年代後半から80年代前半の両時代性が混在しているスタイルです。全身アルマーニの日もあるし、今日のようにツーブリッジのメガネに「ちょっとだけフレアしている」リネンのパンツがいいなと思う日もある。鞄も最近ハンティングワールドを購入したり、自分の中に興味がある30年代、70年代、90年代などのファッションと気持ちが同居・混在しているんです。
本インタビューの続きは7月25日(木)更新予定の後編
「今、80年代後半のアルマーニスタイルが刺さる理由」に続きます。
ぜひご期待ください!
【Amvai×徒然なるモノ語り】名著から紐解く達人のファッション考
■Amver ファッションディレクター 山下英介 (@eisuke_yamashita)
1976年埼玉県生まれ。大学卒業後いくつかの出版社勤務を経て、2008年からフリーのファッションエディターとして活動しています。ファッションディレクターとして創刊時から参画している「MEN’S Precious(小学館)/ https://precious.jp/list/mensprecious/」を中心に、カタログの編集、原稿の執筆が主な業務。住まいは築50年のマンション、出没地域は神保町や浅草、谷根千。古いものが大好きで、ファッションにおいてもビスポークテーラリング、トラッド、モード、アメリカンカジュアル……。背景にクラシックな文化を感じさせるものなら、なんにでも飛びついてしまうのが悪いくせ。趣味の街歩きをさらに充実させるべく、近年は『ライカM』を入手、旅先での写真撮影に夢中。まだ世界に残された、知られざる名品やファッション文化を伝えるのが夢。
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Text:ISETAN MEN'S net
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