【特集|インタビュー】 プレイフルなライフスタイルに寄り添うバッグ&ギアブランド<AS2OV/アッソブ>の魅力とは。
「カバンもヒトも、中身が大事」──そんなコンセプトのモノづくりを続けるブランドが<AS2OV/アッソブ>だ。美しくも機能的なバッグやギアといったコレクションのみにあらず。仕事だけでなく趣味やレジャーもしっかり楽しむ、モダンジェンツのライフスタイルを充実させるアイデア、そして世界観が凝縮されているのだ。
今回は、<アッソブ>を展開するUNBY(アンバイ)株式会社の代表・富士松大智氏にインタビュー。同ブランドの魅力について、話を訊いた。
<AS2OV>を展開するUNBY株式会社の代表・富士松大智氏
共有したい自分たちの“価値観”をブランド名に
「焚き火って不思議なもので、普段はあまり会話のない娘も喋ってくれるし、誰でも腹を割って話してくれるようになります(笑)。キャンプではさまざまな人間性が垣間見えるだけでなく、集団においてどんな動きができる人なのかも分かりますよね。だから今年から、採用試験の最終面接はキャンプで行うことにしたんです」
同じ職場で働くことになる仲間を、キャンプというアクティビティを通じて探し出す。こんなユニークな採用方針からも、UNBYという企業の姿勢や理念、引いては<AS2OV>のブランドコンセプトが伺い知れるというものだろう。富士松氏自身が、大の海好きでキャンプ好き。彼らはただのお洒落な“カバン屋”でも、頭でっかちな“クリエイター”でもない。趣味と生活と実践に即した、真のライフスタイルメーカーなのだ。
UNBY株式会社の直営店「UNBY GENERAL GOODS STORE」。「鞄も人も中身が大事!」をコンセプトに、<AS2OV>をはじめとする鞄や鞄の中身、そして新しい趣味にも通じるアイテムを展開する。
そんな<AS2OV>のブランド名は、「A Shared Sense Of Value(価値観の共有)」というメッセージの頭文字から取ったもの。ブランドの世界観とはまさしくこの“価値観”のことであり、<AS2OV>が重視する“価値観”とは、「いいものを多くの人が手に入れられる価格で、共有してもらうこと」でもあるという。
「バッグ作りに関わるようになって、およそ25年。いろんな経験やノウハウなどの積み重ねによって、他所には真似できない優れた製品でも、コストを抑えながら制作することができる環境を手に入れました。生地、パーツ、工場など、あらゆる部分で最適な選定を行えば、最高のプロダクトをリーズナブルな価格でご提供できるんです」
バックパック 34,560円
(28x47x16cm)
そんな富士松氏が最もこだわっているのが、機能性とデザイン性を両立させること。そのためデザインのためだけのポケットなど、必然性のないディテールは徹底的に削ぎ落とす。あくまで、使い勝手のよいカッコよさを追求しているのだ。
「一般的に、デザイン性と機能性というのは反比例しがちです。でもこの相反する要素を高いレベルで融合させ、“カッコよくて機能的”であることこそが、<AS2OV>の目指すモノづくり。たとえば軽量で扱いやすいナイロンもいいけれど、やっぱりベジタブルタンニンによるレザーの味わいは魅力的。どちらも捨てがたいじゃないですか」
人生を楽しむために必要な、バッグという“容れ物”
数あるバッグ用素材のなかでも、「特にスエードがお気に入り」という富士松氏。今回のイベントでフォーカスする「ウォータープルーフ」シリーズにも、スエードを使用したデイパックやサコッシュがある。しかもリアルな牛革のスエードでありながら、防水性も高いというから驚きだ。
サコッシュ 12,960円
(22x22x4cm)
「スエードはスムースレザーやナイロンなどと違って、独特の陰影や濃淡が味わえるのが好きなんです。そんなスエードに鞣しの段階で防水加工を施すことで、質感や風合いはそのままに、少々の雨など気にせず使える機能性を付加することができました。ファスナーにも止水ジップを採用することで、ファッションアイテムとしてのデザイン性や大人っぽさがあるのはもちろん、ギアとしてアウトドアで使えるパフォーマンスも備えているんですよ」
多くのブランドがリリースするトレンドアイテムのサコッシュだが、スエード製、しかも防水とくれば、その高級感やオリジナリティは格別。他人と差をつけるのに、もってこいの逸品だといえるだろう。このスエード素材のみならず、<AS2OV>ではさまざまなオリジナルの生地を開発している。これも、長年の積み重ねで築いてきた知識や生産背景があればこそだ。
「UNBY-TEX」というナイロン系の素材は、耐摩耗性に優れる「CORDURA® 305d fabric」に特殊透湿防水フィルム「L-VENT®」をラミネート加工し、さらにはトリコットナイロンを張り合わせるという3層構造を採用。耐水圧20,000mm以上という驚異のスペックは、一般的な傘の約40倍、つまりまったく水を通さないと考えても良いレベル。さらに要所にシームテープを施し、水滴の侵入をほぼ完璧にシャットアウトしている。計算され尽くしたポケット配置や構造も相まって、とにかくハイスペックかつ機能的に仕上がっているのだ。
バックパック 30,240円
(30x55x15cm)
ショルダーバッグ 29,160円
(42x40x17cm)
着るものでもないバッグに透湿素材を駆使するなど、他のブランドでは到底考えられまい。だがその背景には、バッグ業界で一般的な防水加工であるPVCに比べて圧倒的に薄く、しなやかで、軽やかに仕上がるという大きなメリットがあった。ややオーバースペックかもしれないが、雨の日に使い勝手のいいバッグを純粋に追求したとき、「UNBY-TEX」を開発する必要が生じたというわけだ。
「大手メーカーより身軽だからこそ、不要なものは作らなくていいし、逆に自分たちの好きなものだけをカタチにできるのだと思っています。そしてスポーツブランドではないからこそ、ときにはスペックよりムードを優先する自由があるのだとも……。これからも自分が欲しいものだけを作っていくという姿勢は、変えずにいきたいですね」
「今はずっと長く愛着を持って使い続けられるような、美しい経年変化が楽しめる素材を使ったアイテムが作りたい。たとえば白いヘビーキャンバスのように、ナイロンほど軽くはないけど、使い込むほどに味わいが増していくような……。ただ見た目がいいだけじゃなく、“人生そのもの”を詰め込んでともに生きていける。そんなバッグが作りたいです」
そのためにも、「もっともっと遊びたい」と笑う富士松氏。<AS2OV>とは、大人が人生を楽しむための“容れ物”や時間、気付きを与えてくれるブランドなのかもしれない。
Text:Junya Hasegawa(america)
Photo:Taku Fujii
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