【インタビュー】<カンタータ>松島 紳|素材と作りに徹底的にこだわった、至高の服に挑む(1/2)
2015年のデビュー以来、ファッション誌の編集者やスタイリスト、感度の高い方々から高い支持を受け、ジワジワと盛り上がりを見せる<cantate/カンタータ>。彼らの心をガッチリと掴む要因は、生地や作りに対する並々ならないこだわりと、飽くなき探究心。日本の職人、生産者たちと密なやり取りを繰り返し、今できる至高のMADE IN JAPANプロダクトを世に送り出し続ける<カンタータ>とそのデザイナー松島紳氏の魅力に迫っていく。
<カンタータ>デザイナーの松島 紳氏
作り手の顔が見えるものづくり
「出身である北海道にいる頃は街に服屋も少なく、ファッションでの楽しみは古着に触れることくらいしかなかった」と語る、松島氏。しかし、その古着に魅せられ、リーバイス®の501XXやフレンチヴィンテージ、ミリタリーに大きな興味が湧き、「これらを今の服で再現できないか」とファッションの世界に進むことを決意した。
その後、文化服装学院ではパタンナーのコースで学び、卒業とともに岡山の会社で生地やデニムについてたくさんのことを経験。ドメスティックブランドを経て、弱冠25歳で<カンタータ>を立ち上げる。
シンプルかつスタンダード、そのうえ良い素材を使っていて着心地が良く、着やすいパターンを採用した最高峰の服。これを作るべく彼が取った手段は、自らの足で地方を駆けずり回り、情熱を持って説得することで仕入れ先を開拓すること。商社やOEM(受託製造)を使うことなく、最初から最後まで自分の目で見て確認する。「例えば、ボタン一つとっても、ボタン屋さんと直接取り引きをすることで、パーツひとつひとつに作った人たちの顔が見えるようにして、商品一つ一つに説得力が生まれるものづくりを心掛けています。そのためにはMADE IN JAPANであることは欠かせません」。
しかし、彼がこだわるのは、その技術に対してだけではない。「織りにしても縫いにしても設備さえしっかりしていれば、どこの国で生産してもクオリティは保てると思うんです。ただ、日本人が作ることによって物を見る目が日本人の目になるんです。日本人はこういうことに美を感じる、こういうことには厳しいといったこだわりを共有できるから結果ミスも少なくなり、クオリティが上がるので任せられるんです。美的センスを含め、やっぱり日本人は目がイイですね」。もちろん技術の高さを信頼しての発注ではあるが、間違いのない意思の疎通こそが、上質なものづくりに繋がっている。
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