「ピッチを降りたら、仕事とプライベートで切り替える時間が必要。そのためには服装が大切だと思っています」。
サッカー日本代表でもあり、プロのサッカー選手であることと、一人の男であることを、槙野智章はしっかりと切り替える。そこにはプロアスリートとして意識の高さがある。「仕事のできるヤツほど、うまく休む」というビジネスマンの格言は、槙野にも当てはまる。疲弊することのない環境を整えてこそ次なる仕事に打ち込めると知っているのだ。
天然キャラとも言われるが、この日の言葉はいたって真剣だ。とくにファッションに関しては、プロ1年目から一家言持つという。
「或る日、のこのことジャージーで練習場にいったら先輩に真剣に怒られたんです。ピッチの上だけじゃなく、服装や持ち物で夢を与えなくちゃいけないって。昔から服は好きですけど、本格的に服で自分を表現しようと思ったのはそれからですね。給料は自分自身を魅せるものに使おうと思うようになりました」
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スーツはオーダー、カジュアルはサーファースタイルから古着まで。テーラードジャケットを羽織るスタイリングだってお手の物だ。月に1度は、仲間たちと“お洒落会”を開いているそうで、そんな日は何を着ていくか情報交換しながら、コーディネートに頭を悩ますという。コミュニケーションの手段として、服装を大切にしている。
服装をコミュニケーションのツールに使うこと、それは海外時代にも役立ったという。
「日本から持っていった服もたくさんあったんですが、それだけだとチームメイトと馴染めないんです。向こうのコミュニティには、やはり相応のオフのスタイルと言うものが合って、それはドイツのデザイナーズブランドだったりストリートブランドだったりするんですが、同じブランドの服を着ていることで仲間として認めてもらえるっていうこともあるんです。向こう(ケルン)でチームメイトと、行きつけの服屋に行って買いものをして、そうしてやっと仲間として認められて。ただその服、日本で着てみると、またなんかちょっとこう、逆に浮いてしまうこともあったりするのですが(笑)」。
最近は年齢的にもジャケットを着ていくことが少なくない。目上の方と会うときは勿論、サッカー以外の世界とのお付き合いも大切にしている槙野は「どんなTPOにも堪えられるだけの服はクロゼットにつねに用意している」という。
「いまスーツだったら断然ダブルが良いですね。スーツを着ること、意外と多いんですよ。ちなみにチームのオフィシャルスーツについては、サプライヤーと一緒に僕がディレクションしているんです」。
<アディダス>のアイコンスーツに袖を通し、Tシャツ&ショーツの組み合わせで軽く着流す。ストレッチ混のシアサッカーは、適度にカジュアルで適度にドレス感もある。バランスの取れたスーチングは槙野のセンスにうまくハマっているようだ。
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「最近のアディダスのこのシリーズ、すごくいいなと思ってたんです。以前はもっとジャージーっぽかったですよね。シアサッカーになったことで、すごく清涼感がありますよね。夏なんか涼しそうだし、黒や紺のセットアップより素直に着たいと思えます。最近はブレイシーズで着るスーツやジャケパンスタイルが好きなので、このセットアップもブレイシーズで着こなしたいですね」。
最旬トレンドのブレイシーズ使いをリコメンドするとは、ファッション感度はかなり上級だ。自らの個性を主張するために装うファッションと、コミュニケーションツールとして相手のために装うスタイルを、じつに良いバランスで知っている。ピッチの外にも友人が多い理由は、このバランスのとれたファッション感の賜物だろう。
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