マーティン・サウンドに関しては、どのようなイメージを持っているのだろう?

 

「ストロークが本当にキレイ。言葉で言い表すのはとても難しいけれど、敢えて言うなら『ジャラーン』かな。逆にギブソンだと『シャラーン』といった感じ。……わかりにくいですね(笑)。ギブソンがある種ロックな印象であるのに対し、マーティンはニューミュージックっぽいテイスト。もちろん個人的な感覚によるものですが、優等生的なサウンドがマーティンの魅力。もちろんそれもひとつの重要な個性だと感じています」

今回のイベントがマーティンのアニバーサリーということで、ライブには「000-ECHF Belleza Nera」のプロトタイプと、もうひとつ特別なマーティンを用意した藤原ヒロシ。それが世界に一本との説がある「0-28E」だ。モデル名のEは“エレクトリック”を意味し、小振り型にしてピックアップを装備しているところが最大の特徴。そのサウンドは優等生というよりはエレキ・ギターに近く、そんなちょっと異端なところもお気に入りなのだとか。


「マーティンのギターは、ひとつひとつの音がしっかり揃って出るところがイイですね。ギブソン的なサウンドも好みですが、こういった有機的な温かみあるマーティン・サウンドは、時にホッとさせる魅力があるように感じます」

人によってはロックなイメージを藤原ヒロシから感じ取る人もいるかもしれない。しかし、彼のルーツにはアコースティック・ギターを主とするフォーキーなエッセンスも少なからず含まれている。それが証拠にライブの冒頭で演奏されたのは「プカプカ」。藤原ヒロシと同郷である三重県出身の西岡恭蔵による、知る人ぞ知るヒットナンバーだ。MCでは「その昔、姉が良くこの曲を聴いていたのを憶えている」と言葉を添えた。

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