2017.11.16 update

【インタビュー】<ETTINGER/エッティンガー>ロバート・エッティンガー|15年目の新色(1/2)

ブライドルレザーの代名詞的ブランドにして、レザーグッズ専業のブランドで唯一ロイヤル・ワラントを授けられた<ETTINGER/エッティンガー>。蔵の工場を買い取ったことからその歴史がはじまったバーミンガムの老舗は、古き良きイギリスをいまに伝えてくれる。
 
 


「グレーはわずかな濃淡でがらりと印象が変わる色です。室内、屋外、照明の下。あらゆるシーンで納得のゆく色をつくろうと欲張ったら、あっという間に半年が経っていました」
 
新色の登場は、じつに15年ぶりのこととなる。
 
「創業からずっとブラックのみの展開でした。色を加えるようになって20年ほど。それから数年かけて現在の8色を揃えました。カラーバリエーションの必要性を教えてくれたのは、カスタマーでした」
 
9色目のラインナップもまた、カスタマーの声に応えたものだった。ブラック、ブラウンに代わる色が欲しいという声を受けて誕生したグレーは女性からの反応も上々というがもっともだろう。透き通るような質感、穏やかな色調からはノーブルな香りが漂っている。素直な感想を伝えると三代目のロバート・エッティンガーは満足そうにうなずいた。
 

<エッティンガー>といえばレザーグッズにいち早くバイカラーを採り入れて洒落者を唸らせたブランドである。味気ないレザーグッズを華やかにしたかった──色に対するそんな情熱があるものとばかり思っていたが、どうやら見当違いだった。そもそものバイカラーも瓢箪から駒が出たようなものだった。
 
「内装のパネルハイドは鞍の裏につかわれる部位。非常に柔らかいのが特徴です。適材適所を考えて、耐久性が求められる外装にブライドルレザー、直接肌に触れる内装にパネルハイドというコンビネーションに落ち着きました。パネルハイドは一般にベジタブルタンニンで無染色でした。つまり、そのままつかったのがバイカラーのはじまりなのです」
 
15年というスパンは常識ではなかなか考えられないけれど、ファッションからのアプローチとは無縁で、顧客ありきのものづくりと真摯に向き合ってきた<エッティンガー>においてはとりたてて驚くほどのことではない。

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