本当は「ロングジャケット」と呼びたいミニマムなタイロッケンコート

──<ジュンハシモト>橋本 淳

コートと言うと世界が限定されるので、本当は「ロングジャケット、ロングシャツ」と呼びたい――というのは、<ジュンハシモト>のデザイナー橋本 淳氏。今回のイセタンメンズでの【My Best Coat】を、「グッドタイミングでした」と歓迎した理由は……。


スタイリングはコート、着心地はシャツに近い感覚


――イセタンメンズから今回のMy Best Coat】の依頼があったとき、まずどう思いましたか?

個人的に春のコートは大好きで、<ジュンハシモト>でもずっとコレクションで展開しています。ブランドではスプリングコートというより、“スタイリングはコート、着心地はシャツに近い”ものとしてリリースしていて、今回のブリティッシュな雰囲気を持った“タイロッケンコート”も、コートの形をしたロングシャツとして捉えています。

<ジュンハシモト>では今シーズンもクールマックス素材のタイロッケンコートを展開していて、スタイリングのビジュアルとしては、コートとショーツのセットアップを推奨しています。

――橋本さんご自身は、春にコートを着られますか

よく着ますね。というのも、仕事柄ジャケットを着るシーンがほとんどないので、ジャケット代わりとして着ることが多いです。そういう着方をしているので、コートと言うとどうしても着方が限定されてしまいがちですが、本当は「ロングジャケット、ロングシャツ」と呼びたいですね。イセタンメンズのバイヤーから【My Best Coat】の参加を打診されたときは、グッドタイミングだと思いました。


<ジュンハシモト>

コート 52,920円

織りだけで陰影になっているカモフラージュ柄がポイント


――My Best Coat】についてご説明ください。

コートのデザインは、昨秋冬に売れたコートの春夏版で、トレンチコートの原型ともいわれ、“ヒモでロックする”という意味を持つタイロッケンコートです。ラップのように身体を包み込む独特な雰囲気があり、ボタンは一切なく、留め金はすべてマグネットボタンを使用。見た目にすっきりさせて、全体的にアーミーテイストをソリッドモード化しています。

<ジュンハシモト>春夏コレクションではクールマックス素材を使っていますが、こちらのコートは織りだけで陰影になっているカモフラ柄を採用。ストレッチも効いているので気持ちよく着こなせます。カモフラ柄はイセタンメンズでもよく売れていますが、ドットや花柄、チェックなどは可愛い印象なのに対し、今回のカモフラは無地が好きな人でも取り入れやすいカッコいい柄なので、ぜひ店頭でご覧ください。


――今回のコートを中心にどういう着こなしを提案しますか?

<ジュンハシモト>はタイトなイメージがありますが、このコートは少しオーバーサイズ気味の仕立てになっています。手持ちのタイトなテーパードパンツに、インナーはシャツではなくモックネックなどのカットソーにすると、今年らしい雰囲気に仕上がります。

イセタンメンズには、「商品のその先」まで提案してほしい


――今のメンズ館に対して感じていること、期待や要望などをこの機会にぜひ。

百貨店は商品を販売しているので、売上を上げていくのはよくわかりますが、そこを起点にしていてはダメだと思います。メンズ館には「着るシーンや文化をつくる」、「その服はこう着る」、「着たらどうなる」、「着る場所を作る」まで踏み込んでいってほしい。 そして“男子たるもの”という行動まで作ってほしいですね。伊勢丹にはもっともっとやってほしいです。

今回はスプリングコートというテーマのプロジェクトですが、服作りは料理と同じ。同じ素材でも料理人によって表現や味が変わってくるのが楽しいので、イセタンメンズの試みは面白いと思います。

橋本 淳(はしもとじゅん)

アメリカの古着やヨーロッパのインポートブランドなどを取り扱うセレクトショップで勤務後、1996年に大阪にオープンした『レクレルール』日本第一号店で働き始める。2004年にブランド<wjk>を立ち上げ、08年に<junhashimoto/ジュンハシモト>をスタート。ブランドコンセプトは「japanese classico」で、イタリアで培った美意識を、日本人の“粋”の精神に基づく細やかな仕事により服を表現する。近年は、ヒルトングループの最高位ホテル「Conrad Tokyo(コンラッドトキョー)」や、全世界シェアNo.1のシガーブランド「Davidoff(ダビドフ)」と協業するなど、 ファションの枠だけにとどまらず、現代の“粋”な男の世界を展開する。

*価格すべて、税込です。

お問い合わせ
メンズ館6階=コンテンポラリー カジュアル
03-3352-1111(代打表)


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