【インタビュー】<PORTER CLASSIC/ポータークラシック>吉田克幸・玲雄|吉田克幸が遺したい文化(1/2)
克幸 ちょうど一年ぐらい前ですよね。始まりは大西さん(三越伊勢丹HD社長)がわざわざ現場にまでいらして「刺し子をやりましょう」と言ってくださったんです。ありがたかったですね。才能があっても発表の場に恵まれない人はたくさんいます。それなのに自分は お客さまに刺し子を見ていただくための夢のような場所を提 供していただ けた。とにかくありがたくて、うれしかった。本当にそれにつきます。
玲雄 前日の夜中にセッティングを終えて、会場をみんなで見渡したとき、「本当のスタートだ」と改めて気が引き締まりましたね 。ここが第一歩なんだって気持ちでポップアップショップの初日を迎えたんですけど、「PC SASHIKO」の商品を作ってくださった職人の方々が東京にいらして、展示されているのを見て涙を流してたんです。あの光景はやっぱり忘れられないです。刺し子は生地の開発から加工、強度の研究など完成までに5年を費やしています。これからも職人の方と一緒に取り組んで、孫の代まで続く素材にしていき たいと思っています。
克幸 自分たちは新しさを追い求めるので は なくて、 延々と同じことをやってるわけです。もちろん多少の変化や洒落っ気は盛り込 みますよ。でも日本の素材としての刺し子を大切にしなきゃいけないと思ってますから日々勉強という気 持ちです。それは 一 年前も今も変わっていません。「こんなもの作ったぞ」って天狗になってしまう怖さも知っているつもりですから。
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