2017.01.14 update

【インタビュー】<AGI&SAM/アギ&サム>|ロンドンから世界へ──2人の新鋭が見据えるファッションの未来(1/2)

ドルチェ&ガッバーナ、ヴィクター&ロルフ、ディースクエアード。デザイナーデュオといえば、これらの名前が真っ先に浮かぶ。でも10年後は、ロンドンの新鋭「アギ&サム」も彼らと同じように語られるようになるかもしれない。


2010年、タンザニア出身のアギ・ムドゥムラとテーラーの家系をバックグラウンドにもつサム・コットンは、ブランド「アギ&サム」を立ち上げた。ブランド立ち上げ時というものは多くの困難がつきまとうものだが、彼らはとても楽しそうに、その馴れ初めを語ってくれた。

「ぼくらは『アレキサンダー・マックイーン』のインターンシップで出会いました。ぼくはデザインチーム、サムは主にプリントの仕事をやっていました。サムはすでに、J,W.アンダーソンやカール・ラガーフェルドで経験を積んでいて、将来についてしっかりとしたヴィジョンを持っていました」(アギ)

「アギのファーストインプレッションは、なんかダラダラしてるヤツだなって思いました。まあ、今でもそんなに変わりはないですが(笑)。アギはインターン後、ポール・スミスでのオファーがあったんだけど、2人とも何か面白いことをやりたいっていう熱い想いというか、ファッションに対する情熱を持っていたので、『じゃあ、やってみる?』ってブランドを立ち上げることにしました」(サム)


サム・コットン

コンセプチュアルだけど、同時にウェアラブル。2人が作るアイテムたちは、若手にありがちな反骨心と勢いだけに留まることなく、幅広い年齢層に開かれている。ニードルパンチや繊細なオーガンジー使いなど、凝った手法を駆使しながらも、プライスはアクセサブルだ。

象徴的なアイテムがある。2015秋冬コレクションに登場したスウェットで、そこには『スーパーリタリン(向精神薬のひとつ)』とプリントされている。


<アギ&サム>2015秋冬コレクションより

「人を楽しませる洋服を作りたい、そう思って始めました。また自分らも楽しんで仕事をしたい。今では、政治的な観点だったり、社会情勢だったり、世界に変化をもたらすようなものに目を向けて、デザインするようになりました。でも根本のところ、着た人が自信を持ってもらえるようなアイテム作りという点では変わってないですね」(アギ)

「僕たちにとっては、様々なお客様がこのブランドにアクセスすることが大事。なので、プライスはできるだけ抑えたい。ハイブランドのように一部の人にだけ届くようにするのではなくて、多種多様な人々と接続するためにも、今のところはこのようなプライスでと考えています」(サム)

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