【対談】梅雨入りしました -雨の日を楽しむファッションスタイル-|日本が誇る名門老舗から360度死角のないゴアテックス®フットウェアが出来!
東京では3日に1日降るといわれる雨大国、日本。そのような風土に応えるため、憂鬱でジメジメした梅雨の時期も、快適に、ハッピーに、ファッショナブルに過ごせる、三越伊勢丹ならではの過ごし方をファッションの切り口から提案するのが「エンジョイ レイニー デイ」だ。5月25日(水)よりメンズ館地下1階=紳士靴では満を持して防水透湿素材のブランド、ゴアテックス®ファブリクスを搭載したシューズがずらりとフロアに並ぶ。ファッションジャーナリストの飯野 高広氏、日本ゴアの関谷 章両氏を迎えて、三越伊勢丹 紳士靴担当のアシスタントバイヤー田代 径大がその魅力に迫る。
田代 今年の「エンジョイ レイニー デイ」ではサラウンド®プロダクトテクノロジーを大々的にフィーチャーします。ラインナップするブランドは日本が誇る名門老舗、<リーガル>と<マドラス>。まずは関谷さん、そもそもの開発経緯を教えていただけますか。
関谷 ゴアテックス®フットウェアはこれまで冬のイメージが強かった。しかし、ゴアテックス®プロダクトは365日、人々の暮らしを快適にするものです。あらためて訴求すべく注目したのが足裏でした。実は汗腺がもっとも集中する部位なのです。サラウンドの名の通り360度透湿性が発揮できる構造を開発、日本でドレスシューズをローンチしたのは2015年のことです。
田代 飯野さんは実際に<リーガル>を履かれているそうですが、いかがですか?
飯野 正直、テクノロジーとドレスシューズの組み合わせはいかがなものかと考えていました。若いころに<Danner/ダナー>「ダナーライト」を履いていて、東京の雪景色にこれ以上のブーツはないと結論づけざるを得ないほどの鉄壁の防御力を誇っていたからです。そのイメージがあったのでさすがにトゥマッチだろうと。
履いて、いえ正確にいえば履き終わってまさしくその“底”力に目を見張ることになります。ラバーソールながら、ひょっとしたら革のそれよりも蒸れを感じない。しかも翌日にはすっかり湿気が抜けていた。靴好きは2日続けて同じ靴を履きませんけれど(笑)、そのまま街に繰り出せるほどのコンディションでした。
田代 べた褒めされていますね、関谷さん。
関谷 光栄です(笑)。防水と透湿を一足の靴の上でカタチにしようと思えばアッパーはもとよりステッチ一本まで手が抜けません。新たなプロジェクトとなれば、なおさら。妥協しなかった甲斐がありました。
飯野 ゴアさんの厳しさは業界でも有名ですからね(笑)。ソールの意匠にも悪戦苦闘したと聞いています。透湿性を実現する大胆なカッティングを入れつつ、強度もクリアしなければならないのだから現場はさぞ苦労されたでしょう。
田代 材料メーカーとともに総力挙げて開発に取り組んだろうことは想像に難くありませんね。しかしそれにつけても世界のブランドをそこまで本気にさせる勝因はどこにあるのですか。もちろんプロダクトとしてのポテンシャルが圧倒的に高い、というのはあると思うんですが。
関谷 手前味噌になりますが、モノを売って終わりではなく、そのポテンシャルが毀損されない態勢を築いている点にあるのではないでしょうか。我々が取引させていただいているのは試作の段階から本生産にいたる厳しいテストをクリアし、ライセンス契約を結んだ認定工場のみ。その契約は1年に1回更新されます。また、取引先を増やすよりも既存のパートナーとのパイプを太くする考えを大切にしています。
田代 ゴアテックス®フットウェアの価値を担保する役割を担うことで、取引先にパートナーとしての強い自負が芽生えるのですね。
靴好きも唸る革の風合い、面構え
田代 これまで雨の日はどんな靴を履かれていましたか。
飯野 やはりラバーソールの靴に頼っていましたね。レザーソールはどうしたって滑りやすいし、ケアも欠かせません。
田代 蒸れ対策はどうしていますか。
飯野 真夏でも薄いウールの靴下を履きます。個人的な感覚かも知れませんが、コットンよりもさらさらがキープできる。
田代 なるほど。では、どうしてもドレッシーな靴を履かなければならないときは?
飯野 そろそろ手入れが必要な靴にがんばってもらいます。プレケアでは撥水スプレーを軽めにして、鏡面磨き。
田代 あぁ、わかります。ワックスが水をはじいてくれますね。
<リーガル>左・中左「108S」36,720円、中右・右「109S」36,720円
関谷 プレケアといえばリーガルにはその段階ですでに唸らされたとか。
飯野 クリームがどこまでも入っていくんです。わたしが知っている撥水革とはまったくの別物でした。革の風合いを保ちながら撥水性能もそなえる。そのバランスの取り方はかつて体験したことのないものだった。企画担当者に伺ったら、かなり良い革を仕入れているとおっしゃっていました。
田代 私どもが目玉に据えた理由は機能性だけではありません。むしろ靴好きを納得させる面構えを獲得している点を評価しています。飯野さんが指摘するように<リーガル>は磨きの醍醐味が味わえて、かつ本格的なグッドイヤーウェルト製法を採っている。一方の<マドラス>はハンドペインティングでファッション性を追求しています。まさに“雨の日を楽しもう”という思いを叶えてくれる靴です。
<マドラス>左から「M706S」32,400円、「M705S」32,400円、「M722S」34,560円、「M720S」34,560円
飯野 この靴の用途は雨の日に限りません。先ほども申し上げた通り、本当に蒸れにくい。泊まりの出張が多い方や始終外回りをされるような方ならつい手が伸びる一足になるでしょう。一般のビジネスマンにとって3万円台というのは良いお値段です。しかし使い出を考えると納得できると思います。
田代 フットウェアの価値をかえるオールウェザーシューズですね。いまはファッションとファンクションの両立が求められる時代ですが、そんな時代にあってもっとも優秀な回答例といえるのではないでしょうか。
飯野 ええ。古き良きドレスシューズの明るい未来を切に願う者ではありますが(笑)、それとはまた別の新たなジャンルを切り拓く端緒となるはず。
田代 ゴアテックス®フットウェアを取り扱うようになってすでに10年近く経ちます。はじめはウォーキング・タイプから。じっくりと時間をかけてきたおかげで、ここのところは指名買いのお客さまも増えています。この流れが加速するのは間違いありません。
Text:Takegawa Kei
Photo:Fujii Taku
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