【インタビュー】五感すべてで感じたい高級傘の魅力、昭和23年創業<前原光榮商店>の洋傘をオーダーメイド(1/2)
<前原光榮商店>の傘にはストーリーが必要です
「前原は古い会社ではありますが、社員全員が『いいものを作ろう』ととても柔軟な発想と姿勢を持っています。たとえば、生地はもちろん、中棒や親骨の材質なども、『こういうものが使えるのでは?』と常にアンテナを張っています。生地の色や柄(文様)にしても、日本の伝統工芸にあるものを取り入れられないかと研究するなど、前原の傘には、老舗ならではの物語があります」と田中さん。
傘を開いて、雨の音を楽しんでください
田中さんに、高級傘の魅力を尋ねると、「気に入った傘を手にとって、開いて美しいと感じた瞬間、ハンドルに触れた感触、そして雨が生地に当たる音など、五感を使って傘を感じてほしいですね」その極意は、「前原の傘は良質な生地を使っているので、薄い生地であっても、ハリ感がきれいに出ます。特に仕上がったばっかりの傘は、開いて生地を軽く叩くと、太鼓のようないい音がします。そこに雨滴が当たるとどんな響きがするのだろうと考えると雨の日が待ち遠しくなります」と教えてくれた。
使えば使うほど自分に馴染んで味が出てきます
「ギフトで前原の傘をもらった男性で、『良い傘なのはわかるが、もったいなくて使えないよ』とおっしゃる方がいますが、傘の良さは使ってこそわかるもの。普段使いでどんどん使ってください。私たちの手が随所に入っているので、使えば使うほど自身に馴染んで味が出てきます」と田中さん。傘の仕上げで最後に付けるのが、「手元職人の想いの結晶」と田中さんが言う手元(ハンドル)です。「曲げと塗りによって生まれるハンドルは、実際に手にとってしっくりなじむものをお選びください。手間をかけた塗りが、使えば使うほどツヤを出して、自分だけの深みのある手元を楽しめます」
「傘」という文字の中に4つある「人」は、生地・骨・手元・加工の4つのプロセスを受け持つ匠の数と考える<前原光榮商店>。匠の想いの融合から生まれる美しい傘で、雨の日を愉しみたい。
NEXT>ひとりの職人が手がける「傘作りのプロセス」とは?
- PREV
- 1 / 2
- NEXT