【インタビュー】<コールマインギャランティード>ディレクター大貫氏と大坪氏が描く、モノ作りのゴールデンエイジとは。|ISETAN STORY STORE
- 12.11 Wed -12.15 Sun
- 伊勢丹新宿店 本館6階 催物場
たいせつなあの人に、贈りたい。いつの日かわが子に、譲りたい。メンテナンスしながら永く使いたくなるような名品たちが揃う特別店『ISETAN STORY STORE』が、12月11日(水)〜15日(日)まで、伊勢丹新宿店 本館6階 催物場にて期間限定オープンします。
イベント内で展開する様々な企画の中から今回注目したいのが、気鋭のデニムブランド<COALMINE GUARANTEED/コールマインギャランティード>のディレクターである、大貫達正氏と大坪洋介氏が手掛けるブース。フランスのアパレルブランド<アナトミカ>の日本展開などを手掛けるサーティーファイブサマーズが35周年の節目に作った新感覚セレクトショップ<バンカーリウム>や、ロンハーマンよりカスタムヴィンテージライン<R.H. VINTAGE>など、彼らの思いに共感したクラフツマンシップ溢れる数々のアイテムを通じて二人が描く、物作りのゴールデンエイジが薫る独自の世界観をご紹介します。
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後世に伝えたいモノ作りの技術とストーリーとは
ここ数年で、家族以外に最も会い頻繁に連絡をとっているという大坪さんと大貫さん。ふた回りほど歳が離れている二人ですが、アメリカの物作りやその背景にあるカルチャーについて同じように惹かれて近しい価値観を持つことから、自然と意気投合したといいます。そんな二人が満を持して共同で2023年春夏にローンチしたのが<コールマインギャランティード>です。
『ISETAN STORY STORE』では<コールマインギャランティード>を中心に多彩なアイテムを販売します。独自の製法とストーリーをもつアイテムを通じて、二人が惹かれるモノづくりのあり方について伺いました。
大坪 洋介氏(以下 大坪)「私も大貫さんも、モノづくりにおける技術や価値観が今後失われていってしまうのではないかということをとても気にしているんですね。例えば素晴らしい器を作る陶芸家さんがいたとしても、評価するひとがいなければ、製作のノウハウはもちろん、それが素晴らしいものであるという価値観までも失われて次世代に残らなくなってしまう。そんな今まで見てきた素晴らしいモノの技術やカルチャーを、これからは多くの方々に伝えていかなくてはと思っています」
大貫 達正氏(以下 大貫)「大坪さんはリアルな1970年代にアメリカに住んでいて、今のような大量生産の時代とは全く異なる、手間ひまをかけてこだわったモノが身近にあるシーンを体験されているんですね。そういう、モノづくりのこだわりと、そのような手法をとる理由や文化的な背景などの面白さを、今回の『ISETAN STORY STORE』でも伝えていきたいですね」
鉄製ミシンを使って縫製の順番までこだわった究極のジーンズ
二人が後世に伝えたいと語る、卓越したモノづくりの技術やその背景に潜む生産ストーリーを最も体現しているのが<コールマインギャランティード>のジーンズです。通常は茨城にある住所非公開のギャラリー&ショップ「サンタセッ」でしか手に入らない完全受注性のオーダージーンズですが、今回特別に、『ISETAN STORY STORE』でオーダーが可能になりました。
大坪「こちらはかつてデニムの聖地でもある児島にいらっしゃった職人さんが全て一人で手がけて作り上げます。1970年代以前の古い鉄製ミシンでいわゆるオールドブラックミシンを用いて縫い上げた、1900年代初頭から70年代のものまで、各時代の象徴的なデニムから着想を得てデザインしたモデルを用意してあります」
大貫「コールマイン(炭鉱)で働く人の作業着としてジーンズが愛用されていた、1800年代後半から1920年代ぐらいまでのデニムのアーカイブを私が所有しており、それらをオマージュしながら美しくアレンジしています。大量生産でモノが作られる以前の時代の製法を徹底的に調べて再現して作っています。そうすることで当時の製法がいかに理にかなっているのかも見えてきます」
大貫「例えば現代ではポリエステルの糸を使うところを、綿糸にこだわることで糸切れをせずに美しい縫い目で仕上げられます。また、返し縫いがない時代のミシンを使って、一度ステッチをかけた縫い穴にもう一度針をとおして糸の強度を高めることで、カンヌキがない端正な仕上げが可能になります。そのようにして、古き良き残したい部分と、シルエットなど現代的にアップデートする部分を見極めてデザインしています。」
デニムと相性抜群なヴィンテージムード溢れるシルバーアクセ
スターリングシルバーを用いたこちらのブローチとバングルは、大貫さんの親友でもある<ノースワークス>の太田 寿さんが手がける<フォークエヌ>に大坪さんがコラボレーションしたというもの。
大坪「こちらは私がいつもGジャンにはピンズをつけるということもあり、デニムに相性の良いブローチが欲しくて作っていただいたものなんです。太田さんは古い金貨や銀貨を用いてアクセサリーを作ることも多く、本物のヴィンテージアクセサリーのような加工技術に優れている方なんです。バングルはかつて私がアメリカに住んでいた時に出会ったアクセサリーデザイナーの方が作っていた、黒檀を埋め込んだシルバーアクセサリーをオマージュして作っていただきました」
国内生産にこだわったレザーアウター
次に紹介するレザージャケットは、関東随一のレザーの仕立て技術を持つ<クリエイティブクラン>と<サンタセッ>がタッグを組み生まれた<ザクラン アンド サンタセッ ブロス>による一着。
大貫「<クリエイティブクラン>は高級ブランドからアメカジの有名ブランドのアイテムまで手がけるファクトリーブランドですが、職人の方達の技術がずば抜けて高い。そこで、高級な革を使用した受注生産のレザーアウターができればと思って企画したのが本作です。現在の国内の量産体制内で、最も手間をかけてこだわった製法により仕上げられています。例えばポケットは特殊な技法を用い、メゾンブランドでしか採用されないディテールを盛り込んでいます。裏地も京丹後で織られたシルクのものを使っています」
こちらのムートンのスタジャンも、先ほど同様<ザ クラン アンド サンタセッ ブロス>の一品。通常ワッペンが付けられる胸のレタリングが、ボディと同じムートンでフラットに縫い付けられているのが特徴的。
大貫「こちらはヨーロッパで作られた上質なムートン毛皮を使用したスタジャンです。レタリングが埋め込まれたクラフトマンシップの溢れる仕様となっています。さらにリバーシブルにすることで内側のナイロン面をひっくり返しても着られるという、遊び心も取り入れた一着となっています」
黒ミシンを用いて綿糸で縫い上げられた革仕立てのスーベニアグッズ
こちらのレザーグッズは、<ローカルスーベニアーズ>というブランド名でこれからローンチするもの。若手の職人達に、レザー縫製の技術を継承してもらうために、<サンタセッ>から発信するギャラリーグッズです。
大貫「私たちが<コールマインギャランティード>で採用している、昔のミシンと製法でデニムを作るという手法に影響を受けた若手の職人さんたちがいまして、彼らに古いミシンと綿の糸を用いて作っていただこうというのがこの企画を立ち上げるきっかけです。そこで作ってもらうのがスーベニアグッズをコンセプトにした商品。個人的に、海外のギャラリーなどでお土産として売られている鞄や小物などが大好きなのですが、意外とその手のグッズってクオリティの高いものが少なくて……。私がやっている<サンタセッ>もギャラリーなので、この<ローカルスーベニアーズ>は訪れた方が欲しくなるしっかりとしたものに仕上げられればと考えています」
現代の大量生産と一線を画すゴールデンエイジを感じさせるモノづくり
大坪さんと大貫さんが手がけるこれらのアイテムは、現代の大量生産によるモノづくりとは一線を画す、こだわり抜いた究極のアイテムと言えるのではないでしょうか。これらのアイテムからは、大量生産へと移り変わる1970年代以前の、モノづくりのゴールデンエイジのムードすら感じられます。
大坪「我々が作ったこれらのアイテムをいつか後の時代に見た人が、こんな素晴らしいモノづくりがあったのかって驚いてもらえるとうれしいですね」
大貫「今回の『ISETAN STORY STORE』で展開するような、大量生産ではできないモノづくりから生まれたアイテムを通して、モノを愛して長く使い続ける楽しさをぜひ発見していただきたいですね」
ギャラリー感覚で楽しめる『ISETAN STORY STORE』の世界観
今回取材をさせていただいた田園調布の「Glallery ATTIC/ギャラリーアティック」は、大貫さんがディレクションに参加する完全予約制でオープンした新しいギャラリーです。PIERRE JEANNERET(ピエール・ジャンヌレ)を中心としたヨーロッパの歴史的なデザイナーのインテリアや、Le Corbusie(ル・コルビュジエ)をモチーフにした京丹後の絨毯ブランドを展示します。今回『ISETAN STORY STORE』ではギャラリーの一部の作品を展示する予定になりますので、ぜひイベントの世界観を実際に店頭で体感してみてください。
『ISETAN STORY STORE』イベント情報はこちら
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Photograph:Yusuke Iida
Text:Shinji Hashimoto
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