【特集】バイヤー 鏡 陽介が見た、靴とファッションの二大潮流|THE GENTLEMEN CLOTHING AUTUMN & WINTER 2023
イセタンメンズが発刊するカタログ『THE GENTLEMEN CLOTHING AUTUMN & WINTER 2023』
これまでクラシックファッションの分野でキャリアを積んできた靴バイヤー・鏡が、“スタイル”の視点から語る靴の最新事情。ピッティ・ウォモをはじめ海外のファッション発信地を歴訪し、見出した新潮流とは?
彼のキャリアと審美眼から見える、クラシックファッションへの“これから”を語ります。
海外と日本でこんなに違う?世界のスニーカー事情
コロナ禍により、長らく途絶えていた海外出張。ピッティ・ウォモへの参加を再開できたのは、2023年1月のことでした。現地へ赴いた鏡は、来場者の足元にふたつの傾向があることを発見したと話します。
ひとつは、スニーカーの着用率がかなり増えていたこと。季節柄もあると思いますが、この傾向は6月に開催された夏のピッティでいっそう顕著になっていました。これはある意味予想どおりの傾向でしたが、いっぽうで来場者の足元をよく観察してみると、日本とは異なる流れがあることに気づきました。
日本においては、定番スポーツブランドのスニーカーが圧倒的な人気を博していますが、ピッティ来場者の装いでは驚くほどそれらを見ることが少なかったのです。彼らの多くは、〈ラルディーニ〉や〈L.B.M 1911〉などに代表されるアンコン系テーラードジャケットにTシャツというスタイル。日本では大人の定番といえるスタイルですが、その足元に合わせていたのは前述の定番スポーツ系ではなく、クラシックかつプレミアムなブランドの一足だったのです。
なかでも鏡の目に留まったのは、アメリカ・ダラスで1982年に創業した〈オートリー〉。日本ではまだ知る人ぞ知る存在ですが、ピッティではかなりの着用率だったと鏡は振り返ります。今季、メンズ館では同社の代表作といえる「メダリスト」を中心に展開。1980年代のヴィンテージスニーカーにインスピレーションを得た一足で、クラシックスポーティな顔つきながら上質なレザーを使用。見た目・履き心地ともに大人にぴったりな一足となっています。
イタリアのプレミアムシューズブランド〈ボイル ブランシェ〉は、近年日本でも知名度上昇中。定番モデルは「リアムパワー」と「クウォーク ハイプ」のふたつで、どちらもカーフやスエードなどを複雑に切り替えたデザインが特徴的です。ボリュームのあるソールは見た目のアクセントとともに履き心地にも貢献。
メンズ館では今年初登場となる〈ティモテ パリ〉にもご注目。「アトランティック」はクラシックなトレーニングシューズを思わせる顔つきですが、アッパーにしなやかなスエードを採用することで上質さを高めています。「ピラ」はバスケットシューズからの影響も感じさせつつ、まるでドレスシューズのような3アイレットにデザインされているのがユニーク。
ピッティを経て、ミラノやパリの有名ショップにもリサーチに訪れた鏡。そこで掴んだのは、「日本には、まだまだ紹介できていないスニーカーの潮流がある」ということ。
「ヨーロッパの名店でも、プレミアムスニーカーの存在感が際立っていました。もちろんスポーツ系スニーカーも展開しているのですが、しっかりと幅と奥行きを揃えて“プレミアムスニーカーゾーン”を構えているのが印象的でしたね。日本ではまだまだ、スニーカーのいちバリエーションとしてしか展開されていないのが現状ですが、海外の動向を見るに、この伸び代は相当大きい。ならば、メンズ館が先陣を切ってプレミアムスニーカーの発信拠点を築いていくべきだと思ったのです。定番のスポーツ系やメゾン系ではない新鮮なスニーカーをお求めの方は、ぜひ新宿伊勢丹 メンズ館地下1階 紳士靴を覗いてみてください。」
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スタイル変化に伴うレザーシューズの微変化とは?
プレミアムスニーカーの隆盛を実感した一方で、レザーシューズにも新たな潮流を見出したという鏡。ピッティで感じた印象を次のように語ります。
「セットアップやジャケットにTシャツというドレスカジュアルスタイルの人たちが、こぞってスニーカーを履いていた一方でワークやミリタリーといったラギッドテイストを取り入れた来場者たちは、多くが革靴を合わせていました。といっても当然、内羽根のドレスシューズではなく、ラバーソールのUチップやスリッポンなどが中心。私が若い頃などは、“本格靴を選ぶならレザーソールに限る”的な教えを先輩から受けていましたが、そんな常識も大きく変わりつつあるのだなと実感しました。」
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今日はそんなピッティでのムードを反映してコーディネートを考えてみました。〈ラ ファーボラ〉のブレザーに〈ジェイクス〉のボタンダウンシャツ、〈タンジェント〉のミリタリーパンツに〈ジェイエムウエストン〉の「ゴルフ」という合わせです。テーラード基調にミリタリーやネイティブテイストをミックスさせ仕上げた服装には、スニーカーではなく革靴を合わせる。いわばドレスとカジュアルのクロスオーバーが、今時のスタイルにおける最大のポイントだといえるでしょう。
新時代の注目株は、身近なメーカーにあった
〈パラブーツ〉や〈オールデン〉など、本格カジュアルなレザーシューズの定番を幅広く揃えるメンズ館。もちろんそれらも引き続きおすすめしつつ、新たにおすすめしたいブランドがあると鏡。ちょっと意外なことに、それは日本人なら誰もが知る〈リーガル〉から誕生した〈リーガル トーキョー〉でした。
今日のインタビューをピッティの話から始めたように、これから靴は“モノ”ではなく“スタイル”を基点に語る存在になると思っています。どんなスタイルで履くのかによって、選ぶべき正解も変わってくる。一種の多様化ともいえるでしょう。そんな現在において、〈リーガル トーキョー〉のラインナップが大変魅力的に映ったのです。
『ISETAN レザー博2023』にて開催
- メンズ館1階 プロモーション
- 既製品:各種 47,300円~
- ビスポーク 297,000円~ ※お渡し約9カ月後から
- 9分仕立て(アトリエメイド、MTO) 154,000円~ ※お渡し約4カ月後から
- パターンオーダー(ファクトリーメイド、MTO) 55,000円~ ※お渡し約2カ月半後から
まず特徴的なのは、そのワイドレンジさ。職人によるビスポークシューズからアトリエメイドの9分仕立て、ファクトリー製のパターンオーダー、そして既製靴と実に多彩な靴づくりを行なっていて、もちろん正統派ドレスシューズからカジュアルレザーシューズまでラインナップしています。
使用しているレザーも非常に上質。新喜皮革のコードバンやチャールズ F. ステッドのスエードをはじめ、世界の名立たるレザーブランドを幅広く扱っています。しかもコストパフォーマンスも高い。素晴らしいバランスだと思いました。
フィッティングに関しては、ビスポーク靴のようにジャストフィットを叶えるものではありません。しかし幅広い足型の人にフィットする汎用性があると思います。いわば、〈ブルックス ブラザーズ〉のサックスーツや〈オールデン〉のアーチサポートシステムのように、“万人のための最適解”を追求したうえでの設計思想を感じられて、そこに共感を覚えました。
〈リーガル〉はアメリカで生まれたブランドですが、いまや日本の国民靴といえる存在。ちなみに日本のシューメーカーでは数少ない上場を果たしている企業です。あまりにもポピュラーすぎてその魅力に気づけていませんでしたが、大企業ならではのワイドレンジと安定感が、多様化する今の靴事情にぴったりだと思いました。ちなみに、9月20日から開催する『ISETAN レザー博2023』では、〈リーガル トーキョー〉【※9月27日(水)~10月3日(火)展開】とベルトブランド〈ファウラー〉のブリッジオーダー会も開催予定です。靴とベルトを同じレザーでオーダーできるのもレザー博ならではだと思います。
9月20日からおこなわれる『ISETAN レザー博2023』では商品だけではなく、鏡はじめ経験値の高いスタイリストとのコミュニケーションの場としても、貴重な機会となるであろう。
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Photo:Tatsuya Ozawa(Studio Mug)
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