【特集】バイヤー稲葉が解説! 復活の<イセタンメンズ>そのかつてない新機軸|THE GENTLEMEN CLOTHING AUTUMN & WINTER 2023
- 09.13 Wed
- 伊勢丹新宿店 メンズ館5階 メンズテーラードクロージング
イセタンメンズが発刊するカタログ『THE GENTLEMEN CLOTHING FALL & WINTER 2023』
メンズ館20周年の節目を迎える今年、<イセタンメンズ>の名を冠したオリジナルスーツ&ジャケットが久々に復活。その全容を、開発のキーマンであるバイヤー稲葉が解説します。テーラードクロージングのありかたが大きく変わる今に合わせて、ゼロから再構築した力作。 “これぞこれからの定番服!”と胸を張れる完成度です。
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『THE GENTLEMEN CLOTHING FALL & WINTER 2023』伊勢丹メンズ テーラードクロージング
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新時代のスタンダードは、“無国籍”な仕立てにあり
<イセタンメンズ>の復活にあたってまず行ったのは、設計コンセプトを抜本的に見直すこと。今の時代に求められる”いいスーツ・ジャケット”とは何か?という課題に改めて向き合った結果見えてきたのは、“さらなる上質” そして“無国籍”というキーワードでした。
スーツやジャケットがもはや仕事の制服ではなくなりつつある今、お客様から求められるのは、心から納得し、長く愛用したくなる上質さ。そう考えて、新生<イセタンメンズ>では今まで以上にクオリティを追求しました。
「新生<イセタンメンズ>が目指した佇まいは、“無国籍”。男の色気を強調するイタリア仕立て、品格と威厳を演出するイギリス仕立て、素朴で飾らないアメリカ仕立てなど、世界にはさまざまな美意識によるテーラリングがあります。しかしミックススタイルが常識となりつつある今は、そのどこにも偏らない“無国籍”な一着こそ、パフォーマンスを発揮するのではないか。そう考えたとき、上質さ・端正さ・柔らかさを兼備したテーラリングを得意とする東和プラムはベストパートナーになると思ったのです。」
「上品さ」と「軽さ」を追求したスーツのディテールを紹介
■ラペル
ジャケットの顔であるラペルは、クラシックでありながらモダンという、相反する要素の両立を目指しました。
「ラペル幅はやや広めにとることで落ち着いたクラシック感を表現。一方で上襟とラペルの繋ぎ目であるゴージラインは若干高めに設定し、現代的な雰囲気も取り入れています。また肩周りは日本人体型に合わせ、前方へカーブさせた前肩仕様に設計しました。」
■上襟〜肩周り
“無国籍”な佇まいを実現するうえでのキーポイントになっているのが、肩から襟にかけてのライン。
「イタリアの場合、ショルダーラインから上襟にかけて首筋にぴったりと沿うように仕立てます。いわゆる“ノボリ”というものですね。しかし<イセタンメンズ>では、あえてノボリを控えめにしました。具体的に言うと、ショルダーライン部分のノボリを緩やかに設計しつつ、上襟部分は首に沿わせるようにしています。これにより独特の抜け感を醸し出しながら、かがんだり腕を動かしたりしても後ろ襟が抜けにくく作り込みました。また、肩には薄い芯地のみを入れ、ゆき綿を少なめにすることで、柔らかさと立体感を両立させています。」
■アームホール
襟周りと並んで着心地を左右するのがアームホールの設計。ここにも独自のこだわりを盛り込みました。
「特徴として、“鎌”とよばれるアームホールの下側部分を高めに設定していることが挙げられます。鎌を高く設計すると、腕を動かしたときにも身頃が引っ張られにくくなり、軽快な着心地になるのです。とはいえ鎌高にしすぎると窮屈になってしまいますから、そのあたりは慎重に吟味しながら理想的なバランスを検討しました。また、胸板の薄い日本人体型に合わせ、前身頃を小さめに、後ろ身頃をやや大きめに設定しているのもフィット感を高めるポイントです。」
スーツの組下となるパンツは、ジャケットの連続性が非常に重要。こちらも中庸さを基本として、一体感のあるシルエットに設計しています。現在のスタンダードといえるワンプリーツ仕様。股上も深すぎず浅すぎずの設定です。
「極端にテーパードさせたり、逆にストレートレッグに近いほど裾幅を広くしたりといった攻めを効かせず、ベーシックなナチュラル・テーパードを目指しました。ジャケットの雰囲気と自然に繋がる、主張しすぎない佇まいです。」
生地は日伊の老舗3社に絞り込んで展開
仕立てと並んでスーツやジャケットの表情を左右する生地使い。新生<イセタンメンズ>のファーストシーズンは、3つの生地メーカーに限定して展開します。うち2社は、日本が誇る毛織物の名産地・尾州の老舗。そこにイタリアンファブリックの雄・ヴィターレ バルべリス カノニコの名作生地を加えました。絞り込んだからこそ提案力のあるコレクションにご注目ください。
愛知県一宮市を拠点とする葛利毛織は、ションヘル織機とよばれる旧式の機械を今なお稼働させる希少なメーカー。昔ながらの手法でゆっくりと織り上げた生地は独特の膨らみ感を備え、まるでヴィンテージファブリックのような味わいを醸し出します。葛利毛織の「ジェントリークロス」を採用したスーツは、ビジネスシーンにぴったりの使い勝手。写真のようなタイドアップはもちろん、表情のあるヘリンボーン織りゆえタートルネックニットなどをあわせたノータイスタイルも決まります。
尾州最南端の愛知県津島市で100年以上の歴史をもつ山栄毛織。ウールからカシミア、リネン、コットンなど多彩な素材を扱うほか、フォーマル用の生地づくりを長く行ってきたことでも知られています。山栄毛織の「濃染ブラック」を採用したスーツ。冠婚葬祭すべてに対応するオーセンティックな一着は、いざというときに備えておいて損はありません。サラリとした肌触りのため、季節を問わず着用できるのも魅力です。
イタリアンファブリックの聖地と名高いビエラで1663年に創業したヴィターレ バルべリス カノニコは、イタリアでも有数の老舗にして世界の生地トレンド牽引するトップランナー。ビスポークテーラーから既製服ブランドまで顧客にもつワイドレンジを誇ります。ヴィターレ バルべリス カノニコのカシミヤ混ウールによるジャケット。シルエットはスーツと同様ですが、こちらは2パッチポケット仕様により程よくスポーティに仕上げています。端正な仕立てはビジネスシーンにも重宝できます。
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Photo:Natsuko Okada
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