2022.09.06 update

【特集】<グランドセイコー>ほか、時が経っても価値ある腕時計を。伊勢丹メンズ館にビンテージウォッチショップがある理由


昔から憧れていた希少なビンテージカーに乗ろうと思っている人は、まず優秀な修理工場を探すといいます。精巧な機械式腕時計も古いクルマと同じで、いかにコンディションの良い状態のものをオーバーホール(分解清掃)して、普段使いできるかが大きなカギになります。

今年2月にメンズ館8階 イセタンメンズ レジデンスにオープンしたビンテージウォッチショップ「Original Reboot Vintage Watch」は、時計修理では定評のある共栄産業の直営店。ビンテージウォッチの魅力を60年代の<キングセイコー>を愛用している中村店長に伺いました。


  1. ビンテージウォッチショップ「Original Reboot Vintage Watch」
  2. 中村店長に聞く、50~70年代のビンテージウォッチの魅力
  3. スペック表の「裏蓋」の写真が物語る、高い鑑定眼とメンテナンス技術


中村氏
共栄産業 /メンズ館8階『Original Reboot Vintage Watch』店長
時計業界一筋26年。「はじめてビンテージウォッチをとお考えのお客様が気兼ねなくご使用いただけるモデルを取り揃えております。またジャン・ルソーも販売、オーダーも行っておりますので、時計とストラップを選んでいただきご自身の『一点もの』を作るのも楽しんで頂きたいと思っております。商品の性質上、流動的にはなりますが国産、舶来ともにご用意しておりますのでどうぞお気楽にご来店ください。」


ビンテージウォッチショップ「Original Reboot Vintage Watch」

イセタンメンズ レジデンスならではのウォッチショップ


ビンテージウォッチショップ「Original Reboot Vintage Watch」があるメンズ館8階 イセタンメンズ レジデンスは、「男の生活空間」をテーマに、こだわりのアイテムが揃うライフスタイルフロア。アイウエア、時計、フレグランスから、花、筆記具、カメラなど嗜好品の数々も充実。メンズ館内で唯一カフェを併設するフロアで、ショッピングの合間にくつろぎの時間を過ごすこともできます。

「Original Reboot Vintage Watch」が扱うビンテージウォッチは、1950年代から70年代の36ミリから37ミリケースを中心にラインナップ。『初めてのビンテージウォッチ』の購入をお考えの方でも安心して普段使いできる良コンディションの時計が見つかります。



中村店長に聞く、50~70年代のビンテージウォッチの魅力


――2月にオープンして半年経ちますが、お客さまの反応はいかがですか。


「Original Reboot Vintage Watch」のビンテージウォッチは、メンズ館にスーツや革靴を買いにご来店される男性が腕にする時計を品揃えのコンセプトにしています。機械式時計で国内外のブランドがしのぎを削っていた60年代をメインに、50年代後半から、70年代までを揃えていますが、たとえば、メンズ館5階でスーツやフォーマルウェアを買ったときや、地下1階で<ジョンロブ>や<エドワードグリーン>の革靴を買ったときに、「シャツのカフスの中にちょうどよく収まる薄さの時計」が欲しくなります。

――いわゆる、現在主流の“スポーティーなデカアツ”時計ではないということですね。

ハイブランドのラグジュアリースポーツ系の時計を一通りお持ちの方が、36ミリサイズの一点物のビンテージウォッチを着けてみると、腕にスッと馴染んで、悪目立ちしないんですね。それで、「冠婚葬祭のときにする時計を持っていなかった」と、<グランドセイコー>や<キングセイコー>の時計をお求めになられます。

――中村店長は、50~70年代の時計はどう評価されていますか。

私は時計業界に入って25~6年になり、いろんな時計を見てきましたが、69年にセイコーが世界初のクオーツ腕時計を発売する以前は、世界中の時計メーカーが機械式時計で覇権を争っていました。69年以前は、精度で競ったり、より薄い機械を作ったり、クオーツ以降の70年代はケースデザインに凝ってみたり、「妥協のないモノづくりの面白さ」があります。特に60年代の時計は、それぞれに個性や特徴があって、「なぜ作られたか」を知ると、愛着に変わっていきます。


ビンテージだからこその、一点ものの楽しさとは?

――主な取り扱いブランドと、売れ筋の価格帯を教えてください

国産では、<グランドセイコー>、<キングセイコー>、海外では<インターナショナル・ウォッチ・カンパニー>、<オーデマ ピゲ>など、店頭に10ブランドほどあり、いずれも半年補償(自然故障)付きです。よく売れるのは20万円台からですね。「ビンテージなら20万円台で、60年代の機械式時計の完成形が購入できる」と好評です。


<グランドセイコー>308,000円

<グランドセイコー>のオートマチック(自動巻)のファーストモデル「62GS」。リューズが隠れているデザインで、手巻機能はなし。67年・68年の2年間のみ製造された希少モデル。
 

<キングセイコー>275,000円

<キングセイコー>のセカンドモデル「4420」。セイコー独自の“クロノメーター”を文字盤に入れているのが特徴。サイズは36mmでハック機能(リューズを引くことで針を止める“秒針停止機能”)を初搭載した<キングセイコー>の最上位モデル。



<オーディマ ピゲ>550,000円

手巻・2針のクラシックな王道。機械式で薄さを争っていた80年代前半製造で、当時の男性の憧れモデル。ダブルカフスのシャツでもすっと収まる薄さでサイズは33mm。
 

<インターナショナル・ウォッチ・カンパニー>495,000円

ビンテージウォッチの手巻の名機といわれるキャリバー50年代の「89」の18金モデル。IWCになる前のロゴで、ティアドロップラグも特徴。
 


――これまで印象に残ったお客さまを教えてください。

初めてビンテージウォッチを購入された方では、「流行に左右されない、人と被らない」というお話をよくされます。また、60代の男性が、「学生時代に父親に買ってもらった時計と再び出合えた」と感激されたり、国産は製造年が分かるので、「自分が生まれた年の時計が欲しかった」と探される方もいます。いずれも、職人の手作りが色濃く残っているビンテージだからこその魅力です。


スペック表の「裏蓋」の写真が物語る、高い鑑定眼とメンテナンス技術


扱っている時計には、製造年代やキャリバー番号などが記載されたスペック表に、裏蓋を開けた写真が必ず載っていますが、「この裏蓋を開けた写真は、時計を仕入れるときにその場で裏蓋を開けて撮ったものです。サビやキズなどがないか状態をその場で確認して、そこから修理工房でオーバーホールをして、さらに適度な研磨。そして初めて店頭に並びます」と中村店長。

オーバーホールと調整は、豊富な経験と実績を積んだ50名の修理師が在籍し、年間修理約120,000本の事績を誇る時計の修理会社・共栄産業が行っています。共栄産業は、オリジナルの良さを残しながら、高い技術でのメンテナンスに定評がありますが、並んでいる時計をよく見ると、ケースもその年代の味のような仕上げに。店長は、「あえてピカピカには磨きあげず、職人が一本一本、ちょうど良い外観に仕上げています」と言います。

また、大切な時計を長く愛用するために、時計の電池交換やベルト交換、修理、オーバーホールなども承り、お客さまのビンテージウォッチライフをサポートします。

*お品物をお預かりにて承ります。
*料金など詳しくは係員におたずねください。


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メンズ館8階 イセタンメンズ レジデンス

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Photograph:Tatsuya Ozawa
Text:Makoto Kaji

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