【インタビュー】ブランド創設45年の<45R>が生み出す「気持ちの良い服」の真髄とは?企画者が語る、「海と都会と山の45年ものがたり」
ブランド創業45周年を迎える<45R/フォーティファイブ・アール>がメンズ館に初登場!4月20日(水)~26日(火)の期間、伊勢丹新宿店 メンズ館1階 ザ・ステージに期間限定のポップアップストアをオープン。
ブランド名の「45」にちなんだアニバーサリーイヤーに、「海と都会と山の45年ものがたり」をテーマとした限定品をはじめブランドのアイコンとなるインディゴ染めのアイテムを中心に、"葉山の海"をイメージした世界観をお楽しみいただける。海を感じる大人カジュアルなウェアや雑貨など豊富なアイテムラインナップを、店頭での会期に先駆け、4月13日(水)から三越伊勢丹オンラインストアでも販売開始。
本インタビューでは、<45R>の企画リーダーとして、原料選びからサンプル制作まで一貫して手掛ける菅原氏に、たっぷりと<45R>の魅力を伺った。ニットウエアやカットソーを専門としつつも、企画リーダーとして<45R>のあらゆる“ものづくり”に関わり、そのすべてを知り尽くす重要人物だ。
「気持ちの良い服」で支持され続けるブランド、<45R>とは?
――1977年、東京・代官山にあるマンションの小さな部屋から始まった<45R>は、「気持ちの良い服を届けたい」という一心を貫き今年で45周年。この記念すべき年に向けて「海と都会と山の45年ものがたり」というテーマを設定し、インディゴ、生地、キャラクターといったブランドのアイデンティティをさらに深化し、進化させていく計画だ。そのひとつが、今回のメンズ館での初のポップアップストア。9月には日本のセーリング、ヨット文化発祥の地である神奈川・葉山に、かねてからの念願だった新店舗をオープンするという。
海を感じる大人カジュアル、最新「葉山ものがたり」コレクション
――まずは今回のポップアップストアのメインとして展開されるという「葉山ものがたり」コレクションから、おすすめのルックをいくつか紹介しよう。「葉山ものがたり」は日本のヨット発祥の地として知られ、海と山の美しい自然と文化が融合する場所である葉山を舞台に、そこで暮らす個性豊かなキャラクターたちが織りなすストーリーをイメージした新コレクション。
シンプルでオーセンティックなデザインながらも<45R>らしい遊び心が随所に感じられ、太陽や潮風を彷彿させるフェード感のある色出し、丁寧で愛情たっぷりな加工が大人の余裕と味わいを醸し出す、必見のラインナップだ。サイズ展開も豊富なため、世代や性別問わずに楽しめるものとなっている。
男女ともにナイロンブルゾンをメインとし、強い日差しと潮風で退色したような、ヴィンテージ感のある色合いが魅力的なコーディネート。ナイロンでありながらコットンのように自然で上品なトーン、カジュアルになりすぎない洗練された風合いに注目したい。
(左)「葉山ものがたり」コレクションのガーゼ裏毛SEABOYスウェットに、タツノオトシゴをモチーフとしたオリジナルロゴの抜染総柄インディゴショーツを合わせて。愛らしいキャラクターとアクティブな雰囲気、落ち着いた色合いが同居する、大人のマリンスタイル。
(右)インディゴガーゼ裏毛SEABOYスウェットに、ナイロンショートパンツ。深みのあるインディゴブルーで統一した着こなしは、カジュアルでありながら上品で、<45R>らしさたっぷり。いずれも海を感じられてジェンダーレスで着られる、万能性の高いアイテムだ。
(左)インディゴ染めのhayamAlohaロゴ入りTシャツは、「葉山」と「アロハ」をかけ合わせた遊び心たっぷりなアイテム。リラックスフィットのストライプパンツの裾を大胆にロールアップして、モード感のあるグラフィカルなコーディネートにシックなヌケ感をプラスして。
(右)長年着込んだ愛用品のごとき自然なヨレ、アタリを表現したレイヤーhayamAloha Tシャツは、デニムはもちろん、チノパンツとの相性も抜群。「再び」コレクションのおこめチノ908ポッポパンツは、ハードに履き込んで空いてしまった穴を、大切に補修して穿き続けているかのような「クラッシュ加工」だ。
<45R>ならではのものづくりと、特別である理由
――ナチュラルで爽やか、心地よい着用感とタイムレスなデザイン性、そして味わい深い経年変化まで味わえる<45R>のアイテムは、着れば着るほど、古くなればなるほど愛着が増し、価値まで高まっていくような稀有な存在だ。企画担当としてものづくりのあらゆる局面に関与すること22年、ブランドと同じく今年で45歳を迎える菅原氏は、<45R>の真の魅力を最も知る人物だと言えるだろう。<45R>だけのこだわり、そして最も大切にしているものを尋ねてみた。
菅原 <45R>というブランドは少し変わっていて、すべてのものづくりは工程ごとの分業制ではなく、一貫して行っています。だから僕は、Tシャツ一枚作るにしても、どんな原料の糸をどこの工場のどんな機械で、どうやって紡いでいくか、というところからスタートする。生地の織り方や染め方、パターンや縫製の仕方まで突き詰めていき、最終的に社長にプレゼンする”トアル組(ミシンによるサンプル制作)”まで自分で行っているんですよ。
――ブランドの世界観やものづくりの精度にブレを生じさせないという意味で、垂直統合された一貫制のものづくりは至極合理的なものと言える。
菅原 古着が好き、デニムが好き、<45R>の“R”刺繍が入ったジーンズが好きでこの会社に入りましたが、やっぱり古着となりえる本質的なデザインやクオリティ、どんなに着古しても、どうしても捨てられないほど愛着が生まれる製品は、<45R>ならではといえるでしょう。インディゴへのこだわりを追求するあまり、ついに自社で藍を畑から育てることになりました。そんなブランド、聞いたことないですよね(笑)。
――購入したばかりの新品よりも、長年着込んでエイジングを深めた中古品の方がより魅力的に見える。そして見事に育ったその製品と、同じモノは作れない──。<45R>は、ブランドやデザイナーではなく、消費者自身が製品を”完成”させる数少ないブランドのひとつだ。
菅原 僕はデザイン作業も行っていますが、決して“デザイナー”ではありません。機能的に必然性のあるディテールや仕様ならともかく、「カワイイから」という理由で余計なデザインを加えることはありませんから。今日持参した私物のインディゴTシャツのように、着る人の身体に馴染んで、より良くなっていくモノ。いつまでも残る、捨てられることのないモノが作りたいんです。こういうものづくりは、他ブランドではできなかっただろうと思いますね。
最も大切にしているのは、インディゴ、生地、グラフィック
――菅原氏自身も憧れたインディゴブルーのデニムを筆頭に、糸からこだわってオリジナルで製作する生地、チャーミングで印象的なグラフィックなどは、<45R>を語る上で欠かせない要素だ。そしてこのブランドが、最も大切にしているものでもあると菅原氏は言う。菅原 僕がインディゴを大好きなのは、経年変化によって着る人の顔になるというか、人それぞれの色に“育つ”から。「気持ちの良い服を喜んで着ていただく」というのが<45R>の哲学ですが、個人的には「あんまり着なくなっても捨てられない」くらいの服を作りたいとも思っているんです。せっかく一生懸命考えて、糸からパターンまで全部に携わって、それをお客さまが喜んで購入してくださるのですからね。
――これまで<45R>では、納戸色、墨納戸、かちん、瑠璃、群青など、実に33種類ものオリジナルレシピによるインディゴ色を開発してきた。その探求はとどまることなく、ついに藍の栽培を自社農園で行うところまで到達してしまったのは前述のとおりだ。
菅原 いまの世の中、一体どれだけの服が“消耗品”として捨てられているでしょう? しかし一方で、捨てられずにいつまでも残る服がある。そういう服を作るためには、やっぱりインディゴって欠かせないものなんだと、強く感じています。野良着をベースにさまざまな方向性のインディゴを追求し、長い時間を掛けて取り組んできた<45R>だからこそ、自分の周囲にはあらゆるインディゴ染料が自然と集まってくるようになっています。こういう環境にいられるということを、常に感謝しながらものづくりを続けていますね。
――どこまでも奥深いインディゴを追求するためには、染料や染色方法だけでなく生地や糸との相性まで考えなければならないのは当然のこと。<45R>のこだわりは、コットンひとつをとっても非常識なほど深く掘り下げられている。
世界中の名だたる産地から厳選した綿花をさらに吟味し、作りたい製品に最もふさわしい繊維質のものを最適な太さで紡績した糸を選択しているのだが、22年前に出合って以来、<45R>の製品で最も多く使われているのがジンバブエコットンだ。細すぎず太すぎず、長すぎず短すぎずのいい塩梅が特徴のジンバブエコットンは、世界で生産されるコットン全体の約0.15%というほど希少なもの。このコットンが生み出すほどよいムラ感や肌触りのよさは、「葉山ものがたり」のTシャツでも堪能することができる。
菅原 例えばこのTシャツで使っているのは、18.5番というオリジナルの糸番手。僕が入社したくらいの時期に生まれた番手ですが、18番でも19番でもなく、どうしても18.5番でなければならなかったということですよね。コットン繊維というのは均一ではなくムラがあるせいでもあるのですが、あえて規定の太さではない端数番手を選ぶというのも、“<45R>らしさ”といえるかもしれません。
――葉山が舞台の「葉山ものがたり」では、これまた<45R>らしいヌケ感と愛嬌たっぷりなキャラクターたちも見逃せない。
菅原 ただカワイイだけのキャラクターでは、<45R>らしくない。海にちなんだタツノオトシゴをベースに、縁起のいい「左馬」や王冠、パドルなどのモチーフを融合したロゴにも注目していただきたいですね。今年の8月・9月にローンチ予定のグラフィックも細かく仕込んでいるので、そちらも今後お楽しみに。
――インディゴ、生地、キャラクター。<45R>が大切にするこれらの要素は、着る者に確かな心地よさと喜び、そして“<45R>らしさ”という付加価値を提供してくれるのだ。
菅原 やっぱり<45R>が多くのお客さまに支持いただいているのは、天然素材の“もぎたて感”にこだわり、袖を通した時の気持ちよさにこだわっていることに尽きると思います。それこそ糸から仕上げまですべての工程に関わっているので、“らしさ”を盛り込むポイントは、いくらでもあるんですけどね。でも僕が22年務めてきて感じるのは、ボタン付けやカンヌキ留め、アイロンワークなどに人の手が加わり、手仕事による温かみや”ふくらみ”をまとうことで、<45R>の服はさらに<45R>らしくなる、ということです。
――「海と都会と山の45年ものがたり」というテーマを掲げ、「葉山ものがたり」という最新コレクションでメンズ館に初登場する<45R>。45年の歩みを凝縮したそのコレクションで、「気持ちの良い服」の真髄をぜひ体感してみてほしい。
- 開催期間:2022年4月20日(水)~4月26日(火)
- 開催場所:伊勢丹新宿店 メンズ館1階 ザ・ステージ
Text:Junya Hasegawa(america)
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