【特集】バイヤー山浦勇樹が語る「Fun To Dress」 VOL.1
シーズンの立ち上がり時期に、新しい服に袖を通すのは大きな喜び──メンズドレスの豊饒な世界を目一杯楽しめる秋冬シーズンが到来しました。「僕は、一張羅という言葉が好きで、一張羅=吟味された一着を長く愛し続けることが、自分にとっての一品に繋がるのではないでしょうか」というのは、伊勢丹新宿店メンズ館5階=メンズテーラードクロージングのバイヤー山浦勇樹。
今回からスタートした連載企画では、服作りの現場にも精通する山浦が選んだ、とっておきの偏愛アイテムをご紹介。第一回目となる本掲載では2020年秋冬の「Fun To Dress」アイテムが登場します。
いつも同じユニフォーム的な考えから、もっと能動的に楽しむ服へ
昨年春にメンズ館が大きくリモデルをして、5階もそれまでの「ビジネスクロージング」から「テーラードクロージング」へと名称が変化しました。5階で大きく変わったのは考え方で、和製英語であるビジネスウエアから脱却して、広くインターナショナルに認知していただけるフロアにしようと舵を切りました。
日本ではビジネスウエア=スーツという考え方が強いですが、名称の変化とともに打ち出したのは、「Fun to Dress」というメッセージです。しっかりしたもの作りやきちんとした背景を有している服を通じて、“テーラードやドレスをもっと楽しんでほしい”、“スタイルとして堪能してほしい”ということですね。品揃えは真面目なスーツから、季節の素材・色・柄を打ち出した旬のものまで幅広いですが、男の装いをもっと楽しんでほしいという思いがベースにあります。
今季のメンズテーラードクロージングのテーマは「everlasting(エバーラスティング)」で、「永遠に続く、不朽の」という意味ですが、まさに一張羅の感覚で、一着を長く愛し続けることを提案。きちんとしたストーリーを持ち、クローゼットに収める意味と価値があるものを、私たちが大切に扱っていきます。
チャレンジする気持ちに「Fun To Dress」が寄り添って、装いがさらに楽しく
今回、自分が考える「Fun To Dress」の偏愛アイテムとして3つをセレクトしましたが、共通するものは「普遍」であると同時に、自分のワードローブに常にあって、気がついたらいつも着ていた「相棒」です。服作りに精通するサルトたちやファクトリーで働く職人らと対話をしながら、常に最良・最上のものを目指すことは、自分の喜びでもあり、「一着を大事にする」ことは、今の洋服に最も必要なことではないでしょうか。
〈アンブロージ〉のカラードフランネルパンツ
イタリア出張で買付に行くときは、おおよその目星をつけていくのですが、ナポリで100年以上続くトラウザース専門ファクトリーのオリジナルレーベル〈AMBROSI/アンブロージ〉で、現当主のサルヴァトーレ・アンブロージさんから、「こんな素材が色違いであるよ」と推奨されたのが、英国の高級服地名門マーチャント「ホーランド&シェリー」のファンシーなウールフランネルでした。日本未入荷の生地で、現場で新しいものが生まれたことに喜びを感じました。
1プリーツ仕様や長い持ち出し、ポケットの閂(かんぬき)止めなど、ディテールを細かく見ていくとクラシックなナポリスタイルですが、特筆すべきは異次元の穿き心地で、それを生み出しているのが、前方に大きく持ち上げられた股ぐりの縫製技術と、クセ取りがしっかり効いたアイロンワークに加え、フィッティングの要となる股下の立体的なフォルム。手縫いならではの柔らかい雰囲気が、着こなしを自然にドレスアップするのも魅力です。
クラシック回帰とともに新鮮な魅力を放つストライプスーツ
5階=メンズテーラードクロージングのスーツは、長く無地やチェックを提案してきましたが、「Fun To Dress」という意味で、ストライプの復権を提案します。ストライプの魅力は、なんといっても男性のスーツ然としている存在感。特に、秋冬の起毛素材に配されたストライプは生地と上手く馴染んで着やすく仕上がっています。
今回 ナポリスタイルのスーツをハンドメイドで作りあげる〈アルフォンソ シリカ〉と、そのナポリスタイルの王道ともいえるエレガントな〈サルトリア ダルクオーレ〉、伝統的な「サルトリア・ナポレターノ」を現代に継承する〈オラッツィオ ルチアーノ〉の3つの作り手からストライプスーツをセレクトしましたが、今自分の気持ちにもっともフィットするのは、〈オラッツィオ ルチアーノ〉のグレーフランネルのストライプですね。
ウォーム感があって季節感を楽しめるのと、ロングポイントのシャツにシルバーのカラーピン、黒のクレストタイというトラディショナルなイメージのソリッドな着こなしが連想できます。
レザーで“サルト”という熱意が伝わってくる至高のレザーアウター
革専門のハンドメイドサルトと称される〈アルフレッド リフュージオ〉のレザーブルゾンです。これを見て感じるのは、当主アルフレッド・リフュージオの目利きと情熱、一針一針ハンドでレザーを仕立てる職人の熱量の高さで、まさに「Fun To Dress」の唯一無二のレザーアウターですね。
個人的にレザーは好きなアイテムですが、鹿革のブラックレザーに、こだわりを針に込めた入念なステッチの仕上げは、まさにアルチザナルなマインドそのもの。これも一生ものの一着です。
Text:Makoto Kajii
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