【特集】<SEVEN BY SEVEN/セブンバイセブン>デザイナー・川上淳也が、サンフランシスコで大量の古着から教わったこと
サンフランシスコで実感した古着のフラットな可能性
──<セブンバイセブン>というブランド名の由来は、サンフランシスコにあるそうですね。
90年代後半からサンフランシスコへ行っていました。ときどき帰ってきたりもしていましたが、長い間滞在していましたね。サンフランシスコの面積は49平方マイルで、7マイル×7マイルに収まるから、ローカルの人たちが「SEVEN BY SEVEN」って呼んでいたんです。と言っても、住んでいた当時はそんな言葉はなくて、ちょうどブランドを立ち上げる準備でサンフランシスコに行ったときに何度も耳にして、いい言葉だなと思って決めました。
──最初にサンフランシスコに行った目的は、古着の買い付けですか?
実は明確な目的はなかったんです。たまたま散歩中に、偶然大量の古着を発見して、様々な事情でドネーション(寄付)されたものが集められているところに遭遇したんです。デニムやシャツだけじゃなくて、下着や靴下、ありとあらゆるものが混在していました(笑)。日本の古着のイメージとは違う、リアルにローカルの人が着ていたものが分類されず大量に積まれていましたね。ときどきかっこいい人の私物がまとまって出てきたりして。過去のオーナーの生活とか趣味嗜好にそのまま触れる感覚で、それがすごく楽しかったんです。衛生面はかなり酷かったですけどね(笑)。
──大量の古着を見てきた経験が、現在の価値観のベースにあるんですね。
教えてくれる人がいなかったから、とにかく膨大な量の服をさわって、自分で判断していきました。言葉にすると恥ずかしいですが、服に教わった感覚です。おばちゃんが着てたものも、かっこいい奴が着てたものも、すべてごちゃ混ぜ。いわゆるヴィンテージの目利きとは違うスタンスで接していたと思います。どんな古着にもフラットに可能性があるという捉え方をサンフランシスコで学びました。
──<セブンバイセブン>は、古着のルーツを感じさせながら、いい意味でわかりにくい、アノニマスな印象を受けます。どんな狙いがあるのでしょうか?
ヴィンテージのディテールを再現することにこだわるだけではなく、過去のアーカイブを踏まえて、新しい価値のある服をつくりたいと考えています。ただ復刻するだけでなく、そこに何かをプラスしていく、ということですね。
──実際にデザインをする上では、どのように発想していきますか?
生産の技術ありきで考えることが多いかもしれません。生産工場の職人のもとにたくさん足を運んで、何ができるのかを見て、それを自分の中で形にしていくという感覚です。<セブンバイセブン>の服は写真を見てもわかりにくいと思うし、実物を見てもぱっと見では伝わらないと思います。ちょっと先の話ですが、2020年秋冬には、デニムにウールを打ち込んだ生地を使ったりしていて、好きな人は好き、というかんじですよね。
──そのこだわりが、服をたくさん見てきた人を惹きつけている印象です。
ありがたいことに、そういう反響をいただくことも多くて。こんなブランドがあってもいいんだな、と思っています。
──こんな風に着てほしい、こんな人に着てほしい、というイメージはありますか?
それは全くないですね。どんな人が着てもいい。2020年春夏のルックでは女性にも着てもらっていて、すごく素敵に仕上がっています。自由に取り入れて、楽しませてほしいです。
限定アイテムに込めたこだわりとポップアップへの思い
──伊勢丹でのポップアップには、どんな思いを込めていますか?
まず、これまでとは違うお客さんに見てもらえるということがすごく大きいと思います。海外も含めて、どう受け止めてもらえるか楽しみですね。今回のために特別なアイテムを用意しています。
──まずは今回のために特別に用意したヴィンテージの刺繍Tシャツについて教えてください。
ヴィンテージのプリントTシャツに手刺繍を施した、すべてが一点モノのスペシャルピースです。今回のポップアップのために、極少量ですが、半年くらい時間をかけて準備してきた特別なアイテムになっています。絵を買うような感覚で選んでいただくのもいいと思います。
ヴィンテージのバンドTシャツを中心にセレクトしましたが、希少性や市場価値が高いことは踏まえた上で、刺繍の配色の良さ、スタイルが制限されることなく、さまざまなスタイルで着ていただけると思っています。
──続いては、アーティストの下田昌克氏とのコラボレーションアイテム。これは下田氏のアートワークをプリントしているんですね。
2020年秋冬のコレクションで発売するTシャツを、今回のポップアップで先行販売します。下田さんとの親交のきっかけは雑誌『Switch』の北村道子特集号でいっしょに物づくりさせてもらったこと。2020年秋冬コレクションは、いろいろ手伝ってもらいました。下田さんならではの手描きの味わいとスーベニアっぽさが気に入ってます。サンフランシスコのお土産のようなTシャツは、今後のブランドのストーリーにも関わってきます。来シーズンのコレクションではいろいろ仕掛けているのですが…それは楽しみにしていただけたら。6色展開、伊勢丹限定色も出します。
──最後が、限定販売のガウンですね。
ジャガード織りで柄を再現したものです。珍しい技術ではないのですが、日本の織りの技術の素晴らしさを改めて実感しました。これは羽織ったときの雰囲気が抜群にいいんですよ。ルックも気に入っています。軽めで仕立てているので、さらっと羽織れて、日本の気候にも合うと思います。これは伊勢丹の方々と話しながらつくっていきました。生地の特徴や価値を理解してもらった上で、お客様の需要の話なんかも聞きながら作ったのは、すごく楽しかった。いい落としどころになったと思っています。
──今回のポップアップへの思いを教えてください。
ディスプレイには<セブンバイセブン>の再構築アイテムを製作後に出たデニムの端切れをつなぎ合わせた特別な什器を用意しています。今までになかったようなものになるんじゃないかな、お客さまに楽しんでもらえるといいな、と考えながら、日々眠れない夜を過ごしております(笑)。僕も店頭に立つ予定なので、服が楽しくなるような話ができたらいいですね。お会いできること、楽しみにしています。
Text:Taiyo Nagashima
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