【特集】20~30代ビジネスマン、革靴選びのお悩みは「ミレニアルラスト」が解決!
ビジネススタイルのカジュアル化にともなって、スーツを着る人が減り、スニーカー通勤もできる時代。いま若い世代の革靴離れは着実に進んでいる。しかしそんな時代だからこそ、あえて革靴を履いて他と差をつけたいと思っている人もいるはず。
そこで伊勢丹メンズ館は、1980年代半ばから90年代半ばに生まれた25〜34歳のミレニアル世代の足を研究し、国内外の実力派シューメーカーに彼らの足に合わせた木型作成を依頼。自身、ミレニアル世代に近い紳士靴バイヤー田畑の奔走により、この春、10ブランドから「ミレニアルラスト」シリーズをリリースすることとなった。
ミレニアル世代のために伊勢丹メンズ館が新しい木型を共同開発
「ミレニアル世代は、生まれたときからクッション性の高いスニーカーを履いていたこともあり、足の形が上の世代と確実に異なります。具体的には開張足で二の甲が低く、かかとも小さい。20年、30年、あるいは50年以上前に作られた名靴の木型足に合わないことのほうが多いのです」(田畑)
3月11日(水)からローンチする「ミレニアルラストシリーズ」は、ご協力頂いたメーカー、ブランドそれぞれの得意分野を活かしながら、若い世代の足に合う履き心地にもこだわったコレクション。実際にミレニアル世代のビジネスマンにお越しいただき、体験会を行った。その様子をご覧いただこう。
ミレニアル世代の3人がリアルに履きたい靴を選んでみた
-
-
柳生大輔さん
1. 愛用する<スコッチグレイン>が、さらに足にフィットしました!(吉際)
新入社員の頃、尊敬する先輩がとてもお洒落だったことから、ファッション、靴に興味を持つようになったという吉際さん。20代後半を迎え、大人の服装を意識して、休日も革靴を履くスタイルが多くなったそう。
「靴はその日の服と合わせてみて、しっくりくるかどうかを考えます。仕事のときは、スーツでもジャケパンでも、かっちりした革靴が相応しいと思うので内羽根のストレートチップが外さないですね。休日はスニーカーだと入りづらいショップやレストランにも足を運ぶことが増えたので、靴には気を使いますね。きちんとした見え面で、履き心地はスニーカーみたいに快適だといいのですが」。
普段は<SCOTCH GRAIN/スコッチグレイン>のストレートチップを愛用しているとのことで、今回ミレニアルラストで生まれ変わったストレートチップと、英国ノーザンプトンの老舗靴<Barker/バーカー>の外羽根プレーントゥをチョイスしてみた。
田畑 いつもは<スコッチグレイン>をご愛用とか?
吉際 そうですね。価格と品質のバランスが良いので。それと本格仕様の革靴なので、中底のコルクによって感じられるクッション性も好きです。
田畑 国内靴にグッドイヤーウェルト製法を取り入れた先駆者でもあり、ミッドソールや内蔵するシャンクに樹脂素材を使うなど、とても先進的で良心的なシューメーカーです。今回、木型開発にもじっくり取り組んでいただいて、何度も試作を重ねました。履いてみていかがですか?
吉際 私が普段履いている<スコッチグレイン>とは見た目が明らかに違いますね。前足部の収まりが良い感じがします。
田畑 従来の木型は、すこし余裕があるので、つま先やかかとが大きいと感じる方が多かったので、今回ミレニアルラストではそこを削ってコンパクトにしていきました。これまでよりすっきり見えますし、へんな履きジワが入って足を傷めることが無いはずです。
吉際 確かに全体的な収まりはいいのですが、履き口が外くるぶしに当たるような?
田畑 なるほど、吉際さんはくるぶし位置が少し低いようですね。この場合、土踏まずからかかと部分に「半敷き」というインソールを敷くと解決すると思います。
吉際 本当だ、これならくるぶしが痛くないですね。
田畑 次は、<バーカー>の外羽根プレーントゥをはいてみてください。
吉際 これもフィット感が良いですね。半敷きを入れてないのに、くるぶしが当たりません。
田畑 海外のシューメーカーには外側の履き口が高いことが多く、日本人の足にはどうしても外くるぶしが当たって痛いものがあるのですが、今回の<バーカー>にはこれを改良してもらいました。
吉際 外羽根プレーントゥは以前から欲しかったのですが、足に合わなかったり、見た目がぽってりと丸すぎて気に入るものがなかったんです。この靴はほどよく細身で足がきれいに見えますね。歩いた感じも靴底がやわらかいのはゴム底だからでしょうか。
田畑 ダイナイトソールは英国のハルボロラバー社が製造する薄手のラバーソールです。雨の日のグリップ力を高めてくれて歩きやすいうえに、靴の見た目を損ねないのが特徴です。
吉際 海外メーカーの靴に憧れはあったのですが、価格面や履き心地で諦めていたんです。やっぱり5桁後半の金額は、勇気がいるので(笑)。
田畑 こちらの<バーカー>は5万円を切る価格となっていますが、EU脱退で今後英国靴は価格が上がってしまうことが予想されています。ぜひ、ご検討ください!
2. オンオフ使えて、足に合うローファーが見つかりました!(金子)
「革靴、スニーカー問わず、フォルムが丸い靴が好き」という金子さんは、自身のスタイルに似合う靴という観点からローファーを愛用している。オンはもちろんオフにも履ける靴という点でも汎用性の高いローファーが理にかなっているのだ。さらに仕事柄、急に泥や土埃にまみれる現場へ行かなくてはならなくなったときでも、気兼ねなく履いて行けてお手入れもしやすい靴がお望みゆえ、あまり高額な靴だと気兼ねしてしまうとも。
「紐靴よりローファーを選ぶのは、手入れがしやすいからなんです。きっちり手入れをしなくても、ティッシュで拭き取って、靴用の艶出しスポンジでさっと磨けば、大人の足元としても十分です。勝手な希望を言えば、革に撥水加工がされていたりすると安心かな。それと、少しでも背を高く見せたいので(笑)、ヒールに高さがあって盛れる靴だといいですね」。
そこで田畑がリコメンドしたのは、ライニングにゴアテックスを用いた<Madras/マドラス>と、コストパフォーマンスに優れるスペイン靴の<Berwick/バーウィック>。ともにローファーを選んで、履き比べて貰った。
金子 <マドラス>のローファーは雨に強いのですか?
田畑 内側にゴアテックスのライニングを使っているので、靴底とアッパーの縫い目から水の侵入を防ぐ防水性と、足の蒸れを防ぐ透湿性が備わっています。これはアウトドアシューズで用いられる技術で<マドラス>でも人気の仕様です。
金子 見えないところに十分手を入れるのは、設計の仕事をしている自分からすると、とてもよく理解できます。履いてみると、スニーカーみたいに足を包み込むようにフィットしますね。それにヒールも高めで、ちょっと背が高くなったように見えます。
田畑 ビブラム社のヒールは少し高めで耐久性にも優れています。ローファーでヒールが高いので、見た目もエレガントです。
金子 細身の木型はとても女性的ですね。でも、好みでいうと、もうちょっと丸いボリューム感のあるタイプが好きなんです。この靴ならスーツやジャケット、ドレス系の服が似合うと思いますが、私の場合はオフィスでもカジュアルめなので。
田畑 ではこちらの<バーウィック>はいかがでしょう。少し丸いフォルムで、カジュアルな顔つきはトレンド感もありますよ。レザーはイタリアのイルチア社製で高級感もありますが、価格は3万円台なんです。
金子 これで3万円台には見えないですね。革がいいのに、この価格なのはなぜなんでしょう?
田畑 <バーウィック>はスペイン有数の靴メーカーの1ブランドなので、革の買付けにスケールメリットを活用できるんです。
金子 なるほど、納得です。ラバーソールも建設現場などで役立ちそうです。
田畑 こちらはビブラム社と<バーウィック>が共同開発したオリジナルのボタンソール。軽くてグリップ力が高いものです。デザイン面と機能面を両立した、コストパフォ−マンスを求める方にも納得いただけると思います。
金子 <バーウィック>は私の普段のスタイルにすぐに使えそうですね。<マドラス>は機能的にもデザイン的にも申し分無いので、ぜひとも履いてみたいとも思えます。そのためにまずは、もう少しドレッシーな服装も勉強しないとですが。
3. 靴にうるさい私にも納得のコレクションです!(柳生)
柳生さんはファッションは靴から考え、週末は靴磨きが趣味という柳生さんは、つま先をハイシャイン(鏡面)仕上げにするために少量ずつ水を取り出せるハンドラップ(水差し)もお持ちというからには、本物の靴好き。職場は服装規定に寛容だが、スーツをかっちり着たいがために毎日革靴で出社するのだそう。
「靴選びの基準は、長く履ける靴であること。なので製法と革質にはこだわりたいです。グッドイヤーウェルト製法であること、履き込んで磨き込むほどに味が出る上質な革であること、靴底もレザーソールを選びますが、できれば長時間履いても疲れにくい靴がいいです」と靴への要望もかなり高め。手持ちの靴の種類も多彩だが、まだ持っていないシングルモンクに興味深々とのことで、早速田畑は<Otsuka/オーツカ>のストレートチップと<SHETLANDFOX/シェトランドフォックス>のシングルモンクを用意した。
柳生 <オーツカ>のストレートチップは、ウィズ(足幅)が僕の足にぴったりですね。私の足はちょっと細身なので、靴の中で左右が余ることが多いんですが、これは隙間がなく包まれています。
田畑 靴を選ぶ際は、まず足長でお選びいただきますが、ウィズが合っているか、ボールジョイント部が合っているかなどチェックすべき点がたくさんあります。
柳生 甲の浮きなどは中敷きで対応していたのですが、最初からぴたりとハマると気持ちいいですね。アーチ(土踏まず)部分が持ち上がるような履き心地です。
田畑 靴のウェスト部分を絞り込んでいるので、フィット感がいいんですよ。
柳生 歩いたときにへんなシワが入らないのは、私の足にあってる証拠ですね。足に吸い付いてくるような履き心地なので、推進力があって足が自然と前に出ます。
田畑 もう一足、<シェットランドフォックス>のシングルモンクストラップもご用意しました。なんでも、いまシングルモンクをお探しとか?
柳生 他の店で見たシングルモンクがカッコいいなと思っていたんです。ストレートチップはスーツに合わせますが、シングルモンクはジャケパンにも似合いそうなので。
田畑 <シェットランドフォックス>は、<リーガル>の上位モデルです。流行に左右されない、確かな靴作りに定評があります。
柳生 履き心地もぴったりですが、つま先の形が適度に丸くてカッコいいですね。
田畑 すこしモード感あるラストの形状にこだわりました。今風のワイドパンツにも合わせやすいのではないでしょうか。
柳生 これなら会社に行くときだけでなく、休日にも履けそうです!
やっと見つけた愛靴は、正しいシューケアで長く履きたい
田畑 今日お集まりいただいた皆さんは、みなさん26歳。革靴を履く習慣がおありとのことで、紳士靴担当として嬉しく思います。
吉際 いま多くの企業でノーネクタイでも出社できる風潮になっているように、カジュアルシューズが市民権を得ていく中でこそ、あえて革靴をしっかり履きたいなと。
金子 私は現場仕事のときがあるので、革靴にこだわってるわけではないのですが、自分のファッションに合う靴として革靴を履くことが多くなってる感じです。スニーカーでも黒のレザーとか選ぶことが多いので。
柳生 私は本当に靴が好きなので、休日など靴のWEBサイトをずっと見てることも。Youtubeで鏡面磨きの動画を見て、フィンガークロスとハンドラップも買っちゃいました。
田畑 凄い! 本格的ですね。靴って、きちんとお手入れしてソールを張り替えたりすれば5年、10年と履けますからね。
吉際 そのお手入れ方法なんですが、いろんな情報があって、実際どうすればいいのかよくわからないんです。
金子 僕もいつも適当なので、正しいやり方を知りたいです。
田畑 柳生さんに語っていただきましょうか(笑)。
柳生 私も素人ですけれど、まず最初にツーフェイスローションをクロスにつけて全体の汚れを落とします。
吉際 土埃や泥汚れだけでなく、女性のメイクと同じで、前回のメイク=クリームを落としてから、改めて作業したほうがいいんです。
柳生 それから革に栄養クリームを塗り込みます。
金子 靴墨じゃないんですね。
田畑 カラーは革が傷ついていたり、コバが削れたところに塗り込めばよくて、普段のお手入れでは無色の栄養クリームを塗るぐらいがいいです。
柳生 塗るときはブラシで全体に伸ばしてからクロスで拭き上げます。でも実際に作業するのは月に1回ぐらいでしょうか。
田畑 靴を履く頻度によって月1回でも2〜3ヶ月に1回でも構わないです。その代わり靴を履く前には、靴磨きのときに使ったブラシで全体をサッと磨いてあげると、ブラシの毛についたクリームが薄塗りできるのでいいと思いますよ。
吉際 ブラシはどういうものがいいんですか?
田畑 汚れ落とし用に柔らかめの馬毛ブラシと、クリームを塗り込む用に堅めの豚毛ブラシの2種類があるといいですね。今日、ここにお持ちしたのはコロンブスのブラシです。コロンブスは国内のシューケア用品メーカーで、上位ブランドには<Boot Black/ブートブラック>があります。<ブートブラック>はイタリアの某ラグジュアリーシューズブランドが公式に採用しているぐらい品質が高いんです。
金子 ブラシを2種類と、汚れ落としと、栄養クリームがあればとりあえずOKですか。
田畑 カラーは靴に合ったものを選んでいただければ。もうひとつ用意するとすれば、シューツリーですね。
金子 それ、気になってたんです。安い靴にシューツリー入れてもしょうがないかって思ってたんですが、やっぱり違いますか?
柳生 高い靴には必ずといっていいほどシューツリーが付いてきますよね。
田畑 靴の販売価格を下げるために、最初からシューツリーを付けていないことはよくあリます。じつは今回のミレニアルラストのシリーズも、シューツリーをお付けしていません。その場合でも、ご自分でご用意されると、靴の寿命は圧倒的に伸びますよ。
金子 テンションの強さが気になります。バネが強すぎるシューツリーは逆効果ですよね。
田畑 靴のサイズを変えてしまうほどのテンションが掛かるのは、シューツリーのサイズが靴のサイズと合ってない場合がほとんどです。あとプラスチック製のものは革靴には辞めておいたほうがいいと思います。木製で塗りのないものなら、革が呼吸できるので靴が吸った汗も早く乾きます。
吉際 一日履いた靴は一晩、玄関に置いておいて、次の日にシューツリーを入れてシューズクローゼットに仕舞うようにしています。
田畑 足は人間の身体のなかで一番汗をかくので、靴は汗をたくさん吸っています。できるだけ早く乾燥させるためには、脱いでそのまま放置するより、脱いだらすぐにシューツリーを入れて放置したほうが早く乾燥するというデータがあるんです。
柳生 それは私も知りませんでした。今日から、帰ったらすぐにシューツリーを入れたいと思います。
金子 私も帰りにシューツリーを買って帰ります。
吉際 革製品は鞄や財布、靴など使い込んで味が出た頃が一番カッコいいと思うので、私もこれからしっかりシューズケアをしたいと思います。
田畑 靴は履き込んだり、ケアしたりして自分だけのものに仕上げていく過程が男心をくすぐるアイテムです。ミレニアルラストで、革靴の良さを再発見してくれる方が、もっと増えていただけたら嬉しいです。
Text:Yasuyuki Ikeda
*価格はすべて、税込です。
お問い合わせ
メンズ館地下1階=紳士靴
03-3352-1111(大代表)
メールでのお問い合わせはこちら