2019.10.09 update

【特集|インタビュー】21世紀の東京を代表する人気セレクトショップ『1LDK』が世の男性を惹きつける秘密とは?(1/2)

ワーク、ミリタリー、トラッド、スポーツという伝統的なメンズウエアのスタンダードを軸としながら、「NON-DAILY LIFE IN DAILY LIFE(日常の中の非日常)」をテーマに“視点”を変えることで生まれる新たなクリエーション──すなわち21世紀におけるニュースタンダードを提案し続けるセレクトショップ、1LDK。10月16日(水)より開催されるそのポップアップストアを前に、ディレクターを務める三好 良氏にインタビュー。イベントの詳細に加え、“1LDK伝説”が生まれた背景を訊いた。




三好 良
東京・中目黒を拠点に洗練されたスタンダードアイテムを取り扱うセレクトショップ『1LDK』のディレクター。2018年11月には、新たな業態としてセレクトショップとホステルを融合させた『SO NAKAMEGURO SHOP & HOSTEL』のオープンを手掛け、ストアゼネラルマネージャーとしても活躍中。


中目黒から世界へ発信される、現代の“東京スタイル”。


「僕がいちばん気をつけているのは、小規模でやっているからこその風通しの良さ、スピード感、瞬発力のようなもの。大手さんには規模や体力で敵わないけど、彼らは小回りが効かないことも多いじゃないですか。その点僕たちは、自分たちでいろんなことを決定して、自分たちなりに迅速に進めていけます。また、お客さまに直接メッセージを届けてくれるショップスタッフの意見というのも、とても大事にしていますね」

東京・中目黒にインディペンデントなセレクトショップ・1LDKがオープンしたのは、2008年のこと。今でこそ飲食を中心に活況を呈する中目黒だが、ファッションにおいてはまだコアな人気店が目黒川沿いに点在する程度だった。さらに1LDKが店を構えたのは、「向かいのビルにはガールズバーがありましたね(笑)」というファッション不毛エリアだ。開店からしばらくは来客もまばらで、「雨が降ったら1日5人なんて時代も結構長かったんですよ」と振り返る。そんな1LDKが東京を代表するセレクトショップとしてシーンを牽引するほどの人気を獲得したのは、商品の魅力もさることながら、冒頭で語ってくれたような姿勢を貫いてきたからこそなのだろう。そしてその理念は、三好氏がディレクターに就任するずっと前、同ショップの礎を築いた先輩たちから受け継がれている伝統なのだという。


「僕が入社したのは、オープンからおよそ1年後。当時の上司からは『お客さまが何を欲しがっているのか常に考えろ』と言われていました。美意識的な部分でも大きな影響を受けていますし、掃除など基本的なことにはすごく厳しい方だった。基本的なことを疎かにせず、“気づける”人間になれっていうのは、ウチの社訓のようなものかもしれません」

時代と顧客が求めているものを鋭敏に感じ取り、フレッシュな視点でメンズウエアのスタンダードを再定義する──そんなショップの提案はファッション誌『POPEYE』の人気ともシンクロし、「東京のスタンダード」としてすっかり定着していると言っていいだろう。中目黒から始まり、名古屋や札幌、東京の青山、パリ、そしてソウルと、着実にそのフィールドを広げている。

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