【特集】ナポリの名匠を訪ねて|Vol.3 続・完璧を目指した男の究極のスーツ
クラシックを極める者、あるいはその伝統を受け継ぎながら今の時代に合わせて新たなチャレンジを行う者、アプローチはさまざまだがモノづくりへの姿勢や一針一針への秘めた思いは強い──本稿は2019年6月、1月に続きイタリア・ナポリを訪れたメンズテーラードクロージング担当の稲葉智大と口元勇輝の取材記録。繊細な手仕事を介してはじめて完成する"ナポリ仕立て"にスポットを当て、そこに関わる人々やプロダクトの陰に潜むストーリーに密着した。
第3回目は再び<Alfonso Sirica/アルフォンソ・シリカ>の工房を訪ね、常に完璧を目指す男が辿り着いた究極の型紙をリポートする。
イベント情報
<アルフォンソ・シリカ>オーダー会
□8月19日(月)
□メンズ館5階=メンズテーラードクロージング▶詳しくはこちら
関連記事
シリカ渾身の型紙から生まれた新作、「ヴィオリーナ」
今回、稲葉と口元は、改めてイタリア・ナポリ近郊のサン・ヴァレンティーノ・トリオにあるアルフォンソ・シリカの自宅兼工房を訪ねた。
前回もお話したが、アルフォンソ・シリカという男の凄さは伝統的なナポリ仕立てでも完璧な柄合わせでもない。あくまでも着る人本人の着心地を最優先にしているところにある。
次シーズンに向けた生地選びや発注を一通り終えたところで、シリカ本人から私たちに一つの提案があった。
「新しい型紙を試してみないか」。
私たちとしては、現段階で満足のいっている型紙をあえて変える必要はないと思っていたが、着た瞬間に今までなぜ出会えなかったのかと悔やむぐらいに完璧と思えるクオリティに出合えた。
「どうだ。驚いたろう。"Violina(ヴィオリーナ)"*だ。着たままでViolinaが引けるジャケットだぞ」。
*「Violina」はヴァイオリンの意
確かにストレスなく腕が上がる。訊けば、ス・ミズーラと同じ方法で既成服を縫っていたが、完璧な型紙とはどのようなものか、ずっと悩んでいたという。
無理もないだろう。シリカはサルトであり、彼の工房に訪れるお客さま一人ひとりのご要望を伺い仮縫いを行ってから一着ずつ縫い上げていくのだから。
「見た目やシルエットはもちろん大事だが何よりも優先されるのは着心地だ。毎日そのことだけを考え続けて作り上げた型紙だよ」。
「ヴィオリーナ」と名付けられたのにも理由がある。
シリカの顧客に一人のヴァイオリン奏者がいた。もちろんジャケットを着用したままヴァイオリンを演奏するのだが、満足の行くように腕が上がらない。そんな顧客の求める声をヒントにし完成したモデルだからこそ「ヴィオリーナ」と名付けられたんだそうだ。
1日限りのオーダー会が8月19日(月)に開催
この春、伊勢丹メンズ館にデビューした<アルフォンソ・シリカ>だが、シリカ本人を招聘するオーダーイベントが、8月19日(月)の1日限り、メンズ館5階=メンズテーラードクロージングで開催される。
上掲の「ヴィオリーナ」が本オーダー会で初登場するほか、ここに並ぶレディメイドはどれも上質な素材を使用し丁寧に仕立てられたものばかりだ。
誰よりも几帳面な性格のシリカが日本人のことを真摯に考えて作り上げた極上の着心地とシリカ本人との対話を是非楽しんで欲しい。
関連記事
イベント情報
<アルフォンソ・シリカ>オーダー会
□8月19日(月)
□メンズ館5階=メンズテーラードクロージングオーダー詳細
■価格:コート・スーツ 350,000円から、スリーピース 450,000円から、ジャケット270,000円から、パンツ・ジレ 66,000円から
■お渡し:2019年11月末予定(場合により前後することもありますのでご了承くださいませ。)
*事前予約のお客様を優先させていただきます。ご予約は下記よりお電話にて承ります。
*ご予約に関しましてご希望に添えない場合もございます。
*オーダー会内容は場合により変更になる事がございます。予めご了承ください。
*価格はすべて税別です。
*2019年10月1日(火)より消費税率が変更されます。
お問い合わせ
メンズ館5階=メンズテーラードクロージング
03-3352-1111(大代表)
メールでのお問い合わせはこちら