兄弟だからこそ成しえる、奥行きのある感情表現
今回、満を持してイセタンメンズという日本を代表するショーケースで展示・販売される、海前ブラザーズのアートピース。そのフロアや客層の性質を踏まえたうえで、完全オリジナルのエクスクルーシブ作品が制作された。そのテーマは、「男性的」。すなわち男性ならではの心象風景であり、男性の好きなモノやコトを抽象的にビジュアライズしたものだ。
「メンズウエアの殿堂のような空間ですから、男性の精神というか、好きなものをテーマにしようと思いました。テーマは全部で8つあり、“AFTER SCHOOL(放課後)”“VOYAGE(航海)” “NEW YORK(ニューヨーク)” “LONG HAIR(ロングヘア)”など、男性ならきっと共感していただけるさまざまなモノゴトへの思いや感情を表現しています。“放課後”なら青春や夕焼け、夜への期待。“航海”なら海への憧れ、“ニューヨーク”なら自由など、イメージを言葉として兄と共有し、具現化してもらっています」
「8つのテーマに沿った8枚のアクリルボード作品を用意していますが、気軽に手に入れていただけるプライスであることも重視しているんです。僕らにとって重要なiPhoneケースも、もちろん同テーマで製作していますよ。弟がテーマを決めて、僕が“施工”する感じですね(笑)。ハンドワークでしか出せないニュアンスや立体感を、ぜひ感じていただきたいと思います」
作品のなかには、6年前にエアブラシで描いた愛犬のブルドッグと、最新の作風を融合させた“DOG(犬)”。「男はいくつになってもマザコンじゃないですか」と笑う、“MOTHER(母親)”と題した作品もある。いずれも極めてパーソナルで、彼らのパーソナリティに触れられるような作品だ。
「いまはまだお互いにそれぞれの生業があり、海前ブラザーズの活動は"アートをもっと身近に"という思いで行っています。塗装工を営む自分ですが、あらゆる面でもう少し自由になって、弟と一緒に好きな絵を好きなときに描いて暮らしていけたら、最高の人生だろうなと思っています」
性格や才能はまったく異なるけれど、ともに純粋で、野心的で、家族思い。そんなふたりは最後に、兄弟で活動することの利点と欠点について、こう語ってくれた。
「僕らは昔から本当に仲が良くて、よく話もします。物理的な距離も近いので、何をやるうえでもスピード感があるのが最大のメリットです。今回の取り組みも、正味3週間という短期間で実現させられたのは、兄弟だからこそだと思います。デメリットは……特にないですね。いや、本当に(笑)」
イベント情報ideas and PAINTING by Umimae brothers
□3月27日(水)~4月9日(火)□メンズ館2階=メンズクリエーターズ
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Photo:Shimpei Suzuki
Text:Junya Hasegawa(america)
お問い合わせ
メンズ館2階=メンズクリエーターズ
03-3352-1111(大代表)
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