今回の取材で、森岡さんに「<ブルックス ブラザーズ>にまつわるものをお持ちならご紹介ください」とお願いしたところ、持参したのが『メンズクラブ』のIVY特集号。今では希少な雑誌をめくっていると、IVY特集第1集に「<ブルックス ブラザーズ>150年史」という特集が掲載されていました。
男の装いの“基本のキ”は<ブルックス ブラザーズ>に教えてもらった
今から約50年前に、こうしてブランド史がまとめられた記事を、当時の若者たちはむさぼるように読み、暗記したものです。自分もそうやってファッションに接してきました。そういう体験を持つ世代には、<ブルックス ブラザーズ>は憧れであると同時に、どうしても「こう着なければならない」という固定観念のようなものがあります。
自分も学生時代に<ブルックス ブラザーズ>のUSボタンダウンシャツを着ましたが、学生にとっては特別なシャツで、デイリーユースというより背伸びしたアイテムだった感覚があります。
それから『メンズクラブ』編集部に入ってブランドの歴史や背景などを知ると、「等身大の自分の隣にあるいいもの」ということに気づかされて、常に一緒にありました。編集部で教わった「このブレザーにはこのシャツで、このネクタイ、パンツは3.5cm折り返しダブル」という着こなしは、お手本、ルールであり、まさに“基本のキ”。
それから時代を経て<ブルックス ブラザーズ>を着てみると、当時の「ねばならない」から解放されて、自分の香りや佇まいを残しながら、今の装いを楽しむことができる。まさに、進化する老舗を体感することができます。
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必携のボタンダウンシャツを“夏らしく”着こなすメソッド
シアサッカースーツをご紹介しましたが、<ブルックス ブラザーズ>の顔といえばボタンダウンシャツです。昔の“ブルックス派”は、「オリジンであるUSボタンダウンしか着ない」という人もいましたが、今ではマーク入りの半袖や、オックスフォードのノーアイロンなど、さまざまなバリエーションのシャツが揃っています。
クールビズではカッタウェイが定番人気の襟型になりましたが、本当にお薦めしたいのは、きれいに襟が立つボタンダウンです。年齢関係なく若々しいイメージで着られるボタンダウンは、夏のノーネクタイからタイドアップまで楽しめるもの。言い古された表現ですが、ボタンダウンは着こなしの名脇役です。
森岡氏が、この日着ていたのは、長年愛用してやまない<ブルックスブラザーズ>のボタンダウンシャツ
半袖にニットタイという“グレーゾーン”を楽しもう
実は、クールビズに着る半袖シャツには否定的で、「男なら長袖をロールアップして着たほうがカッコイイ」と思っていましたが、<ブルックス ブラザーズ>のボタンダウンの半袖を見て、黒のニットタイにチャコールグレーのパンツを合わせたら、とても格好良く仕上げることができました。これに黒のローファーやスリッポンを履いたら100点です。
半袖にニットタイというのは、前に言った“グレーゾーン”そのもので、やってみると意外に面白い。クールな感じの色合わせにスポーティなニットタイを合わせて、「わざと半袖を着て楽しんでいる」のが伝われば、まさに大人ならではの面白がり方になります。
夏のネクタイ・コーディネートは、「ジャケットなしのタイドアップ」という視点で選んでみました。まず、かつて“パワータイ”としてエスタブリッシュメントに人気だった黄色をチョイス。これは<ブルックス ブラザーズ>の創業199周年のアニバーサリーストライプに選ばれています。
シャツ 各20,520円、ネクタイ 12,960円から オンラインストアはこちらから
そのほかのネクタイも、夏の清涼感とアメリカの匂いをテーマにチョイス。ネクタイはモダンクラシックな幅約8.5cmで、ボタンダウンとの相性は間違いなし。大人のクールビズの見せ場はVゾーンですから、トリコロールなどもぜひご活用ください。