2016.02.26 update

【インタビュー】シューズデザイナー・坪内浩が語る「靴の可能性の世界を広げるデザイン」(1/2)

日本を代表するシューズデザイナー坪内浩さんが手がけるブランド<ヒロシツボウチ>で人気の高い「ウィングチップスニーカー」の新作を集積したポップアップストアと、毎回好評のパターンオーダー会が3月2日(水)より地下1階=紳士靴で開催されます。今回登場するイセタンメンズ別注のウィングチップスニーカーのテーマは“光る素材”。坪内さんの靴づくりに対する思いを前後編でお届けします。


スニーカーと革靴の合体

――スニーカーソールを搭載したウィングチップスニーカーは私たちにとっても“発見”でしたが、毎シーズン大人気ですね。

ブランドをスタートしたのが2008年で、初めてスニーカーソールの靴を出したのは約4年前。以前から「スニーカーのソールを付けた革靴があってもいいんじゃないか」というアイデアはもっていて、コンフォートな履き心地の靴を格好良く昇華できないかと考えていました。

――快適におしゃれに履けるモノということですね。

クオリティは革靴、見え方はスニーカーという「革靴のニオイがするスニーカー」ですね。長く靴づくりに携わっていますが、革靴とスニーカーにはなかなか交流がありませんでした。あるとき自分の思いに近いスニーカーソールを見つけて、革靴のラスト(木型)を用いて、革靴メーカーで作ったのがこのスニーカーの始まりです。

――坪内さんの作り手としての「ジャンルを超えたなにかを」という想いが詰まっています。なぜ革靴のラストを採用しているんですか。


革靴感覚で履けるビジネススタイルの秘密兵器

ソールのクッション性の良さと軽い履き心地を生かすために専用ラストを作ったのはフィッティングの良さを優先してですね。革靴感覚で履けるのでビジネスマンにも好評です。

――確かにパターンオーダー会では、アッパーもソールも「黒」にしてビジネスシーンで履けるものをオーダーする方も多いです。

干場義雅さん(ファッション・ディレクター)と取り組んでいる靴ブランド「WH(ダブルエイチ)」も“履き心地はスニーカー感覚”というのがポイントで、「出張の時に重宝する」という声をいただいています。靴のカジュアル化傾向は今後も続いていくでしょうね。


スニーカーグルカサンダルが初登場!

――今回のイセタンメンズでのポップアップでは、新作の“光る素材”のスニーカーが登場します。

ウィングチップスニーカーは、「オーソドックスなウィングチップに遊びを加えている」ことも大きなポイントですが、ゴールドやシルバーのアッパーはずっと人気です。今回は、光る素材=リフレクターを採用して展開します。

――あと、スニーカーソール+グルカサンダルの「スニーカーグルカサンダル」も初登場ですね。

レザーソールのサンダルはよくありますが、春夏のスタイルにフィットしてスポーティに履けるサンダルを初めて披露します。

Photo:SUZUKI Shimpei