【連載】マイ・ブレザー、マイ・ルールを探す名店めぐり—後編「J.PRESS & SON’S AOYAMA」|イセタンメンズ散歩
伊勢丹好評連載企画「イセタンメンズ散歩」、バイヤー×キュレーター第7弾のは”ブレザー”の可能性へ。
豪徳寺で“ブレザーの面白さ”を満喫した佐藤は、「J.PRESS&SON’S AOYAMA」の黒野さんに会いに青山へ向かいます。
ブレザーのスタイリングを追求した結果、店内には13~15型のブレザーがずらり!
4周年を迎えたJ.プレス & サンズ アオヤマで、“ネクスト・トラッド”と出合う
佐藤 J.プレス & サンズ アオヤマのオープン4周年、おめでとうございます。
黒野智也(以下、黒野) ありがとうございます。今日は佐藤さんにぜひ着ていただきたいブレザーを用意してお待ちしていました。
佐藤 ブレザーの型数がすごく揃っていますね。
黒野 「ブレザーはもっと自由でいい」「もっと着こなしを楽しんでほしい」と思っているうちに、型数がどんどん増えていって、今、店には13~15型のブレザーがあります。
佐藤 黒野さんたちが時代の空気感を感じ取りながら、デザイン・素材・フィットなどのバリエーションを作っていった成果ですね。
黒野 今日、佐藤さんに着てほしいのは、ダブルのバギーフィットブレザーです。J.PRESSの定番ブレザーのディテールは残しつつ、身幅やアームホールなどをサイズアップしたバギーフィットです。去年の秋にデビューして、今季はかなり良い仕上がりになっている自信作です。
オーセンティックしか着ていない人には新鮮なリラクシングフィット
佐藤 袖のボリュームがたっぷりあるきれいなシルエットのブレザーですね。
黒野 肉厚なパーカーやスウェット、シャギードッグニットなどを合わせるプレップな着方には、これぐらいのゆとりが必要です。このバギーフィットは身幅もあって、カマ(アームホールの下半分の脇に当たる部分)が広いので、重ね着をしても生地がきれいにストンと落ちます。
佐藤 なるほど。まさにトレンドらしいプレッピーな着こなしが楽しめるわけですね。
黒野 4つボタンのダブルなので、前を開けて着ても雰囲気が良く、日本のファクトリーとの取り組みで作っているので、縫製なども丁寧です。佐藤さん、羽織ってみてください。
カッコイイは人それぞれ。新しいトラッドを取り入れたい人はバギーを選ぶ
佐藤 このバギーフィットの“推しスタイリング”を教えてください。
黒野 シックにネイビーのトーンオントーンでまとめるのも素敵ですが、色を差して、少しヨーロピアンな雰囲気を出したり、柔らかいタッチのシャツを合わせるのもアーバンな感じがプラスされます。ちょっとスタイリングしてみましょう。
佐藤 この<KANEMASA/カネマサ>のシャツは、袖のボリューム感と全体のバランス感が好きです。ボリューミーなジャケットを着ても馴染むし、スーパーハイゲージで、タイプライター生地は中に着てもストンと生地が落ちてくれますね。
黒野 そして、この淡いオレンジのニットを肩に掛けましょう。<Yonetomi NEW BASIC/ヨネトミニューベーシック>のニットは、高品質ウールをしっかりと編み込んだ畦編みで、季節感もプラスしてくれます。
佐藤 差し色としてオレンジが効きますね。今日の黒野さんの着こなしも抜群です。
黒野 今日は、ローファー・スラックス・ブレザーという基本形ですが、全体に少しゆったりしています。Vゾーンにデニムシャツと蛍光ライムカラーのカットソーを入れて、オーセンティックな中にキャップなど雑貨で遊ぶのも自分なりの個性です。
佐藤 黒野さんの目を引く色の取り入れ方は参考になります。
黒野 スラックスにブーツを合わせたり、インナーでメリハリを付けたり、ブレザーはどんなスタイリングでも受け止めてくれます。
佐藤 今度は黒野さんのように、立体的に色を使ったスタイリングにも挑戦してみたいです。
“ブレザー”を通じて、トラッドを愛する人の輪を広げたい!
佐藤 黒野さんはスタイリング投稿の「BLAZER SNAP」で、ブレザーを通してクリエイティブに洋服を楽しむことを発信しています。
黒野 BLAZER SNAPは、今のリアルなブレザーの着こなしを伝えたくて、「スナップを撮りだめたら参考になるだろう」と去年8月にスタートしました。
佐藤 反応はいかがですか?
黒野 佐藤さんもご存知の通り、トラッドは集団になっていく不思議な力があって、この店にもBLAZER SNAPを見た韓国のジェントルマンズクラブのメンバーが遊びに来てくれました。
佐藤 トラッドは“ユニフォーム感覚でみんなで楽しむ”という部活・サークル的なノリがあるので、ブレザーを着ていたらまとまる=一体感はすごくありますね。
黒野 ブレザービギナーの若い人はBLAZER SNAPを見て、トラッドのポテンシャルを感じてくれて、スタイリングも自分流に変化していくのが面白いですね。
佐藤 黒野さんの活動は、トラッドの入り口を広げたり、ブレザーの可能性を高めたり、素晴らしいと思います。
黒野 次はニューヨークでスナップを企み中なので、ぜひ注目していてください!
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Text:Makoto Kajii
Photograph:Naoto Date
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