2023.09.13 update

<ジ・ウォームスクラフツ マニュファクチャー>で知るコードバンの魅力とは、人気のメンズ館別注カラー他おすすめアイテム


革好きなら<ジ・ウォームスクラフツ マニュファクチャー>をご存じだろう。日本を代表するタンナーの一つ「新喜皮革」を母体に、選び抜かれた素材と馬革を知り尽くした職人たちの技術で作り上げたコードバンの革小物たちは、本物本質を追求する男性なら必ずや納得するものばかり。この秋、伊勢丹新宿店メンズ館で開催される「ISETAN レザー博 2023」を間近に控え、このブランドのコードバンアイテムと、その魅力の理由を紹介しよう。

  1. 世界に数社しかない希少なコードバンタンナー
  2. 馬革専門タンナーが手掛ける馬革専業ブランド
  3. 妥協なきモノ作りに邁進できる環境
  4. メンズ館のラインナップからおすすめの逸品
    1. ●伊勢丹別注カラー、ダークダークネイビー
    2. ●名刺入れ
    3. ●3つ折り財布
    4. ●ベルト  
    5. ●トートバッグ
    6. 9月20日(日)からの「ISETANレザー博2023」でオーダー会を開催!


世界に数社しかない希少なコードバンタンナー

コードバンとホースハイドの違いは、馬の臀部の革を用いるか、馬の胴体の革を用いるかという部位の違いとともにもうひとつ。ホースハイドは一般的な牛革と同じく、革の表面(銀面)を滑らかにして使うのだが、コードバンは裏面(床面)を表にして使う、つまり牛革でいうスエードである点が大きく異なる。馬の臀部にしか存在しない緻密な繊維層を削り出し、表面を均す工程(グレージング)を経ることで、あのえも言われぬ艶が浮き上がるのだ。



多大な時間と工程を経て鞣されるコードバンは、まるでエナメルのように美しい艶を放つが、表面を樹脂などでコーティングしたエナメルやガラスレザーと違い、きめ細かい繊維層が表面にあるため、油分が抜けやすく外部影響を受けやすいという特徴もある。これがエイジングや味出しに直結するのだが、乾燥は割れにつながりやすく、水分に触れると水染みができやすいといった欠点もあるため、一般的にコードバンは扱いが難しいとされている。だが、その欠点を差し引いても魅了的なのは世界的にも希少な素材だからであろう。

馬革は牛革と同じく食用動物の副産物として採取されるのだが、食用馬と食用牛の数量差については説明するまでもない。かつて「コードバンは農耕馬の革を使う」などとまことしやかに語られたこともあるが、これは明確に否定しておく。鞣す工程も牛革は約30日程度で済むことが多いのに対して、コードバンはその10倍もの日数を要する点でも希少であることは明らか。安定的にコードバンを供給できるタンナーは世界中に数社しかなく、なかでも原皮の仕入れから鞣し、染色までを一貫生産かつ安定供給できるメーカーは、アメリカ・シカゴのホーウィン社と、日本の兵庫県姫路にある新喜皮革の2社だけといっても過言ではない。


馬革専門タンナーが手掛ける馬革専業ブランド

新喜皮革は1951年に創業された、世界でも例を見ない馬革専門タンナーである。一般的にタンナーはドラムと言われる巨大な樽のような設備に鞣し剤を投入して皮を鞣す。日本で数社、ごく僅かなタンナーのみがプールのような木製ピット層と呼ばれる大型設備を有しており、新喜皮革のコードバンは全てこのピット層でフルベジタブルタンニンによって鞣される。
新喜皮革は原皮の買付けから最終工程まで行うタンナーとして半世紀に渡り運営されてきたが、2002年には自社で革製品の製造を行うようになった。これがオリジナルブランド<ジ・ウォームスクラフツ マニュファクチャー>である。

ブランドはスタート当初、高い製造技術をもつ革小物工房と協業していた。やがて社内に工房を構えると、職人を育て、技術を継承することを目指しながら内製化を図ると、2010年には分社し独立を果たした。その名も「株式会社コードバン」。新喜皮革社屋の1階に工房を構え、タンナー新喜皮革と二人三脚で運営されている。「<ジ・ウォームスクラフツ マニュファクチャー>は量産をするファクトリーブランドではない」という矜持は、このときから明確にあったのだ。



社員数は30名足らずだが、その半数近くが職人だという。その仕事ぶりは親会社である新喜皮革の徹底した一貫生産の精神を受け継ぐかのように、一人ひとりが全工程を手掛けることができるというもの。通常のファクトリーでは、裁断、縫製、組み上げなど工程ごとに専門化する製造工程を、ここでは一人の職人が裁断から縫製、最終仕上げまで行うことができるのだという。大規模なファクトリーブランドではなく、アトリエブランドとして確立している証左である。

新喜皮革は多くの革製品メーカーにコードバンとホースハイドを卸しており、<ジ・ウォームスクラフツ マニュファクチャー>を擁する株式会社コードバンもまた、取引き先のひとつである。材料の供給元と生産工房が至近距離にあることから、最上質の素材を即日、物流コストなしで得られるメリットは当然として、もっとも有利な点は、革製造の職人と製品製造の職人が当たり前のように日々セッション形式でモノづくりできるところだという。技術の進歩と知識の蓄積により、<ジ・ウォームスクラフツ マニュファクチャー>は年々そのクオリティを上げてきているのだ。




妥協なきモノ作りに邁進できる環境

ひとつの製品を手掛ける上で、パーツの素材や作業処理などに疑問があれば、即、2階に構える新喜皮革の仕上げ場に問い合わせて最もふさわしい素材を選ぶことができる。またデザイナーと職人の距離感も近いため、一般的なブランド運営と異なり、工場側がメーカーに忖度や妥協することなく精緻なモノづくりを究めることができるのも<ジ ウォームス クラフツ・マニュファクチャー>の強みである。

財布などの革小物に採用されるコードバンは「コレクティッドグレインコードバン(オリジナルコードバン)」と呼ばれる特注革。着色工程と仕上げで水分が染み込みにくい仕上げをしているため、水に強いというコードバンの弱点を克服している。そのため普段使いでも水染みができにくく、さらには乾燥にも強いためひび割れなどがしにくいという特性も有している。これはタンナーと工房が隣接しているからこそ得られる素材選定と素材開発の最たるものだ。


さらに例を挙げてみよう。コードバン財布の内側にはコードバンではなく、あえてシボ入りのホースハイドを用いている。この点についてブランドは、「内側をコードバンにすることはできるのだが、そのためには革を極薄く梳かねばならない。コードバンには薄く梳くと裂けやすくなるという特性があるため、部位によっては適さないパーツがある。そのため薄くしても安定した強度があるホースハイドを用いている。」と答えている。開け締め時やカード類、小銭などの収納時、内装革が傷つきくことを考慮すれば、傷の目立ちにくいシボ革を採用するのが最適という判断も下せる。一般的なコードバン財布の殆どが内装には牛革か豚革が用いられるのに対し、贅沢に内装まで馬革で製作されることは新喜皮革との関係性の深さが現れているといえる。


ほかにもステッチ位置を内側に攻める際の限界値、折り曲げ箇所の貼り合わせが浮かない「ベタ貼り/イセ込み」の技法、カードスロットの重なり部に厚みを持たせない薄作りや、ファスナースライダー取り付け位置をあえて深くして革を傷めない工夫など、枚挙に暇がないほど職人のこだわりが詰め込まれているのが<ジ・ウォームスクラフツ マニュファクチャー>である。では、実際にそのアイテムをご覧頂こう。


メンズ館のラインナップからおすすめの逸品


●伊勢丹別注カラー、ダークダークネイビー


左から
二つ折りミニ財布 44,000円 商品を見る
ジップコンパクト財布 55,000円 商品を見る
ラウンドミドルケース 36,300円 商品を見る
▢伊勢丹新宿店メンズ館1階 レザーグッズ

別注モデルやコラボモデルをほとんど行うことがない<ジ・ウォームスクラフツ マニュファクチャー>が唯一、コードバンの別注色に応じたのがこの伊勢丹別注色「ダークダークネイビー」だ。2017年の登場以来の人気のアイテムで、今シーズンも二つ折りミニ財布やラウンドジップミニ財布など、電子マネーが普及しつつある現代に則したモデルをリリースしている。エンボス加工で施されたブランドロゴがアイコニックなデザイン。



●名刺入れ

名刺入れ 各29,700円
▢伊勢丹新宿店メンズ館1階 レザーグッズ

マチ付きのケードケースはブランド名とともに「Hand Made In Japan」の刻印が刻まれている。メインポケットは名刺が40〜50枚収納できる大容量。フタ側内装にはマチ無しのアオリポケットがあり、名刺の一時保管や分別収納ができるようになっている。このスロットは角を斜めに落としてあるのだが、これは親指でスマートに取り出しができるようにという職人のこだわりなのだとか。


●3つ折り財布

ミニ三つ折り財布 各49,500円
▢伊勢丹新宿店メンズ館1階 レザーグッズ

ミニ三つ折り財布は今季の新作。外装には継ぎ目ない一枚革のコードバンを贅沢に使い、内装には硬さの異なる2種類のホースハイドを組み合わせている。コードバンは最適な厚みにまで漉くことで、ボリュームを抑えた3つ折りを実現している。単に小さくするのではなく、カードを入れる所作や使い勝手を考慮したベストなサイズ感。紙幣の出し入れにストレスを感じない内部寸法や、コインポケットにマチを付けるなど、使いやすさにはとくにこだわっているのだ。


●ベルト  

左 コードバン ホールカットベルト 41,800円
右 コードバン シームレスベルト 44,000円
▢伊勢丹新宿店メンズ館1階 レザーグッズ

これまでも不定期にリリースされてきたコードバンのベルト。なぜ不定期かといえば革の一本取りにこだわっているため、稀に出現する臀部の両側のみならず、尻尾部分の中央部位にまでコードバン層が含まれる極希少な原皮の出現に合わせて製作されるからだ。生産数が1点もない年もあったというからその希少性が伺える。年間制作本数は全色全サイズ合わせても100本前後、1店舗あたり年間15本程度しか納品されないレアな逸品。このベルトが更に今季からブラッシュアップ。日本最高峰クラスの牛革を製作する栃木レザー社の上質なフルベジタブルタンニンレザーが裏貼りに採用されて登場する。全貼りでステッチのないこの新作ベルトはスーツなどドレスクローズとの相性抜群。日本が誇る名タンナーのコラボが実現した貴重な品である。


●トートバッグ

トートバッグ 165,000円
▢伊勢丹新宿店メンズ館1階 レザーグッズ

こちらのトートバッグはフルベジタブルタンニン鞣しのホースハイド製。耐久性に優れ経年変化しやすいうえに、特殊な仕上げ技法により水濡れにも強いという特性があるため、日常使いしやすいものだ。内装にはクロム鞣しのホースハイドを採用し、ペットボトルや折りたたみ傘を収納しても水濡れが気にならないように配慮されている。ジップポケットをあえて内側をナイロン素材にしたのは、顔料染め革財布が色移りしないように。ハンドルはそれのみを半世紀以上にわたり手がける熟達したハンドル職人が手掛けたもの。古い水道管などや古材などをベースに古からの日本の技術により、純度の高い金属を再抽出して鋳造した金具を採用するなど、各部に強いこだわりが散りばめられている。

►三越伊勢丹オンラインストアで<ジ・ウォームスクラフツ マニュファクチャー>の商品を見る



9月20日(日)からの「ISETANレザー博2023」でオーダー会を開催!

9月20日(水)から開催される「ISETAN レザー博2023」では<ジ ウォームス クラフツ・マニュファクチャー>のコードバン製クラシックバッグのオーダーを受け付ける。メンズ館20周年企画として実現できた、コードバンを贅沢に使用した自分だけのダレスバッグをお作りいただける貴重な機会となる。

イベント情報*イベントは終了しました
<ジ・ウォームスクラフツ マニュファクチャー>コードバン製クラシックバッグオーダー会 
  • 開催期間:9月20日(水)~10月3日(火)
  • 開催場所:伊勢丹新宿店メンズ館 1階プロモーション 

オーダー詳細

  • 価格:715,000円から

  • 型数:3種類 

  • カラー:8色以上 

  • お渡し:2024年12月頃

    *諸般の事情により、予告なく商品の納期遅延やイベント内容の変更、中止が発生する可能性がございます。予めご了承ください。 

【ISETAN レザー博 2023】イベントの詳細はこちら
2023年は「ISETAN靴博」がスケールアップ!靴好き・革好きには堪らない「ISETAN レザー博2023」開幕

 

Text:Yasuyuki Ikeda
Photographer:Tatsuya Ozawa(Studio Mug)

*価格はすべて、税込です。
*本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
*掲載の情報につきましては、諸般の事情により予告なく変更・中止させていただく場合がございます。予めご了承ください。必ず事前にホームページをご確認いただき、ご来店ください。

お問い合わせ
伊勢丹新宿店 メンズ館地下1階 バッグ
電話03-3352-1111 大代表
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