皮革ケアのプロが教えるレザーバッグのお手入れ方法! ナイロン×レザー、スエードなど、鞄の素材別ケアとは?
モノのお手入れを大切にする方が、メンズ館地下1階 紳士靴で新しい靴を買ったらその靴を持って「リペア工房」へ行き、その靴に適したケア用品を一緒に購入するのはよく見られる光景ですが、鞄や財布などの革小物を長持ちさせるためにも同じようにケアが必要です。
本特集では、シューファクトリーやシューズブランドから厚い信頼を受けるシューケアブランド、
<M.MOWBRAY/ Mモゥブレイ>の柴崎祐一さんに、レザー×ナイロン、クロコダイル、スエード・ヌバック、タンニン鞣しの鞄の素材別のケアを解説していただきます。
着こなしを素敵に決めても、バッグが汚れていては大変もったいないものです。購入時のファーストケアからデイリーケアまで学びましょう。
鞄のケアグッズは、靴と同じでOK!
今回は、天然成分を多く配合し、革に負担をかけすぎず、革のパフォーマンスを保つケア用品で多くの靴(革)愛好家から支持を得ているシューケアブランド<M.MOWBRAY/ Mモゥブレイ>のケアグッズを使います。
メンズ館地下1階 紳士靴にある「リペア工房」には、靴にも鞄にも使えるケア用品が多数揃い、鞄のデイリーケアに使える防水スプレーやブラシなどもラインナップ。手入れするほど愛着が沸いてくるのは靴も鞄も同じです。
鞄のケアで使うブラシは2種類。毛先が細い馬毛を使用したブラシはホコリ落としや普段のお手入れに最適で、柔らかい毛質のヤギ毛のブラシは毛の跡がつきにくく、デリケートな素材のケアに適しています。
ナイロン素材のバッグは“購入時の状態をキープする”ことが肝心
【ナイロン×レザーの鞄を購入したら】
「購入したばかりの新品だからケアは必要ない」というのはNG。製造されて手元までの時間があるので、購入したらファーストケアが必要です。
ナイロン×レザーのコンビのバッグを購入したら、まず、馬毛などのブラシでナイロン部分を丁寧にブラッシングして、製造・輸送時などに付いた目に見えないレベルのホコリを払います。次に、水分でシミにならないように、防水スプレー「プロテクターアルファ」を全体にかけます。
革製品はエイジング(経年変化)が楽しめますが、ナイロンは“購入時の状態をキープする”ことが肝心。新品の段階で、防水(撥水)と防汚を目的としたスプレーを使用することで、雨やホコリ、ゴミ、油分などの汚れから鞄を守り、シミを防ぎます。
スプレーは必ず60センチ以上離して噴きかけましょう。まずはカラ噴きをしてから、腕を振るようにして鞄全体に薄くスプレーを噴きかけることがポイントです。
次に、レザー部分に栄養クリームを塗って“保湿”をします。保湿にベストなのが「リッチデリケートクリーム」。天然アボカドオイルを主成分としたソフトレザー用栄養クリームです。ヌメ革や淡い色の革、乾燥しやすく吸い込みが激しい革におすすめです。
もちろん、長く使っていって、「四隅やハンドル部分などにスレが目立ってきたな」と思ったときにも塗ってください。
気を付けたいのが一度にクリームを取る量です。たっぷり取ってしまうとムラになりやすいので、画像のように指先に乗る量だけを取ります。クロスに揉みこんでから指にクロスを巻き付け、革の上を優しくすべらせます。
【デイリーケア】
デイリーケアでは、鞄を使うたびに防水スプレーをかけましょう。使う度毎日行うのが理想ですが、防水効果は一週間ほどあるので、使うたびにかけるのが面倒な人は、週末のケアでも大丈夫です。
クロコダイル製の鞄のケアは“ブラッシングがメイン”
【クロコダイルの鞄を購入したら&デイリーケア】
牛や豚、羊以外の革を総称して「エキゾチックレザー」と呼びます。哺乳類、鳥類、爬虫類など、多種多様な革がありますが、今回はクロコダイルを取り上げます。
鞄をはじめ、財布やキーケース、ベルトなどに使われるクロコダイルですが、仕上げの方法がたくさんあるので、これと決められるクリームなどは一概には言えません。
クロコダイルの基本ケアは、“ブラッシング一択”。ホコリを落とすことに尽きます。使用するブラシは、ヤギ毛を使った「プロ・ゴートブラシ」がおすすめ。ヤギ毛特有の柔らかい毛質は、毛の跡がつきにくく、デリケートな素材に適しています。
スエード・ヌバック製バッグの色あせを防ぐには?
【スエード・ヌバックの鞄を購入したら】
スエードやヌバックなど起毛皮革のケアで一番大切なのは“退色を防ぐ”ことです。経験がある人も多いと思いますが、色移りや色あせを防ぐことが難しい素材なので、ファーストケアがとても肝心。
スエードやヌバックの鞄を購入したら、まずブラッシングして表面の毛並みを整えます。ブラシは、特にヌバック素材と相性が良い馬毛(ホースヘア)を使ったブラシをチョイスしてください。毛先が細い「ワークブラシ馬毛」はホコリ落としや普段のお手入れに最適です。
ブラッシングしたら、スエードやヌバック素材に栄養と柔軟性を与えるスプレー「スエードカラーフレッシュ」を鞄全体にかけます。色あせや汚れを防ぎ、防水効果も与えるので、長持ちさせるためには欠かせないケアです。スプレーのかけ方はナイロン×レザー編でも触れたように、ムラにならないよう少し離れたところから、腕を振るように、カバン全体にかけるのがポイントです。
【デイリーケア】
バッグなどの革製品に使用される起毛皮革は柔らかい革が多いので、使って帰宅したら全体をブラッシングしてホコリを落とします。さらにスエードカラーフレッシュを吹きかけてお手入れは完了。鞄を使用するたびにお手入れをすると、褪色を防いで、きれいな状態を保つことができます。
タンニン鞣しならではのエイジングを楽しむために栄養クリームが不可欠
【タンニン鞣しの鞄を購入したら】
革を鞣すのに、植物の樹脂や幹、葉、実などに含まれるタンニンを使用するのがタンニン鞣し。エイジングが楽しめるベジタブルタンニンレザーの鞄を購入したら、ファーストケアとして、まずブラッシングをしてホコリなどを払います。ブラッシングをしたら、革の“保湿”を目的に、「リッチデリケートクリーム」を使います。
タンニン鞣しの風合いを活かすのがリッチデリケートクリームですが、塗り方にコツが必要。布にクリームを少し取って、布に馴染ませ、鞄の目立たないところで一度試してください。シミにならないようなら、全体に薄く塗り伸ばして、塗り込んだら柔らかい布で乾拭きしてください。
クリームを試す箇所は、バッグの底や、小さなパーツ部分がおすすめです。
【デイリーケア】
一般的にタンニン鞣しのレザーは、使用していくと徐々に色が濃くなりつやが出てきますが、まったくケアをしないと、黒ずみが激しくなり、革の表面が割れるなどトラブルが起きることがあります。
タンニン鞣しならではのエイジングを楽しむために、たとえば週末に革靴のケアをするときにリッチデリケートクリームを塗ることを習慣にすると、革の表情が優しく変化していきます。
関連する特集:
皮革のプロに聞いた、長く使うための鞄(レザーバッグ)のお手入れ
春に向けたビジネスバッグの大定番9選! ブリーフケース、バックパック、トートバッグのベストセラーをご紹介!
Text:Makoto Kajii
Photo:Tatsuya Ozawa
*価格はすべて、税込です。
*本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
*三越伊勢丹リモートショッピングはこちら
お問い合わせ
伊勢丹新宿店 メンズ館地下1階 バッグ&ラゲッジ
電話03-3352-1111 大代表
メールでのお問い合わせはこちら