【インタビュー】「DDAA LAB」ポップアップ 建築家・元木大輔氏の仕事術。~ゲスト・アーティスト 長場雄氏~
- 01.11 Wed -01.24 Tue
- 伊勢丹新宿店 メンズ館1階 プロモーション
「DDAA / DDAA LAB」という建築・デザイン事務所をご存知だろうか? 昨年のホットトピックのひとつである<Hender Scheme/エンダースキーマ>の大阪店「スキマ 大阪」のインテリアデザインや、今回のポップアップの目玉でもあるブランド<everyone/エブリワン>の新店舗へ家具の提供なども手がけている。アルヴァ・アアルトの名作「Stool 60」を改変した100パターンのスツールが、京都市京セラ美術館にて展示されるなど、近年の活躍は枚挙にいとまがない。アーティスト・長場雄氏とのコラボレーションも話題になった。
その「DDAA / DDAA LAB」代表を務めるのが元木大輔氏である。今回はメンズ館でのポップアップを目前に控えた彼にインタビューを敢行。そして、後半ではスペシャルゲストとして長場雄氏も登場(!)。これまでの仕事内容から、今回のポップアップについてまで、ざっくばらんに話を聞いた。
「DDAA LAB」と元木大輔氏の哲学
――まずは、「DDAA LAB」の取り組みについて。これまでの遍歴について教えてください。元木 いわゆるクライアントワーク、プロジェクトの依頼をいただいて、それに対してデザインなりアイディアを提供するというのが「DDAA」という建築・デザイン事務所です。もうひとつ「DDAA LAB」という組織も運営していて、こちらでは、クライアントワークではなくて、もう少し自分たち発信といいますか、僕たちが主体的に発信していくリサーチやプロトタイピングのプロジェクトを行なっています。
――今年は<Hender Scheme/エンダースキーマ>のスキマ 大阪も話題になりました。
元木 これは「DDAA」としての仕事なのですが、蔵前にあるオフィス・ショールームのインテリアデザインも手がけたり、彼らの運営するギャラリー「隙間」で展示をするなど、ここ数年の<Hender Scheme/エンダースキーマ>とのつながりは多いですね。スキマ 大阪については、関西初の直営店にふさわしい良い物件が見つかったということで依頼をいただきました。
――古い木造平屋を「加装」したという内装もユニークですね。
元木 既存の状態がとても良かったので、壁、天井はほぼそのままの状態で残しています。その上で既存の壁に対して、新たなレイヤーを上書きするように、プロダクトのための白い什器を取り付けています。これは、<Hender Scheme/エンダースキーマ>のものづくりの方法論を空間的に解釈した作り方にもなっています。名作スニーカーの形をそのままにレザーで表現したり、<THE NORTH FACE/ザ・ノース・フェイス>とのコラボレーションでも既存のバッグはそのままにレザーのハンドルを加える、といったアプローチのように、既存の状態に新しい価値や視点を提示するようなデザインです。
白い什器は均質な質感ではなく、近づいて見るとニュアンスがある白が良いと考え、砂をまぜてとろとろにした樹脂で仕上げています。釉薬のような質感で、一部がフチからつららのように垂れています。
「DDAA LAB」×<Hender Scheme/エンダースキーマ>
――今回のポップアップではどのようなアイテムが並びますか。
元木 釘や接着剤などを用いず、アクリル板と運搬用の荷締めベルトだけで組み合わせたベルトファニチャーというシリーズがあるのですが、そのベルト部分を<Hender Scheme/エンダースキーマ>のプロダクトを使用したサイドテーブルとシェルフをデザインしています。
――ベルトファニチャーも元木さんの代表作のひとつですよね。
元木 僕たちが手がけたデザインは接合部や継ぎ目が特徴的に出ているものが多いんです。このシリーズもそのひとつで、透明な素材とそれをつなぎとめるパーツだけの組合せとすることで、接合の仕方だけが象徴的に見えてきます。
「DDAA LAB」×<everyone/エブリワン>
――本ポップアップでは元<1LDK>の三好良さんが手がけるブランド<everyone/エブリワン>もお披露目となります。
元木 昨年<everyone/エブリワン>のお店ができたのですが、インテリアに僕たちでデザインしたいくつかの家具を使用して頂いています。今回のポップアップでは、<everyone/エブリワン>のスウェットのためのプロダクトを考えました。
ひとつは畳んだサイズにピッタリな大きさになっている引出しがひとつだけのスウェットのためのタンスです。もうひとつは、楽器のトライアングルのような形をしているハンガーで、家具としてもオブジェとしても機能します。使っていない時はレリーフのように飾っておくこともできますし、もちろんハンガーとして使うこともできます。
►<everyone>1月11日(水)の販売方法に関して
アーティスト・長場雄さんを交えて
――長場さんとの取り組みもとても楽しみです。元木 長場さんとはかれこれ10年ほどの付き合いになりますね。個展の会場デザインを担当したり、オブジェを作ったりと、一緒にお仕事をすることも多いですね。
――長場さんは元木さんとどのように知り合ったのですか?
長場 元々共通の知人を介して知り合ったのですが、家の内装を元木さんが以前勤めていた建築事務所にお願いしていたりと、なんだかんだで長い付き合いです。展示では3回お世話になっています。絵画は2次元の表現なので、それを3次元的、空間でどう見せたら面白いかと試行錯誤していたところもあり、元木さんにいろいろと手伝ってもらいました。
――ヒトと同じくらいのサイズのパネルを置いたりと、とても面白い試みもありました。
長場 取り壊しの決まった雑居ビルという特殊な場所での展示でしたのでお客さんに絵だけを見るのではなく空間をもっと意識してもらえるような仕掛けを元木さんと一緒に考えました。等身大の人物が描かれたパネルとミラーを空間に置き鑑賞者が歩いたり立ち止まったりすることで僕の作品とミラーに写り込んだ鑑賞者が混ざりあうような演出にしました。開催期間は3日間と短い期間でしたがたくさんの方にお越しいただけました。
「DDAA LAB」×長場雄氏
――ポップアップではネオンのオブジェが登場するとお聞きしています。
元木 これは実はル・コルビジェの作品のオマージュになっています。コルビジェの家具作品はLC14というようにLC(ル・コルビジェのイニシャル)のアルファベット+数字という名前がついていて、14番はシンプルな箱なんです。長場さんとも、箱のような家具のようなアートのような、どちらともとれる曖昧な存在が良いよね、という話しをしながら考えました。
箱の寸法体系はコルビジェの提唱していたモデュロールを使い、その中に長場さんのアートワークを表現したネオンを入れたアクリルの箱を作りました。
長場 LC14オマージュに落ち着くまではドナルドジャッドもアイデアの一つとして上がりました。ドナルド・ジャッドはアート作品と並行して家具も作られていて、家具の場合は何かしら機能があるのですがアートになると機能を取り除いた物体になっています。そんな作品を元木さんと一緒に作れたら面白いなと思いました。
――「DDAA LAB」の本ポップアップでは、長場氏、<Hender Scheme/エンダースキーマ>、<everyone/エブリワン>と、コラボレーションが盛りだくさんなのですが、<ARTEK/アルテック>のスツールも見逃せません。
元木 これは、アルヴァ・アアルトがデザインした名作「Stool 60」という極めてシンプルなスツールをベースに、ちょっと便利で多様な機能を簡単につけ加えるというプロジェクトです。もともとはあるスタートアップコミュニティーのためのスペース用に考えたアイデアでした。そこは少し変わった場所で、ある日はワークショップ、ある日はミーティング、またある日は大勢が集まりレクチャーをしている、という風に、毎日求められる機能が変わる場所でした。毎日求められる形が変わってしまうので、シンプルなスツールに必要な機能を追加できるシステムを考えました。そのスペースのために10ほどのアイデアを考えたのですが、これはもっと続けると面白いかも、と思い最終的に331のアイデアを出し、そのうちの100案を実際に製作して、インスタグラムで1日1個発表する、ということをしたんです。それがきっかけで国内の美術館で展示をしたり色々な場所でお披露目したのですが、2023年はヨーロッパとアジアを巡回する予定です。
――メンズ館にも馴染みのある方々が絡んでいて、本当に内容が盛りだくさんです。非常に豪華なポップアップになりますね。
百貨店ということでレギュレーションももちろんいろいろとあったのですが、それも含めて楽しみながら空間作りができたかなと思っています。みんながよく知っている場所ですからね、それを逆手に取る感じで今後も面白いことができればなと。まずは今回のポップアップを楽しんでいただけたらと思います。
- 開催期間:2023年1月11日(水)~1月24日(火)
- 開催場所:伊勢丹新宿店 メンズ館1階 プロモーション
■伊勢丹新宿店 メンズ館1階 プロモーション
・<everyone>をご購入希望のお客さまは、メンズ館1階 コスメティクス/イソップ横階段までお越しください。午前10時5分より、入場の順番を決める抽選を行います。(抽選の時間に遅れた場合は、いかなる理由があっても抽選には参加いただけません)
・ご購入希望者多数の場合は、お越しいただいてもご希望の商品をご購入いただけない可能性がございます。
・抽選は入場の順番を決めるためのものであり、商品の購入を確約するものではございません。ご了承くださいませ。
Text:Ryuta Morishita
Photograph:Tatsuya Ozawa
*画像内のアイテムや模型は、イメージです。
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伊勢丹新宿店 メンズ館1階 プロモーション
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