話題の「N.HOOLYWOOD REBEL FABRIC BY UNDERCOVER」第2弾が、いよいよ登場!|デザイナー尾花氏が語る、そのコレクションに込められた思いとは。
<N.ハリウッド>の最新デザインと、<アンダーカバー>の過去コレクションから忠実に再現されたオリジナルファブリックとを融合させた、スペシャルなカプセルコレクション「N.HOOLYWOOD REBEL FABRIC BY UNDERCOVER」。その第2弾となる最新シリーズが、9/15から伊勢丹新宿店メンズ館と三越伊勢丹オンラインストアでの先行発売を開始する。尾花大輔と高橋盾という、日本を代表する「弟兄」の関係性なくして実現し得ないこのプロジェクト、そして今季の“レベル カモ”ファブリックに込められた思いを、<N.ハリウッド>のデザイナーである尾花氏に訊いた。
想いを受け止めていただいた”究極のリプロダクション”
「N.HOOLYWOOD REBEL FABRIC BY UNDERCOVER」が初披露されたのは、ニューヨークで発表された<N.ハリウッド>の2020年春夏コレクション(2019年6月に発表)。尾花氏自身が英国のロンドンやスコットランドのエディンバラなどを旅し、その道中で得たさまざまなインスピレーションを表現。「先人たちが格式高い英国のマナーやルールから生まれたトラディショナルウェアのあり方を崩して、変化させてきた要素を着想源とし現代的にブラッシュアップした」というコレクションにおいて、その冒頭を飾り、コレクションの印象を決定づけたといっても過言ではない、極めて重要なピースたちであった。
トレンチコートやチェスターフィールドコート、テーラードジャケット、トラウザーズなどの”ブラッシュアップ”されたベーシックアイテムばかりで構成されたこのカプセルコレクションに使用されていたのは、<アンダーカバー>が2018年秋冬に使ったというタータンチェック生地をリプロダクトしたもの。ファブリックタグも、高橋盾が特別にデザインしたものだ。
「ジョニオ(高橋盾)さんとは、2008年に(スタイリストの野口)強さんの号令でとあるセレクトショップを立ち上げることになり自分にも招集がかかって、その際に初めてお会いしました。私にとってはデザイナーとしての大先輩でありレジェンドでもあるのですが、自分は”裏原”全盛期に古着の世界にどっぷりと浸かっていたので、とても遠い世界の遠すぎる存在だと思っていたんです。でも初対面からいまも変わらず、常に本音で、裸でゆっくり話しかけてくれる、独特な優しさをもった人でした。ここではとても語り尽くせませんが……我々のなかでは、ジョニオさんが次男で、僕が末っ子といった感じの関係ですね(笑)」
アーカイブ、ファブリック、そして“レベル(反逆)”な精神。このようなものづくりの根幹部分でつながったコラボレーションは、一朝一夕のビジネス優先関係では実現できない。お互いのクリエーションに対する理解と信頼がなければ、到底不可能だ。
「両者が必要としている要素が、しっかり意味を持った形で証明できるコラボレーションが自分は好きです。『N.HOOLYWOOD REBEL FABRIC BY UNDERCOVER』は、<アンダーカバー>の歴史のなかにあるマテリアルをできる限り当時のままに再現し、<N.ハリウッド>のフィルター(デザイン)を通して新たな表現として発表するカプセルコレクション。だから“コラボレーション”というよりも、私の想いをジョニオさんに受け止めていただき、新たな形式で表現させていただいた”究極のリプロダクション”と言った方が正しいかもしれませんね」
withコロナ時代のものづくりを加速させる、全方位的信頼関係
「N.HOOLYWOOD REBEL FABRIC BY UNDERCOVER」が誕生するきっかけとして、「<N.ハリウッド>の2020年春夏で、自分が培ってきた要素が少ない”英国”にあえてフォーカスしたことが、すべての始まりだった」と語る、尾花氏。「クリエーションを模索しているなかで、どうしてもタータンチェックを斬新な色味やパターンで表現することができずに悩んでいたとき、英国カルチャーに深く精通しているジョニオさんにアドバイスをいただけないかと考え、連絡を取らせていただいたんです。もし過去のタータンチェックのファブリックの残反(余剰品)が少しでもあれば、それを再利用したスペシャルピースを自分のデザインで作らせてほしい、という思いからでした。しかし残反がほとんどなかったこともあり、だったらむしろ『完全復刻のファブリックを作らせてください』とお願いすることに。その話が膨らんで、『N.HOOLYWOOD REBEL FABRIC BY UNDERCOVER』というプロジェクトとして形にすることができました」
両者の信頼関係あればこそ、このプロジェクトは対面でのミーティングは一切行わず、すべてリモートコミュニケーションによって進められたのだという。今多くの人がかかえている物理的な障害が生まれる前の時期でありながら、だ。
「電話とショートメールのみで、ここまでのカプセルコレクションをつくり上げることができました(笑)。ある意味、このパンデミックの時代を予感させるようなスタイルで進められたクリエーションだといえると思います。自分が言うのもなんですが、全方位的に信頼をしていただいている証拠なのではないかと思いますね」
”歴史”を通して、記憶に刻み、何かを感じ取ってもらいたい
「<N.ハリウッド>はコロナ禍のなかでランウェイショーの発表を行わなくなったことで、表現のあり方や考え方を大きく変えました。そしてテーマ性よりも意外性を強く意識した結果、この『N.HOOLYWOOD REBEL FABRIC BY UNDERCOVER』というプロダクトに至ったんです。そして第2弾となる今回は、<アンダーカバー>の歴史を振り返ってみても非常に重要な、1996年春夏シーズンのカモフラージュ柄をピックアップさせていただきました」英国的かつ伝統的なチェック柄にカモフラージュを重ねたファブリックは、いま見ても新鮮。否、<N.ハリウッド>のデザインと融合することで、いまでこそ新鮮かつパワフル、そしてキャッチーなものとなっている。
「ジョニオさんと話を進める過程で、ファブリックネームである『REBEL CAMO』をテキスタイルパターンのなかに潜り込ませるというアイデアを採用しました。そこが、オリジナルのアーカイブからアップデートされている最大のポイントですね。ただし、ファブリックそのものは、当時の貴重なオリジナルをオークションで手に入れて解体し、その組成までしっかり研究したうえで忠実に再現しています。そして今回も、ご本人とオフラインで一度もお会いすることなく制作しました(笑)」
ファッションは、常に新しい美意識と価値観を提示してきた。過去の優れたテキスタイルを掘り起こし、新たな見せ方でその本質的価値に再び光を当てることは、いまという時代に則したものだといえるだろう。まさに温故知新──歴史的な遺産の再生による「N.HOOLYWOOD REBEL FABRIC BY UNDERCOVER」という取り組みは、新たな驚きとワクワクを、我々に与えてくれる。
「同じファブリックを使ったとしても、デザインが変わればまったく異なるものになるのは当然のことです。しかしだからこそ、自分とジョニオさんによる化学反応を引き起こし、表現してみたかったというのがこのプロジェクトを始めた最大の理由です。<アンダーカバー>のデビューから数えて10年後、<N.ハリウッド>はデビューしました。『REBEL CAMO』のような後世に伝えていきたいテキスタイルを、当時オリジナルを手にしていた人にも、エヌハリ好きな人にも、若いニュージェネレーションにも届けたい。とにかくいろんな人が、その歴史を通して、記憶に刻み、何かを感じ取ってもらえたらうれしいです」
気になるのは今後の「N.HOOLYWOOD REBEL FABRIC BY UNDERCOVER」の展開だが、尾花は「まったくのノープラン」だと教えてくれた。
「今後の展望とかは、まったく考えていませんね。展望が先走った瞬間、このプロジェクトの深みがなくなってしまいそうな気がするので」
最後に、尾花大輔が”兄”と慕う盟友・高橋盾氏から送られた言葉を紹介しよう。
「彼の常に温厚でフラットな人柄に、いつも癒されます。クリエイションに関しても、その素性が表れていると感じますね。コラボレーションというのは、自社だけでは辿り着けない別ベクトルのクリエーション。そして互いへのリスペクト。この2点が鍵となります。これからも、これまで通り独自のスタンスでクリエーションを続けてください」(高橋盾)
Text:Junya Hasegawa(america)
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