【解説】フォーマルウエア専門スタッフが伝授!お葬式の参列にふさわしい男性の服装とマナー
急にお通夜や葬儀に参列することになって「どんな格好をすればいいか分からない!」と困ったことありませんか?参列では礼節を大切にし、粗相がないようきちんとしたマナーで故人をお見送りしたいもの。
そもそもお通夜と葬儀/告別式の服装は何が違うの?仕事の後に参列の予定だけど、どんな服装をすれば良いのか、今回は伊勢丹新宿店メンズ館5階のフォーマルウエア専門スタッフがいざという時に慌てないために、お通夜や葬儀/告別式に参列する際の服装やマナーを解説します。
Ⅰ.どんな時に着ればいい?正しい喪服の選び方
「喪服」には「正喪服」、「準喪服」、「略喪服」の3種類があり、立場や状況に応じて着る服装が変わります。左から:正喪服(モーニングコート)・準喪服(ブラックスーツ)・略喪服(ダークスーツ)
「正喪服」はモーニングコートとも呼ばれ、格式が最も高く正式な装いで、主に喪主や、参列の場合は社葬などで特別な立場の人が葬儀の時に着ます。「準喪服」とは、正喪服に準じた装いのことで、様々な場面で着用できる一般的な喪服のこと。また、状況により「準喪服」を着ていくのが難しい場合はより日常着に近い「略喪服」を着用する事もあります。「準喪服」をブラックスーツ、「略喪服」をダークスーツと呼びます。
では、ここからは参列の際の一般的な服装となるブラックスーツ・ダークスーツをクローズアップし、その違いや実際に装う時のマナーや注意点等詳しく解説していきましょう。
Ⅱ.お通夜と葬儀/告別式の参列時の装い。何を着ていけばいいの?
【お通夜】の服装
昔は、お通夜は「事前に亡くなることを予期していた」と受け取られないようダークスーツが主流でしたが、最近では亡くなられてからお通夜までの日程に余裕があることが多いため、ブラックスーツで参列される場合も多く見られるようになりました。もちろんダークスーツの装いも依然としていらっしゃるので、状況に応じてお召しになるのが良いでしょう。
【葬儀/告別式】の服装
一般的に参列者の服装はブラックスーツとされていますが、周囲の参列者と合わせたりと状況に応じてダークスーツを着る方もいます。
Ⅲ.ブラックスーツ・ダークスーツの特徴とNG例
ここではそれぞれのスーツについてその特徴を解説していきます。
1.ブラックスーツ
フォーマル用の黒無地のスーツです。シルクのような光沢のある素材は避けて上品なものを選びましょう。濃染加工されたより深い黒の生地がおすすめです。上着は、シングルとダブルどちらとも可。共生地のスラックスの裾は必ずシングルであること。中にベストを着る場合は、一般的に共生地、ない場合は黒無地を選びます。
もともと屋内用としてのデザインから、後ろに切れ目のないノーベント仕様がブラックスーツの特徴です。
NG:喪服はフラップなしが基本。フラップ付の仕様はポケットに入れることがマナーとされています。
2.ダークスーツ
黒に近い濃い色の無地のスーツ。仕事先からの参列などは、日中はダークスーツと白無地シャツで、参列前に喪服用のネクタイに締め変えれば、「略喪服」になります。
生地は光沢のない、チャコールグレーや濃紺を選びましょう。
【NG】織り柄やストライプなど、地味でもデザインのある生地。
Ⅳ.スーツに合わせる主なアイテム。何が正解?
それぞれのスーツに合わせる基本的なアイテムを解説していきます。3.シャツ
ブラックスーツ、ダークスーツ共に、喪服に合わせるシャツは艶の無い白無地のレギュラーカラーが一般的です。ボタンの隠れるフォーマル専用のシャツはもちろん、白無地であればビジネス用でも可能です。袖口はブラックスーツならシングル・ダブルカフスとも可、ダークスーツならシングルカフスを選びましょう。
【NG】ウイングカラー(画像左)や、カジュアルに見えるボタンダウン(画像右)は避けましょう。
4.カフス
ブラックスーツの装いでダブルカフスのシャツを選んだ際に合わせるカフスは、黒を基調とした石、一般的にオニキス・黒蝶貝が主流。金属の台はつや消しシルバーのものを選びましょう。
NG:黒を基調としないビジネス用のカフス
5.ネクタイ
ネクタイは黒の無地(無地朱子)が基本です。織り柄は細かい物なら大丈夫。
【NG】黒いネクタイでも柄が大きく目立つものは避けます。あくまでもシンプルなものを選びましょう。
6.靴
黒のカーフレザーの先端部に直線が1本入っているストレートチップの内羽根式タイプが基本。同じく内羽根式のプレーントゥを合わせても構いません。
NG:スウェードやエナメルなどの素材。また、ロングノーズの角張っているものや、ブーツや飾りがついているデザインもNGです。
7.靴下
平織のの薄地の黒無地。長さはロング、すね丈と状況に応じて履きましょう。
NG:織り柄や、小さな柄が入っているもの。くるぶしまでのショート丈や厚地のタイプは避けましょう。
8.ベルト
シンプルな黒無地のレザーベルト。カジュアルなベルトはNG。
9.肌着
肌着は装いをスッキリ見せる薄手のシームレスタイプがおすすめ。防寒にはセーターなどのニットは避けて保温素材の肌着で対策を。
10.コート
黒無地のウールやカシミヤ素材の膝丈位のチェスターフィールドコートが基本。濃紺やチャコールグレーでも大丈夫。あくまでも黒に近い濃い色で。
【NG】レザーやナイロン素材、また、ダウンコートやカジュアル系のデザインはNG。ベージュなどの明るい色は避けましょう。
Ⅴ.その他必要な持ち物は?
服装以外にも、様々な持ち物があります。とっさに慌てる事のないよう確認しておきましょう。11.袱紗(ふくさ)
購入時のビニール袋やバッグから直接取り出したりはマナー違反です。お悔やみの気持ちを込めてきちんと袱紗(ふくさ)に包んで持参しましょう。包むタイプのものと、2つ折りタイプのものがあります。包むタイプは慶弔によって包み方が異なるので注意が必要。
12.数珠
仏式の葬儀に参列する際に数珠を持参することは敬意を表すと言われています。ガラス製や檀(たん)、オニキスなど素材も様々。自分にあった数珠を選びましょう。
13.ハンカチ
シンプルな無地の白いハンカチが一般的とされています。
14.バッグ
基本的にはバッグは持たない方が望ましいですが、持つなら最低限のものがはいるクラッチバッグやセカンドバッグなどのコンパクトなものを。素材はシンプルなレザーを選びましょう。
Ⅵ.こんな時はどうしたらいい?お問い合わせの多いQ&A
喪服に関するよくあるご質問例をご紹介します。
Q: チーフやアクセサリーは付けていいの?
A:アクセサリーはもちろんネクタイピンや胸ポケットのチーフは身に着けなくて良いとされています。時計を付ける場合は黒のレザーベルトに薄い文字盤のシンプルなものを選びましょう。
Q:法要に参列します。何を着ていけばいいの?
A:三回忌までは、故人が亡くなってから日が浅い法要となるのでブラックスーツを着ていきましょう。七回忌以降はダークスーツも可能です。
Q:喪主から案内に「平服で」と指定がありました。何を着て行けばいいの?
A:「平服」とはダークスーツの事です。お通夜や、葬儀/告別式の他に、法要等で指定されることがあります。平服指定の案内があった時や七回忌以降の法要にブラックスーツを着ていきたい時は、施主の服装を事前に確認し、施主より格上の服装にならないよう注意が必要です。
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