靴との付き合いをより楽しむための〈リッシュ〉のリペア|ISETAN靴博2020
サステイナブルな消費が求められる中で、見直される「修理」。〈RESH./リッシュ〉ではそこに「カスタマイズ」という価値を見出す。
修理を超えた、カスタマイズを実現する。
2008年の創業以来成長を遂げて、現在では首都圏、東海、関西、韓国、タイなど各地域で靴修理店を展開している〈リッシュ〉。今回の靴博では、同社が独自に取り組んでいる部材やパーツなどによるリペアを紹介する。
「まずご紹介したいのは、ヴィブラム社製の『メガグリップ』ラバーピースです。この配合でのハーフラバーはこれまでなかったと思います」こう語るのは、イセタンメンズで修理部門を担当する〈リッシュ〉の山田和弘氏。
別ページでも取り上げているヴィブラム社は、ゴムの配合で各種の機能を実現するソールをつくっている。今回〈リッシュ〉限定で展開するのは、防滑性に優れた「メガグリップ」の配合でつくられたハーフラバーピース。会場では「メガグリップ」の機能が体感できるデモンストレーションも用意されている。
「ふたつ目は、これもヴィブラム社との取り組みによるスニーカーのソール交換です。今回の靴博だけのカラーオーダーもご用意しています。3つ目は、オリジナルで製作しているソールのトウ部につける『Eterno(エテルノ)』スチールの新モデルです。今回はゴールドカラーのメッキを施したものを用意しました」
どちらかというと日陰者のイメージだったトウスチールを個性とする斬新な色づかいに驚かされる。早速実際に靴につける工程を実演していただいた。こうした取り組みは、もはや修理というより、靴に新たな魅力を盛り込むカスタマイズといえるだろう。
オリジナルトウスチールに込められた職人性とノウハウを解題する。
1.ゴージャスな印象のトウスチール。
RESH.オリジナルでイセタンメンズ限定のトウスチールパーツ『Eterno.イセタンメンズ』。従来は奥のものしかなかったが、今回新たに、より馴染み深い手前のデザインが登場した。ゴールドカラーのメッキはなかなかの迫力だ。
2.ビスもオリジナルパーツで。
トウスチールを固定するビスもオリジナルで、ゴールドカラーも用意されている。装着した際に頭が出ず、削れにくいようビスのヘッドは小さく設計されている。スチールが減った際にも取り外しがしやすい。
3.ソールを活かしながら、パーツを装着。
トウスチールはソールのつま先部を削って装着するが、その際に出し縫いの糸を削ることになる。ダメージを最低限にしながら、凹凸少なくスチールを装着するのは、修理職人の腕にかかっている。
4.スチールパーツをビスで固定。
先に紹介したビスでスチールパーツを固定する。ヘッドが小さいためビスは深く入る。ちなみに今回はラウンドトウの靴のため大きめのパーツを使用、もうひとまわり小さなパーツも展開している。
5.ソール周辺、コバ部分の着色。
スチール周りの形状をヤスリで削って整えた後、スチール部は油性のインキ、レザー部分はコバインキで着色。ゴールドカラーはメッキのため、削られたスチール側面は従来のグレイな鉄の色になっている。
6.トウスチールパーツ装着完了。
装着されたゴールドカラーのトウスチールは実に個性的。底面が見えた際の周囲の反応も楽しみだ。もちろん剛性などは十分で、トウ部分の補強という役割はしっかりと果たしてくれる。「Eterno」¥4,200