生まれも育ちも鵠沼というbaanaiさん。最近は週1~2回くらいのペースでサーフィンに興じているそう。一度入ってしまうと没頭してしまってキリがないので1回2時間までと、自身の中でルールを設定しつつ。第2章は、そんなbaanaiさんの大好きな鵠沼の海岸で今回の個展に関するお話しを中心にうかがった。
今回作品に取り入れたタギングスタイルは偶然の発見から
ーー伊勢丹新宿店メンズ館リモデル1周年での2回目の展示、率直な感想をうかがった。
「実は僕自身、今回が今年最初の個展になるのですごく楽しみですし、前回も伊勢丹さんから始まったのですごくありがたいです。去年はイベントのこけら落としで呼んでいただき、また今年は2020年の1発目、しかも1周年という記念のタイミングで呼んでいただいて本当に嬉しいです。去年の今頃は、また同じくらいの時期に同じ場所で個展を開催できるとは思っていませんでしたから」
ーー前回の展示「“inaiinaibaanai”」では、『ARIGATOU GOZAIMASU』という文字の連続性に加えて、文字と色の重層性による新たな世界感を表現。今回の展示のコンセプトはどうなのだろうか。
「『タギング(いわゆるスプレーなどで描かれた”落書き”のこと)』を用いたシリーズで全部お見せしようと思っています。あと前回は館内がリニューアル工事をしていた関係で、本番直前まで会場の様子がわからなくて全くイメージがつかめないまま始まったのですが、今回は去年もやらせていただいていますし、空間状況もしっかりと把握しているので、そういう部分では去年よりやりやすいかなって思います」
ーー今回『タギングスタイル』を用いることになったきっかけは、偶然の成り行きだったそう。
「昨年末に、たまたま昔買っておいた液体のアクリル絵具をちょっと試したんですけど、これがいつも使う絵具よりも垂れやすかったんですね。そうしたら、文字の重なりが毛細血管みたいになって、それがすごく面白いなって思ったんです」
ーーそして、今回の展示作品のもう一つの特徴は「重層性」。
「見えなくなってしまっているんですけど、全ての作品の最下層部分には、実は「ARIGATOU GOZAIMASU」の文字が埋め尽くされているんです。展示では、その言葉への思いを内在するものと顕在するものとして、また、目に見えるものと見えないもので成り立つこの世界や宇宙の原理を、自分なりに表現しています」
ーーもし来年も個展を開催するとなれば、また違った形になっている可能性が高いという。
「『ARIGATOU GOZAIMASU』を描き続ける事は変えないと思いますが、ずっと同じテイストの作品ばかりだとつまらないですし、アーティストとして何の進化もないと思うので、新たなものを、またかっこいいものを、深いものを作りたいとはずっと常に思っています」
ーー今後、アーティストとしてどんなヴィジョンを描いているのだろうか。
「すごく先の話なのですが、それこそ100年後、200年後もずっと残っているアート作品を作りたいです。アーティストとして、それくらい素晴らしいものを作りたいっていう思いが一つ。あとは、これは自分個人のヴィジョンとは関係ないかもしれないですが、ずっと健気に一人で一生懸命頑張っている人が報われる世の中であって欲しいので、自分はそうやって頑張りたい」
Text:Kei Osawa
Photo:Hideyuki Seta
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