2019.11.25 update

<Random Identities/ランダム アイデンティティーズ>|トレンドやジェンダーにとらわれない新たなアイデンティティを表現する

錚々たるメゾンのデザイナーを歴任してきた、ステファノ・ピラーティ(Stefano Pilati)氏が手掛ける自身のブランド<ランダム アイデンティティーズ>が、メンズ館2階=メンズクリエーターズにて展開をスタートさせた。

 

 

2017年、デジタル時代に相応しく、Instagramにティザー画像を公開し、その存在を初めて明らかにした<ランダム アイデンティティーズ>。

ブランドに付けられた「Random」は実存の無作為な有り方を、「Identities」はその無作為性に対する反応を意味しており、トレンドではなく、個性や機能、品質、デザインに自身のアイデンティティを見出せる、ジェンダーにとらわれない新たなスタイルを表現し続けている。

ピラーティ氏は語る。

―――新世代のデザイナーたちは、アマチュアであることを誇りにしている。自分たちが社会全般に及ぼしているダメージを理解していない。

今現在、僕がファッション業界の体制に対して腹を立てているのは、ファッションの技術や技能が手法を伴わないアイデアの応用と化した事だ。出来合いのフォーマットになってしまった。製品を買って、着て、動向を見てさえいればファッションに関して一家言を持てると誰もが勘違いしている。ファッションが辿ってきた歴史や独自のスタイルに関する理解や経験がなくてもお構いなしだ。

僕のブランドは、洗練された趣味とスタイルを見分ける僕自身の感受性を表現することが目的だ。「シックは売れない」という言葉は何度も耳にしているが、たとえ売れなくても、僕は断固としてシックを主張する。―――


 

90年代から一流メゾンでデザイナーを歴任してきたピラーティ氏だが、そこで培ってきた経験によって生み出されるアイテムは、テーラリング、デザイン、シルエットや品質にいたるまで随所に拘りが感じられるもの。トレンチコートやポロシャツ、バギーパンツなど、一見するとシックなアイテムも、洗練された精密なカッティングによって、他とは一線を画するスタイルを作り上げる。

時代を先取りしたビジョンで、ファッション界に影響をもたらす新鋭ブランドに、この冬、ぜひご注目いただきたい。



Text:ISETAN MEN‘S net

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