【第10回】<Nigel Cabourn/ナイジェル・ケーボン>|流行に左右されない、不変的な美しさを求めて
ナイジェル・ケーボン氏がつくるアイテムには、ストーリーがある。例えば「マロリージャケット」は、1953年のヒマラヤ登山隊が着用していたアイテムから着想を得ている。
「服づくりをはじめてすぐに、ビンテージウエアにのめり込みました。ミリタリーやアウトドアのアイテムは、すべてのディテイルに意味があるんです。それこそ生死にかかわる場合もありますからね」
所有するビンテージウエアは4000着ほど。膨大な数のサンプルが彼のクリエーションを支えている。
「先人たちが求めた機能的な側面を伝えていくのも、重要な役目だと思っています。それは生地も然りで、母国英国が誇るツイード素材もブランドの大事な要素のひとつです」
持続可能な服づくりのみならず、その文化的な継承もまた、次代に伝えていくべき大きな“遺産”だ。今季のカタログも200ページを超えるボリュームで、アイテムひとつひとつに出自などの説明が加えられている。
「今季はオレンジや青などの派手な色も使っています。これは空母で働く工員のための作業着が着想源ですが、明るい色の服は気分を上げてくれます。流行とは関係なく、それでいて楽しんで着られるような服づくりを続けていければと思っています」
Photo&Text:ISETAN MEN‘S net
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