【Amvaiコラボ企画】名著から紐解く達人のファッション考vol.2|小林 学のモノ作りを示す2冊の本の間に流れるもの・後編(1/2)
テーマは、「名著から紐解く達人のファッション考」。なぜその本が刺さったのかという答えから、デザイナーたちの現在・過去・未来を紐解く。
前編に引き続き、<AUBERGE/オーベルジュ>のデザイナー小林さんを形成した2つの要素を表す本『世界の一流品大図鑑』(講談社)・『Cheap Chic』を軸に、独自のファッション考を語りつくす。
前編「小林 学のモノ作りを示す2冊の本の間に流れるもの」
「踊っていいよ」と「踊らされるな」の間で……
小林 自分の原点にあるこの2冊は、『世界の一流品大図鑑』が「特選ブランドに対する敷居の高さを取り払った」意味で百貨店ビジネスの原点とするなら、『Cheap Chic』はセレクトショップ的であり、憧れではなく現実直視という相反する究極にあります。
相反するものですが、自分のモノ作りは、まさにこの中道を行きたい。
ポリシーとしてヒッピーや体制に対して刃向かいたい目線を持ちながら、光りモノが好きという気持ちは絶対忘れたくない。ボロボロのジーンズも好きだし、シャネル・ツイードも好きなんです。
小林 もちろんこの2冊とも取り扱っている内容は、ある視点から見た「本物=THE」についてなんですが、特に『Cheap Chic』は全ページにわたって「身につけるもの、食べるものなど本物を見極めろ。本物であれば道を踏み外さない」と強くメッセージします。
資本主義の金の匂いを嗅ぎながら、ストイックに生きようというのが、まさに新年号「令和」に変わるタイミングにフィットするというか……。
「Amvai」のメンバー、AMVARたちもマインドとしてこの両軸を持っているはずで、時代に踊らされる役割を果たすこともできながら、辛口のアンチもできる。今回この企画に登場する方々も、両軸を持ちながら、実は今属すモノがない。僕を含めて皆、一匹狼感が強いはずです。
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